中田敦彦の「松本人志への提言」を見た感想
最初は特に興味も無く、相手するのも馬鹿馬鹿しいと思っていたのでスルーするつもりだったのですが、どうやら予想以上に大きな話題になっているようで、不本意ではありますが再生回数に寄与させていただきました(笑)
いきなり結論から言うと「まあその通りだよね」というのが率直なところです。だからと言って中田賛成派になるつもりは無いです。一つ一つ振り返っていきましょう(敬称略)
【松本人志一極集中の是非と審査について】
これはおおよそその通りだなと。大げさに言えば日本のお笑い=松本人志という図式が色濃くなっている、いわば「依存」しているというのはあると思います。でもこれって別に松本人志がそうした、吉本の力を使ってそうした、というわけではないんですよね。審査員についても本人は今までずっとやりたくてやってきたわけではありませんでした。M-1では島田紳助がいたからですし、途中からは上沼恵美子がいたからその二番手という形でやってきました。去年初めて事実上のトップに立ったわけですが、これは押し出された形ですからね。中田は爆笑問題に一個譲れ、とも言ってましたが太田は断っていますからね。まさかそれを知らない?これだけ偉そうに言っててそれはないでしょう。
そして先日行われたTHE SECONDではアンバサダーという立ち位置で大会に参加しました。中田の言う通り、マシンガンズの2本目で「紙を使うのはどうかな」という審査に影響を与えるようなコメントをしました。しかし裏を返せばここだけ、でもありました。とにかく影響を出さないように、というポジショニングで立ち回っていました。そもそも中田がいうような「全てのジャンルで審査員をやっている」というのも厳密には間違っているんですよね。M-1とKOCはそうですが、R-1やTHE Wは不参加、IPPONグランプリやすべらない話はそもそも発起人であり、後者はプレイヤーとして参加もしている。もちろんだからと言って松本人志の価値観が賞レースを牛耳っているというのも否定は出来ないでしょう。
じゃあ何が問題なのか。それは「松本人志に頼っているのは誰か」でしょう。THE SECONDだってそうです。結局は松本人志という顔、箔がつくという点で起用しているテレビ局側の問題というのが正しいでしょう。そりゃあ何十年もの間トップランナーとして走り続けてきたカリスマですから、頼られるのも当然です。実際関わっていないR-1とTHE Wは影響力が弱いです(そもそも番組の構成に問題があるが)
ただ、松本人志もここ数年で「引退」を仄めかす機会が増えてきました。仮に引退をしなくても年齢的に今の仕事をあと何年続けられるか、というのは喫緊の課題にもなってきます。であれば彼の後釜となり得る存在を見つけるのは当人にとっても業界にとっても必要なことだと思います。
【後継を育てなかった責任を問うているが…】
中田はM-1が始まって漫才、そして芸人という立場が飛躍的に上がったが、その弊害として芸人=M-1で結果を残さなければ評価されない風潮にしてしまったことに危機感を募らせていました。これもその通りだと思います。もっと色々なジャンルのお笑いがあっていいし、色々な芸人がいて良いと思います。ですが、今の20台の若手でも未だに「松本リスペクト」というのは色濃く残っています。これは彼の功績であり、その構図になってしまったことを彼の責任として問い詰めるのは無理があるでしょう。これはあと十数年で薄まってくると思います。
それでも彼がいなくなった後のお笑い界には松本人志色は随所に残り続けていくでしょう。これはもうどうしようもないことです。そして、そもそも松本人志が後継を育てなかったかと言われるとまったくそうではありません。前述した通り番組を立ち上げたり、顔になることによって若手に多くのチャンスを与えてきました。なぜ審査員や顔になることを拒まないのかと言われると彼は「後輩の為だ。自分の顔があることによって注目されればそれだけ後輩の為になる。注目されるから」と言っているそうです。それだけ後継者育成に尽力してきた実績があります。
そもそもお笑い芸人は例えば野球選手と違って後継者の育成なんてする必要はありません。生涯現役とも言えますし、プレイヤーであり続ける以上後輩とは言えライバルにもなります。野球ならチームの為にポジションを譲りアドバイスをすることによって引退後の仕事にも繋がるでしょう。でもお笑いはそうではない。それでも彼は育成に尽力してきました。しかし中田は「結局松本人志を超える人材を作れなかった」と言い、その責任を松本人志におっかぶせるような批評をしました。これは間違っています。じゃあ王貞治は本塁打868本を超える選手を育成してきたのか、長嶋茂雄は自身を超えるスーパースターを生み出したのか、と言われるとNOです。時代背景も違いすぎます。
松本人志を超える存在は未来永劫出てこないと言っても過言ではないと思います。そう考えると、「松本人志依存からの脱却」を唱える中田の提言はそういう側面では正しいということになりますね。矛先と言ってることが頓珍漢なだけで。
【芸人というリングから降りた人間・中田敦彦に何が出来るのか】
中田は「松本人志の恩で売れたことがない」と言っていましたが、そもそもNSCに入っている時点で吉本という大きな地盤の上に立っているわけです。今の吉本があるのは松本人志の存在が無視出来ないのは周知の事実です。そこに気づけない愚かさが今の中田を作り上げているのでしょう。別に松本人志に感謝しろというわけではなく、今の中田は「信者以外を全て敵」にし「本当はみんな思っているんでしょ?たから俺が代わりに言ってあげるよ」という驕り高ぶりで、芸人というリングを降り、文句を言い続けています。これは「提言」なんてものとは認められません。リングの外にいる以上、「野次」でしかない。
ジャニー喜多川の名前を出してまでそのリングの外から言うことを正当化していましたが、そんなものは詭弁です。革命を起こすのなら、自らがリングの上に登り、グローブをつけて相手に向かって行くべきです。今の彼はセコンドにすらなれず、ただの観客が「あのパンチはなっちゃいねえ」とボヤくだけの脱落者でしかない。だから彼がもし本当にお笑いの世界を変えるつもりがあるのであれば、自らが先頭に立ち、企画を打ち、大会を作り、新たな価値観を作っていくしかないのです。それをしない限り、収益化を止めたところで、ただの炎上商法であり話題作りにしかなりません。
中田が自負する通り本当に影響力のある人間だと言うのならそれが出来るでしょう。やらなければいけないのです。なぜならば他人に後進の育成を半ば強制するのなら当然それは中田にも返ってくるのが当然の帰結なのだから。オンラインサロンなんかで信者のみに向かって元後輩の悪口を言ったりしているのは自身の言う「上の人間に物を言えない環境」を自らも作っているようなものでしょう。だからこの動画を出した時点で、オンラインサロンという自分の巣から出て行動に移すべきでしょう。
さてここまで語ってきましたが、ここからはあまり取り繕わずに言いたいことを。
方向性がおかしくなってからの中田敦彦は元々大嫌いでした。それと方向性を同じくするキングコング西野もそう。あと中田の言葉を借りるなら、あの界隈にいるホリエモンと茂木健一郎も大嫌い。ただ、それでも嫌い=間違っているというのは愚かです。誰が言っているかではなく、何を言っているかだと思うので、今回はちゃんと動画を全て見て感想を述べてみました。
あと「中田敦彦で笑うには知性が必要」という発言の真意は分からないけど、実際お笑いに知性は必要だと思います。知性にも色々種類があるとは思うけど。ただ、その該当部分を削除してるのもダサいんだよなあ…後世で恥をかきますよ、とか言ってるけど自分現世で恥かいてますやん。
そもそも中田ももう40歳ですが、その年齢になってオンラインサロンで信者に向かって「あの界隈は口が悪い。せいやそんなにキレんなよ(笑)別に気にしてないけど。まあ僕人の気持ちとかわからないんですよね」とか言っちゃってるのがめちゃくちゃダサいってのが結論なんですよね。オードリーの春日が言ってましたが「相方もを大切に出来ない奴とは一緒に仕事したくない」ってのはその通り。相方に限らず、人を大切に出来ない人間が新しい価値観を生み出すなんて無理でしょ。非公開の会話が外に出てしまうのも彼の人望でしょう。実際中田は他人の暴露話動画とか出してるわけだし自分に返ってきたようなもんだよね。
なまじ地頭が良くて理路整然とした喋りが出来るから信者もつきやすい。でも彼の場合そこに付随して性格の悪さ、ねじ曲がった性根があるから自分の考えだけじゃ飽き足らず、他人を悪く言う、馬鹿にするという形になっちゃうんでしょうね。粗品の名前を出したのもそう。徹頭徹尾ダサムーブかましてる。
結局中田敦彦というのは「松本人志に憧れ、松本人志になれず、松本人志に認められなかった人間の末路」なんでしょうね。
さて、中田の思惑通り再生回数、話題作りに私も貢献したところで、終わりにしようと思います。
さあ、今後どのようになるのでしょうかね。個人的に今回の乱で一番危惧しているのは松本人志が「じゃあ辞めるわ」って言ってM-1審査員降りることですよね。これが起きるとM-1はあと何年持つかなって感じになってきてしまう。まあいずれその問題に直面するわけですが、こういった外的要因でそれが進んでしまうのは良くない。そういう点でも中田は本当に面倒くさいアホなんですよね。
とにかく綺麗な着地点を見つけてほしいなと思います。中田は不時着で良いですが。
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