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120年に1度の軌跡は凶兆の兆し?開花した竹の花


 日本人の生活に「竹」が登場するのは遥か昔の縄文時代にまで遡ります。お正月には松・竹、梅の3つを使った寄せを飾る習慣もあり、古くから「大変縁起のよい植物の象徴」とされてきました。竹に花が咲く?竹の花とは一体どのようなものなのでしょうか。

1.成長の早い竹は「生命力の象徴」

 イネ科の植物である竹は成長期の記録によると、1日で1メートル以上成長することが分かっています。2日もあれば大人の背丈をも越えてしまうのです。その成長の早さ・真っ直ぐ空へと向かい伸びる姿より「生命力の象徴」とされ、子孫繁栄・縁起の良い植物として古くから日本人の親しまれてきました。

京都 赤山禅院の竹林


 私達がよく食卓で目にする「たけのこ」は竹の若芽で、成長したものが竹となります。

2.竹の花が咲くとき

 竹に花が咲くことを知っている人は少ないかもしれません。私も2018年の冬に高知にある牧野植物園を訪れた時に偶然目にするまで竹に花が咲くことを知りませんでした。

正確な竹の花の開花周期は種類によって60年〜120年に一度と言われています。人の人生の例えるのならば、長い人生で一度しか開花しないという計算になります。

高知牧野植物園 竹の花の開花 2018年


竹の花の開花現象は大変珍しいもので、竹の花が咲いてしまうと周囲の竹林や遠く離れた竹林が一斉に枯れてしまうこともあるのです。竹は地下で繋がり広がっている1個体としてみなされ、この現象は「一斉開花」と呼ばれています。

3.竹の花の特徴

 大変珍しいとされている竹の花は一体どのようなものなのでしょうか。 
 花を想像すると、色鮮やかで可愛らしい、美しい花弁というイメージを抱くと思います。イネ科の植物である竹の花に花弁はなく、お米の稲穂のような花をつけます。

開花した竹の花


4.竹の花の開花は凶兆の兆しなのか?

 竹の花が凶兆、不吉なことが起こる前ぶれとされるのは、竹の花の特徴である「一斉開花」が関わっています。

「生命力の象徴」である竹に前ぶれもなく突然花が咲いた後、竹林が一斉に枯れてしまい、なくなってしまうことから、伝染病が広がる、天変地異・良くないことが起こると伝承されてきたようです。

 しかし、現代では竹の花の開花は60年〜120年周期で起こり、開花した竹林は一斉に枯れてしまうということが分かっています。竹の花の開花は自然現象であり、凶兆と捉える考えは少なくなっています。

5.日本中の竹が1/3にまで減少した年

 竹の花の開花現象により、日本中の竹林が一斉に失われた過去があります。1970年には日本の各地で多くの竹の花が開花したとも言われており、日本中の竹が1/3にまで減少、不足に陥ったというデータも残っています。

 現代において竹は私達の生活において身近な植物であり、バイオマス資源です。

6.まとめ

 現代において竹の花の開花は自然現象です。竹の花の開花自体が珍しいものだということが分かります。竹は縁起の良い植物とされているので、竹や竹林を目にしたら、ぜひ竹の生命力やパワーを感じてみてください。

 最後になりましたが、この竹の花の撮影した場所をご紹介します。

「高知県立牧野植物園」
高県出身である植物学者・牧野富太郎(まきのとみたろう)博士の世界的な業績を顕彰するために設立された施設。施設内には温室・ショップ・レストランもあり、建築も楽しめる植物園です。

高知県立牧野植物園の温室

偶然にも珍しい現象に出会えた日でした。



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