圧倒的な技術力のもちぽこ3DMVに曲そっちのけで驚いた件

とにかく凄い。
なんなら記事を読むより先に、まずはMVを見てほしい。
そのぐらい最近のVtuber界隈で見た3Dの中でもとびぬけて圧倒的な出来栄えのMVだった。

この「ハッピーウェディング前ソング (もちぽこver.) - ヤバイTシャツ屋さん」は、甲賀流忍者!ぽんぽこと、もちひよこの2人でのデュエットソングで、歌もダンスも可愛らしく、それでいてそれぞれの個性が十分に出た素晴らしいものだったが、私は何よりもMVの映像に圧倒された。



一応知らない人の為に先に2人について触れると、甲賀流忍者!ぽんぽこは、最近でこそゆるキャラグランプリ2020の企業その他部門で1位獲得などが話題ではあるが、元々は実写を背景に取り込んだリアル思考の3D動画を配信してきた個人Vtuberである。ピーナッツくんとの「ぽんぽこ24時間生放送」などでご存知の方も多いと思う。

一方のもちひよこは、かつて所属していたENTUMで「技術系バーチャルYouTuber」と呼ばれるほどモデリングや動画制作に定評のある個人勢幼女Vtuberで、自身で個人プロダクション「もちぷろ」を運営したり、にじさんじの勇気ちひろの3Dデザインを行ったことなどで、こちらも有名な個人Vtuberだ。



今回この2人が作った今回のこのMVは、2018年にYouTuber「パオパオチャンネル」によってオリジナル振り付けで公開され、現在までに1,400万回以上再生されている動画が元になっている。

(その動画はこちら【踊ってみた】ハッピーウェディング前ソング / ヤバイTシャツ屋さん (オリジナル振付) https://www.youtube.com/watch?v=8WgufxTXWos

なおこの動画はさまざまなYouTuberの手によってアレンジ版が公開されており、今回のMVも後半部分の衣装チェンジはおそらくそちらのオマージュなのだが、どちらの衣装でもほぼ破綻することも、手足が貫通することもなく、アバターが滑らかに飛び跳ねて踊るのに合わせて服が揺れる様子は、地味にとんでもない。



そしてもっと驚くことに、MV中に2人が踊りながら自然に手をつなぐのだ。
通常、3Dアバターと中の人に身長差があれば、当然のことながら実際に出した手足とアバターが出した手足の位置は同じにはならないのだが、そこを自然に2人が踊りながら手を重ねるように調整できているのは不思議だ。単純に2人の身長差がアバターと同じでも、アバター同士の貫通問題等もある為おそらくこうはならないのではなかろうか。



さらに言えば、2人の影がきちっと光源から対照的に右下にくっきりと表現されている点もなかなかに類を見ない技術で驚いた。この影の影響でMVの持つ実写のようなリアリティと接地感がとんでもないことになっている。

現在、どのVtuberの3D配信でも、影についてはあまり着手されていない。3Dアバターの接地感を出すライブ演出としては、某企業のように床を暗い色にして接地感をごまかすか、某企業のように鏡面仕上げ風に画像を反転させて床に投影する技法が一般的だ。

また影を使用する場合でも、その色合いを淡くすることで細かい部分の影の可動をぼやかしたものが多く、このMVのようにくっきりしたものは非常に珍しい。

それに対し、今回のMVでは完全に細部まで影を作っている。それも光源の位置が天頂から垂直、などではなく影は右下にアバターの動作を斜めに変形させた自然な形で投影されている。現実に3DMVを近づけるという点で、実によい表現方法だと思う。

(<11/9追記>別記事のご指摘に合わせて文章を一部修正しています。)



これらの技術がもし3D配信で一般的になったら、3Dライブ等はもう一つ新しい段階へ進めるのではないだろうか。個人的にこのMVはそんな未来を見せてくれる画期的な発明に立ち会ったかのような感動があった。

3Dがまた一歩現実に近づいた世界。それを見るためにも甲賀流忍者!ぽんぽこと、もちひよこの生み出す動画からは、今後も目が離せなくなりそうである。

<11/12追記>
VR180度バージョン出てましたので載せておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=nepMc5N43Ps&feature=youtu.be
こちらはメイキング等の裏話配信です
https://www.youtube.com/watch?v=4lVnqR8riec&feature=youtu.be

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?