周回遅れ浦島太郎的音楽観で右往左往するためのチューニング
10代の半ば位にポピュラー音楽に興味を持つようになり、以来50年ほどの年月に渡って音楽好きであり続けてきたことにはなる。
読んでくださる方にはどうでもよいことだが、その年月のちょうど半分くらいのところが節目になっているという感じである。
これは本人としては面白いことなのだが、その時期に音楽との関わり方が変化して、そこが区切りになった。
このことは現時点の私にはなんとも言えず色々な想いが交錯するところで、いま記したように面白いとも思うのだが、複雑な整理しきれない気持でもある。
明晰な頭脳の持ち合わせがないからそういうことになるのだが。
ともかく10代の頃にフォークと呼ばれるもの、ロックと呼ばれるもの、などに興味を持ち、それが出発点になってポピュラー音楽の世界に強い関心を抱き続けてきたわけで、1980年代から1990年代にかけては音楽誌の記事を書くことなども時にはあった。
だから自らが興味を持ったり、好きになったりする音楽を聞くというばかりでなく、ポピュラー音楽の世界全体を知りたい、理解したい、言葉にしてみれば、そんな気持ちも
あったのだ。
ところが1990年代の後半になって、そうしてポピュラー音楽と強い関わりを持とうという気が失せてしまう。そうなるにはなるだけのいきさつはあったのだが、そのことについて記すのは、また別の機会にしたい。
ともかく、そうなってみると、これでもう音楽との縁も切れるかとも思えたのだが、長年の関わりがそう急になくなるものでもな
かった。慣性の法則なんてことを思いだすような感じであって、音楽との関わりが、すぐにまったく途絶えることはなかったのだ。
音楽とのつきあいがなくなりはしなかったものの、ポピュラー音楽の世界の情報には疎くなった。
ともかく縁のあった音楽に関することを知ることができれば、それで充分という気がして、今の音楽の世界の様子は? とか、注目を集めていることは? といったこととまったく縁遠くなったのだ。
そういった意味では、音楽とのつながりは細々としたものになった。
ポピュラー音楽の世界と関わりを持とうと強く意識していた時期と、関わりを持とうとする意欲がかなり失せてしまったにもかかわらず音楽との縁は切れることのなかった時期、それぞれの長さが同じ位であることに個人的には感慨があるというわけである。
結局それは後半の時期がもう前半と同じほど続いているのかと思うと、驚きをおぼえるということなのだ。
積極的に関わりを持とうともしていないのに、なぜだか音楽と縁は切れなかったこの時期は、なんともいわく言い難い。
そのつながりは薄かったといえばそうなのだが、中古レコードの衝動買いに熱中した時期もあれば、特定のミュージシャンのライヴに追っかけと化して足繁く通ったこともあり、一言では説明し難い。
しかし全体としては音楽に対して冷めた気持ちは心のどこかにあって抜けきることはなかった。
そんな具合だったけれど、ともかくわずかながらも音楽とのつきあいは続いてはきたのだった。
だが、この間に手元にあった音楽ソフトはずいぶん手放してしまったし、それ以前にソフトを聞くためのオーディオ装置も売り払った。万やむを得ない事情があってのことだったが。
けれど、そんな状況が続く内に、なぜか最近になって改めて音楽について感じたこと、考えたことを、久しぶりに文章にすることもしてみたいと思いはじめた。
頭にあることを書くのは、別段やりたければやれば良い、御自由に、といったことだが、それを人様に読んでいただこうなんて気にもなってしまっている。
読んでいただくとしたら音楽ファンの方に、と思うわけだが、すでに記したようなわけなので、この四半世紀ほどの音楽界の動向を心得ているわけではない。読んでいただけるようなものを書くのは無理だろうとも思えるが、やってみたいと思いだすと止まらず、書き始めたのだ。
それは、ひとつには音楽誌の記事を書くようなことをしていた頃だって、最先端の動向について精通しているような書き手ではな
かったということがある。鋭い感性で最先端の動向を捉えている観がある人たちからは、はるかに遅れて離れたところでモタモタと、そんな感じである。
ただ、あんまり遅れているので周回遅れになり、結果としては同じようなところにいる、そんな感じもなくはなかった。だとすれば現代のポピュラー音楽についての理解が遅れているというより、大きな空白があって、今現在は浦島太郎状態の私が、なにか書いても意外となんとかなるかもしれないと、自らに都合の良いように考えている。1周遅れが10周遅れになるくらいの違いはあるかもしれないが、などと。
そんな調子で始まる音楽論議につきあってくださる方などおられないかもしれないが、なにはともあれ始めてみたい。たとえ100周遅れであったとしても。
と、書いたのが実は2年ほど前のこと、いざ始めようとすると、書くことに集中できない場合もあり、書き始めても完成までたどり着かなかったりと、思ったようにはならなかった。
それでも、なんとか最近になって、始めることができそうになったわけである。
そうはいっても、そもそも、音楽ソフトの再生装置もないのにどうするんだ、とは今の時代はなるのか、ならないのか私には分からない。
ともかくこうしてネットに接続はできているので、サブスクリプションの音源をスマホで聞いている。そんな音楽体験をもとに書いた文章などと言われるのか、言われないのか、これもまた私には分からない。
しかし多くの人が、そうして音楽を聞いているのも確かなようなので、そうやって音楽を聞きながら、何か書いてみるのも意味のあることになるかもしれない。そう考えて始めてみることにする。
#ポピュラー音楽 #自己紹介
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