Just ear XJE-MH1Rを買う話 その3

はじめに

前回は事前準備の話を書きました。

今回は当日の話です。当日は明治神宮でお参りをしてから東京ヒアリングケアセンターへ移動しました。明治神宮からの移動時間としては20分前後でしょうか。ダイレクトに向かいたい場合には東京メトロ 銀座線の外苑前から降りると早いと思います。
東京ヒアリングケアセンターは看板が結構大きいのでわかりやすいと思います。入り口がガラス張りで開放感がありました。

この看板が目印

受付

予約時間よりすこし余裕を持って到着し、受付の方に名前を告げて入り口近くの椅子で同意書と申込書を記載します。製作するモデルやオプション、価格については受付の方と確認しながら進めていきます。ここで、耳型採取を担当されている東京ヒアリングケアセンターの菅野様に一度耳の中を確認されて、奥の机に通されました。奥の机では最初に支払いなどを済ませ、Just earの刻印についての案内をされました。刻印についてはその場で決めるのではなく、一週間以内に渡された用紙の通りにWebで手続きをするようで、刻印をしたい方はじっくり考えることができると思います。

耳型採取

支払いを済ませたら耳型を採取することにします。再度菅野様に耳の状態を確認してもらいましたが、前日まで体調を調整した甲斐もあって今回は問題なく採取へ進むことができました。

最初に綿球を入れて鼓膜に印象剤(専用のシリコンみたいなの)が付着するのを予防してもらいます。綿球の位置は微調整をしていました。
次にJust earでは13.5mmのダイナミックドライバーを耳の中に収めるために謎のヘッドホン上のジグを使って位置決めしているようで、この頭に付けるジグは意外と重たかった(MDR-1Rの2倍くらい)です。位置決めをしている間はジグの部品を耳にペチペチ当ててドライバーを配置すると思われる場所の確認をしていました。この位置決めが職人技で、ライトを当てて確認するほかにも上下、左右、正面、斜めと様々な角度から確認していて、これが高精度な耳型製作につながるんだなあと実感しました。

なお、今回の耳型採取の際にはバイトブロックを使用しませんでした。とはいえ私は噛みしめ癖があるので、歯が削れないよう噛みしめないよう前歯に舌を入れてひたすら机の向こう側を見つめる作業を行います。調整と採取で30分以上掛かったと思いますが、なかなか緊張した空気でした。
出来上がった耳型は耳穴の手前は細く、奥になると広がる形状でした。もともとイヤピースが物によってはうまくはまらないという症状があったのですが、耳の形状によるためのようですね。

調整

さて、耳型採取が終わったら菅野様から松尾様にバトンタッチです。
2019年頃までのレビューではコーヒーを飲みながら調整をするというような記述がかなりありましたが、このコーヒーはコロナによって執筆時点では消滅していました(残念……)

松尾様が用意したPCに接続されたオーディオインターフェースにDAPを接続し、オーディオインタフェースの出力を2分岐して松尾様自身のJust earとユニバーサルのJust ear(自分用)を接続します。イヤピースのサイズは選べます。イヤピースは触った感じ、SONYのトリプルコンフォートかハイブリッドイヤピースだと思います。

最初に雑談などでアイスブレイクしながら、最初にプレーヤーやよく聞くイヤホン/ヘッドホンなどの質問がありました。今回は使用するプレイリストをプリントして持って行ったのでそれを見ながら好きな曲調なども話をしました。あとは「どういう音にしたいか」というような趣旨の質問も受けましたが、前回書いたとおり私はあまり「こういう音にしたい」というのが浮かばなかったので「こんな感じがいいな」というイメージを話しました。

さて、この調整では細部まで詰めるのではなく「方針」を作っていきます。なぜ「方針」なのかというと、実際に製作されたJust earは耳孔(耳の穴)へ正しい向きで刺さるが故に音の入り方が変わって高音や低音が前に出てきたり、シミュレーションソフトウエアの性能限界や、バランス接続の場合にはその違いがあるため、最後は実際のJust earで調整した方が良いということでした。そのため、今回の調整では余りセッテイングを追い込まず「こういう音質の方向性」でいったんJust earの製作を行って、そこから引き渡し時に調整をしていただく形になっているようです。

実際の調整作業ですが、最初に松尾様からヒアリングした内容を元にして「こういう音質はどうか?」という提案があり、それを数曲試聴した上で調整の要望を松尾様に伝えるというキャッチボールを繰り返します。調整中はお互い同じ曲を聴いているので、例えば「今の曲のイントロのピアノの旋律がもう少しきらびやかに聞こえるように」など表現の許容度はかなり高いのではないかなと思いました。個人的には「この曲の低音をイイカンジに」というような、かなりメタな要望も実現していただけるのではないかなと思います。

調整のために持って行ったセットリスト(前回の記事に記載あり)は #1 の8割と #2 の数曲を使用しました。調整でよく使ったのはTell your world(高音が痛くない程度に伸びよく)、KICK BACK(バスが気持ちよいように伸びよく)の2曲で、その他の曲も違和感がないかを確認するのに使用しました。

ちなみに、プレイリストの曲数については松尾様から、5曲前後というのも結構あるとのことでした。私なりの解釈としては、曲数というよりどのくらい曲やアーティストに特化させるか、オールジャンル聞きやすくするのかというように、調整の振れ幅で曲を用意するのが良いのかなと思いました。

さて、調整作業をしていると、曲を聞く→調整を何度も繰り返す中で自分にとって良く聞こえたり、逆にイマイチに聞こえたりという紆余曲折をたどって突然「調和」がもたらされる音質が誕生しました。「調和」をうまく言語化するのは難しいのですが、「聞いていて楽しい」と思ったり「ニヤニヤしてくる」というのが「調和」なのかなと思います。ここに達した時点で「方針」は決まった物ということで調整はいったん終了し、発注ということになりました。

先にも話したとおり、引き渡し時にも再度松尾様と一緒に調整をするのですが、その際にはJust earは自分専用になっているため、DAPに完成したJust earを接続して一人で聞いて、松尾様に調整を依頼する形になります。松尾様曰く、今回の調整でパラメータをいじった流れや楽曲などを踏まえた上での調整や提案ができる趣旨のお話をいただいたので、引き渡し時にさらに詰めて調整をすることに対して大きな不安はありませんでした。

おわりに

ということで、発注したJust earは現時点では2023年4月~2023年6月くらいに引き渡し&調整になるそうです。それまでは、大好きなMDR-EX1000とMDR-1Rで聞いて待っていようと思います。
今回は松尾様と東京ヒアリングケアセンターの菅野様には大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。
もし、この記事を見て質問などがあればこの記事のコメントやTwitterにて聞いていただければ、答えられる限りお答えしたいと思います。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました。


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