企業ドメインを設定する方法【事業計画書の作り方④】
おはようございます。現役信用金庫マン 兼 中小企業診断士事務所代表の山西です。当noteでは、経営力強化につながる情報を経営者や支援機関に向けて発信しています。
前回は、PEST分析の方法について解説しました。
次に行うのは市場分析です。市場分析には、ファイブフォース分析やSWOT分析等ありますが、それらの市場分析を行う前にすべきことがあります。
この作業を行わずして市場分析を行っても、質の高い市場分析を行うことができません。
そこで今回は、市場分析の前さばきの方法について説明していきます。
市場分析の前にすべきこと=企業ドメインの定義
経営分析の目的は経営戦略の策定です。市場分析により、メインターゲットは誰にすべきか?どんな価値を提供すべきか?どんな強みを活かすべきかを明らかにします。
そのためには、市場分析の一環として、消費者や競合他社への深い理解が必要となります。「ニーズに合わせて商品を作る必要がある」というのはよく聞きますが、では、誰のニーズを知る必要があるのでしょうか?
誰のニーズを知るべきかという定義をしておかなければ、あらゆる人のニーズを調査しなければならなくなってしまいます。もちろんそんなことは不可能ですよね。
そこで必要となるのは、市場分析の前に企業ドメインを定義することです。企業ドメインとは、ビジネスの範囲のことです。
以上のように、市場分析の前にすべき前さばきは、「企業ドメイン」です。
企業ドメインを設定する方法
では、企業ドメインを設定する方法はどんな方法があるでしょうか。2つのやり方をご紹介します。
①経営理念=企業ドメインとする
企業ドメインを定義するものは経営理念です。経営理念=企業の存在意義、目的であるため、経営理念がその企業の対象市場の範囲となります。
よって、経営理念≒企業ドメインと考えて差し支えありません。
ただし、消費者の存在が見えづらい企業理念を設定している場合は注意が必要でしょう。例えば、ラーメン店が「日本一のラーメン店になる」という経営理念を掲げた場合、その理念の中からは消費者の存在が見えづらいでしょう。
消費者のことが謳われていなければ、市場を定義する材料として使いづらくなってしまいます。
②経営理念を言い換える
経営理念の中から消費者の存在が見えづらい場合は、それが分かるように経営理念を言い換える必要があります。
「日本一のラーメン店になる」という経営理念を掲げている場合、消費者の存在が見えるよう「一番足を運んでもらえるラーメン店になる」「美味しさ日本一のラーメン店になる」等と言い換えると、市場の定義として扱いやすくなります。
前者ならリーズナブルなラーメンを好む消費者のイメージが、後者なら値段にこだわらず味にこだわる消費者のイメージが付きやすくなると思います。
事業ドメインを定義する場合は、もっと細かく厳密に定義する必要がありますが、企業ドメインを定義する場合は、このように経営理念から大ざっぱに定義するだけで大抵問題ありません。
むしろ、無意味に細かく具体的に設定してしまうと、市場へのアプローチの可能性を削ってしまいかねません。細かく設定するのは、市場のセグメンテーションのタイミングで大丈夫です。
注意点
「市場(企業ドメイン)」と「業界」は同じようで違います。例えば、「料理で幸せになって欲しい」という経営理念を掲げている場合、必ずしも飲食業が市場とは限りません。小売りの可能性もありますし、製造の可能性もあります。
大切なことは、一般的に言われている業界区分で安易に市場を決めつけないことです。本当に自分がしたいこと=経営理念をもとに企業ドメインを設定してみましょう。
企業ドメインの設定をしておくだけで、以降の市場分析がうんとやりやすくなります。
まとめ
次回予告
次回は、顧客分析の方法について投稿します。2月10日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧下さい。
当noteでは、毎週土曜日に、経営者や経営支援者に向けた経営力強化につながる投稿を行っています。仕事のご依頼、お問い合わせは画面下の「クリエイターへのお問い合わせ」よりお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?