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本当に履き心地が良いスニーカーとは

まるで雲の上を歩いているようだ(ニューバランス1300を履いた時のラルフ・ローレン)とか、
クッションが沼にズブズブハマるみたいで気持ち悪い(HOKA ONEONEを初めて履いた時の僕。試着している間にだんだんクセになって結局購入した。)とか、
みんな靴の履き心地に関していろんなことを好き勝手に言う。あれマジ最高!とかなんとか。

しかし履き心地なるものにはいくつか軸となる要素があり、そして個人個人でその優先順位は違う、というのが今回の話。
つまり「履き心地が良いスニーカー」は個人によって違う、とも言える。
今日を境に履き心地のことを軽々しく語れなくしてしまう内容なので覚悟してから読んでください。

【履き心地を語るための8要素】
8つもあるの?!普通3つにまとめるだろ!そう、僕だって良くあるネットの読みやすい記事みたいに3つにまとめたい…その方がこなれ感出るしな!でも簡単にまとめるとウソが混じるジレンマ…分かりやすい話ばかり聞きたがる上司は単なる怠慢なんだ…ダメだ…私情がだだもれだ。読者は上司ではない。どうまとめても8つあるのだ。何なら「履き心地」ではなく「靴の性能」という定義にしてしまうと正直もっとある。我慢してしばらく頑張って読んでください。

①クッション性

なんだかんだで一番気にされていて話題にもなるのはこれだ。
メーカーの技術力をわかりやすくアピールする部分でもある。
昔からNIKEのエア筆頭にクッション性を喧伝するメーカーは多かった。
厚底ブームはもう過ぎた感あれど、逆に定番の仲間入りをしている。
陸上界を席巻したNIKE ヴェイパーフライ ネクスト%旋風は記憶に新しい。今でこそファッションアイテムとして確固たる地位を築いているHOKA ONEONE(ホカオネオネ)も実はガチのトレイルランニング界で愛用され続けているハイスペックハイテクスニーカー。
昔の重い厚底靴を思い浮かべていてまだ履いたことない方はこの辺の厚底スニーカーをぜひ一度履いてみて欲しい。個人的にHOKA ONEONEの沈み込むクッション性と相反する反発性はマジで常識が覆るアハ体験(使い方たぶんまちがってる)だった。

②軽さ

メーカーが①のクッション性を追求して厚底化していく過程で恐らく同時に進化していったのがこの要素。最近のスニーカー、特にランニング系の軽さには本当にビックリさせられる。ランニング系なら厚底でも300g切るモノが当たり前にゴロゴロある。

③通気性

コレめちゃくちゃ大事だと思うんだけど試着した時の数分ではなかなかわからない部分でもある。
また、「履き心地」ではなく「靴の性能」として見た場合、防水性や耐久性とトレードオフの関係になることが多い。
通気性抜群の靴で土砂降りの雨に降られると、すぐに靴ビチャビチャで履き心地最悪な目に遭うことになる。

④フィット感

これが個人ごとに一番感想が分かれるやつ。
人の足の形は人の数だけあるのだから当然と言えば当然。同じモデルでワイズ(幅)が違うものがあったりはするけど、基本的には一つずつ履いて試す以外に自分に合ったサイズを探す方法は存在しない。
ポンプフューリーのポンプシステムや、PUMAのディスクシステムなどはサイズ以外の部分でフィットの手助けにはなるけど、あの機能のみで絶妙なフィット感が得られるかと言われたら難しいと思う。
ZOZOMATは試したことないが、足のサイズを3Dで完全に認識できたとしても、そのデータに完璧にマッチングしたシューズなんてオーダーメイド以外不可能だとは思うし、単純な縦の長さ以外の採寸要素を製造過程に含めようとしたら対応できる(しようとする酔狂な)メーカーは極めて稀だろう。
なのでフィット感を謳い文句にしているスニーカーはたぶんうさんくさい。「オマエに俺の足の何がわかる」と言いたくなる。

⑤柔らかさ

④のフィット感や⑥の屈曲性にも影響する要素ではあるけど、柔らかすぎて脱げやすいからキツく紐を結ぶ羽目になり、結果履き心地が悪い、みたいなことはある。柔らかければ良いというものでも硬ければ良いというものでもない、なかなか深い要素でもある。
サッカーのスパイクだと硬くないと危ないけど、フリースタイルフットボールだと、ボールタッチを繊細に行うこと考えると柔らかい方が良さそうだな、とか。
あと、ニット系のアッパーのスニーカーは確かに柔らかくてラクチンなのだが、当然「耐久性」が弱い。ちょっとしたでっぱりに引っ掛けて裂ける、などの憂き目に遭った人も結構いるはず…

⑥屈曲性

さぁそろそろマニアックなこと言い出したよ。
僕は仕事中もスニーカーでしかもよくしゃがむ仕事だ。何もわかっていない若僧のころは思いっきり片膝立ててつま先を曲げてしゃがんだりしていたのだが、そのしゃがみ方をしていると、一瞬でアウトソールがへし折れる。
コンバースオールスター、VANS全般に顕著だが、本当に下手すりゃ1日でアウトソールに亀裂が入るか、曲げた部分がパカパカするか…
単純なアッパーやソールの柔らかさともリンクはするのだが、より明確な意味合いだとこの言葉、「屈曲性」になる。「よく曲がり、元に戻る力」だ。「屈曲性」が高いスニーカーはおしなべて耐久性も高いイメージがある。
「屈曲性が高いスニーカーはどれですか?」という質問に答えられるシューフィッターが居たらマジで尊敬するし、信頼できる気もするが多分いない。いたらちょっとキモい。

⑦伸縮性

これは厳密には「履き心地」の話ではないかもしれない。どちらかと言うと「履きやすさ」と「脱ぎやすさ」の話。あと柔らかさとか屈曲性とも混同しやすいな。あれ?もしかして7つに削れた?まあいいや。履き心地がどれだけ良くても、脱ぎ履きに時間がかかるスニーカーって嫌だし。
足入れしやすくてしかも脱ぐ時もスピーディ。そんなスニーカーがやっぱりラクチンでいい。これもニット系のアッパーがとても高い性能のイメージ。

⑧歩行補助/走行補助機能

ようやくラスト。これがまた説明しづらいのだが、クッションのところで言及した厚底スニーカーが一番わかりやすい。独特のソールの厚みと形状、クッション性によって勝手にどんどん足が前に進みやすくなるのだ。
NIKEヴェイパーフライネクスト%に至ってはそのためにフォームを変える必要すらあるほど、走ることそれ自体に影響を及ぼしている。
この機能はなんならゆっくりダラダラ歩きたい人間にとってはムダどころか邪魔なものかもしれない。むしろそれこそ「履き心地が悪い」と感じる可能性だってあるかもしれない。
O脚を矯正する、なんて謳ってる靴もあったりするしね。

以上8点。皆さんがスニーカーの購入を検討される際は参考にしてみてください。
クッション性抜群でめちゃ軽くて通気性抜群な上にフィット感も抜群で程よい柔らかさでつま先曲げてもノーストレスで脱ぎ履きめっちゃしやすくて歩くと勝手にどんどん足が前に出るスニーカーって探せばあると思うけど、全部クリアはなかなか難しい。自分の中の優先順位を明確にしておくと買う時に迷いは少ないはず。

ちなみに僕が買う時に一番優先する要素はデザイン。デザインかい!デザインだよ!
履き心地最高のダサいスニーカーなんて履けない。

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