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【映画】夜明けのすべて【やっと本編2】

#ネタバレ

映画と、同名の原作小説についてのネタバレをがっつり含みます。
すでに映画や小説に触れた人や触れる予定のない人に感想をまくし立てて話すかのように、とりとめなく書き連ねていきます。

発作を起こした山添くんを藤沢さんが家まで送り届けたときの、玄関先での会話。
山「お互い…? PMSとパニック障害って症状も、それに伴うしんどさも、全然違うなと思って」
藤沢さん、今こそ怒っていいときでは…!
しかし怒るどころか「PMSはまだまだだね」と優しく一言添えて帰る。
藤沢さんの温厚さが見えるたび、だからこそPMSの症状は普段とギャップがあってつらいだろうなと思わずにいられない。

自宅で片付けをしながら、何かを思いつき、ワクワクが表情に表れる藤沢さん。
あんなに張り切って自転車を洗う人を初めて見た。

山添くんの部屋、髪を切るシーン。
前の場面では棚に飾られていた大学時代のヨット部の写真立てと後輩達からの寄せ書き?が伏せて置かれている。
おそらくこれには理由があり、撮影されなかったシーンが間にあるからだと思われる。

(私は映画を見た後『月刊シナリオ 2024年3月号』で脚本を読みました。脚本と実際の映画は少し異なる部分があり、映画には収録されなかったシーンもいくつかあります。そんな場面との関連がうかがえるようなシーンや要素もあり、脚本を読むと想像が膨らみます)

髪を切るシーンはパンフレットの表紙にもなっているくらい、この映画の象徴的な場面の1つ。多くの人がSNS等で触れているが、私も好きなシーン。原作でも物語が動くきっかけとなるこのシーンが、どう映像になるのか、山添くんは映画でもこけしになるのか、気になっていた。
結果、こけしにはならなかったけど(笑)映画ならではの描写にクスッとし、微笑ましく見た。
真一文字に髪を切った直後の藤沢さんの「あ…」。
自撮りした写真を見た山添くんの「うっ…」からの、その場での声にならない笑い、からの、大輪が咲いたような笑い。この人こんなに笑うんだ、とそれまでの無気力な山添くんとのギャップに、なんだか嬉しくなる。
藤沢さんはひたすら「ごめんごめんごめん…」と泣きそうになりながら謝る。しかし山添くんの満面の笑みを初めて見たことで少しだけ安心しているようにも見える。
あとはやはり、

藤沢さんが切った毛をポケットに隠そうとする

山添くんが髪型を見て笑い出す

謝りまくる

持ったままの毛にやっと気づいて、虫が出たかのように驚いて飛び上がる

の流れが好き。

PMSが来てそうな藤沢さんを山添くんが外に連れ出すシーン、原作では草取りだったのが、洗車になっている。
でも連れ出されて怒り出す藤沢さんや、ペットボトルのキャップを開けてあげる山添くんは原作そのまま。
山添くんの「何かできるならやってみようかな」という意欲が少しずつ沸いてきているのもよかった。

年末年始、帰省のシーン。
駅前で夫婦から手を振って出迎えられた、藤沢さん…じゃないんかーい。この映画にしては珍しく?ベタなシーンだと思った。

林の木々が風でそよぐシーン、CGかと思うくらいきれいで写実的で、あのような場面を大切に撮ってきたのが夜明けのすべてなんだよなと思った。

山添くんのアパートの前で偶然会う、千尋さん(山添くんの恋人)と藤沢さん。
予告編やパンフレットでこのシーンを見たときは、修羅場か?と半分冗談で思った。彼女と、彼氏の同僚の女性が、彼氏の家の前で出くわしたら、多くのドラマでは「あんた誰?」と多少は緊迫したムードになりそうだけど、全然そうならないのが夜明けのすべて。
それどころか「藤沢さんみたいな人が会社にいてくれてよかったです」との言葉まで出てくるなんて、何とも優しい世界。
お守りを多めに買って、初対面の相手に1つあげるというのはなかなか風変わりな行為だと思ったが、それでもこのような一言を引き出すあたり、藤沢さんの醸し出す優しさと、千尋さんの安心した様子がうかがえる。

そして雨の夜に再度、山添くんのアパートを訪れて別れ話を切り出そうとする千尋さん。ロンドン転勤という出来事はあったにせよ、別れることは前から考えていて、藤沢さんの存在が決め手の1つになったのではと思う。
彼を気にかけてくれる人がすぐ近くにいるなら、私がいなくても大丈夫だろう、と。

藤沢さんと千尋さん。
栗田社長と辻本さん。
山添くんと辻本さん(退職後)。
原作では出会うことのなかった、あるいは付き合いが続くことのなかった二人の交流か映画で登場していることに、初めは違和感があった。
しかし、それらの場面を通して、大切なことを描いているのだなと思った。

前回の倍くらいに長くなってしまった。
映画本編の半分くらいには達したかな? 
ここまでお読みになってくださり、ありがとうございます。
では、また。