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何故サガはリリースされたのか、敢えてサガを使わなかった男が邪推してみる

割引あり

 皆さんお久しぶりです、ウィンターです。

 ありがたい事にライターのお仕事をちょっとずつ頂けるようになり、noteに思考を落とす時間が取れなくなってきました。たまにしか書くことが出来ないnoteですが、せっかくなのでライターの仕事ではまず書けないことをこちらで書いていこうかと思います。

 そんなnoteの1発目の記事は最近何かと話題の中心だったサガについて。正直なところ、与えられた環境で遊ぶ事がカードゲームだと思っているので、この考察自体は本当に邪推でしかありません。しかし、色んな人がサガがリリースされた事に対して話しているのを聞いて、自分も書いてみようかなと思った次第です。

 カードゲームとの付き合い方みたいなところまで含めて書いていくので、サガ環境うんざりだった!という人は、こういう考え方もあるのかと考えるきっかけになるといいなと思います。また、サガ環境楽しかった!という人は自分の考えとの比較や意見交換の一つとして捉えてもらえると幸いです。

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※事前知識※サガってどんなデッキだったの?

 改めて《絶望神 サガ》がどんなデッキだったのかおさらいしておきます。知っている人はスキップしても問題ない部分なので次の項目からご覧ください。

《絶望神 サガ》の基本

 《絶望神 サガ》デッキは簡単に説明すると、同名2枚で山札を掘りつくすことで理想のコンボを決めるコンボ・コントロールデッキです。《絶望神 サガ》は条件を満たすと墓地から5マナ以下ゴットかオリジンを蘇生し自身を破壊するので、《絶望神 サガ》Aの効果で《絶望神 サガ》Bを蘇生することでAとBが無限にぐるぐるします。

よく分かる壊滅~

 サガは効果を使用する際に1枚ドローして1枚捨てるので、無限蘇生をするだけで概ね好きな手札と墓地を構築することが出来ます。このコンボで獲得したリソースでフィニッシュコンボを決めるのが《絶望神 サガ》デッキです。《絶望神 サガ》デッキには大きく3つのタイプが存在します。

Doomサガ

 《絶望神 サガ》環境で一番息の長いデッキタイプです。2,023年3月の殿堂改定を乗り越え環境末期まで使われていました。《絶望神 サガ》で墓地を用意してから《絶望神 サガ》効果で《蒼狼の大王 イザナギテラス》を蘇生し闇のチャージャーを使用。闇マナを作ることで《超神星DOOM・ドラゲリオン》を出し好きなファッティを場に出します。

 蘇生するのは《水上第九院 シャコガイル》や《禁断竜王 Vol-Val-8》で、特殊勝利や追加ターン経由の攻撃による勝利を目指します。タイミングを選ばず使うことが出来るカードが多く、コンボ成立までの速度はゆっくりですが簡単に回すことが出来るメリットがあります。

ダンタルサガ

 2023年3月の殿堂改定後、一番強いと言われている《絶望神 サガ》のデッキタイプです。《蝕王の晩餐》を使って《蒼狼の大王 イザナギテラス》をベースにチェインをつなげていくことで、墓地の4マナ以下の呪文を無限に使用してロックを仕掛けて勝利します。コンボ手順は非常に難解ですが、公式Youtubeにてすめらぎさんが使用している解説入りの対戦動画があるので、そちらをご覧ください。

クローシスサガ

 2023年3月の殿堂以降に作られたもう一つの《絶望神 サガ》デッキです。《百鬼の邪王門》の採用によって火単我我我やアポロのようにアグロデッキに対する耐性が高くなっています。ループ後の勝利手段はダンタルサガと同じ手順です。

 火文明がしっかりとられていることで、《ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイム》で水魔道具にも若干戦いやすくなっています。多色比率が上がっているので、多色によるタップイン事故が起きやすくなっているデメリットもあります。

※本編※どうしてサガはリリースされたのか

 ここからが本編です。なぜサガがリリースされたのか、その謎を紐解いていこうかと思います。先に自分なりに邪推した結論をまとめておきます。

・現代のメタクリーチャー達で対応しきることが出来ると判断した。
・プレイヤーによる洗練速度を見誤った。
・《蝕王の晩餐》と《龍素記号wD サイクルペディア》のコンボと悪用に気づいていなかった。

 この結論に至った理由を説明していこうと思います。

公式が知り得る未来と殿堂改定

 当然ではありますが、開発元であるWizards of the Coastは将来的にリリースされるカードも含めて開発・調整を行っているはずです。リリース後の状況や反響をみて、公式の想定外の状況になった時に殿堂入りという手段を取るのだと思います。少なくとも、喜んで殿堂入りというものを設定しているとは考えにくいというのが自分の意見です。

 ゲームデザインのプロ集団である彼らからすると、後付けでルールを付けて禁止することは良しとしないはずです。殿堂入りの傾向を見ることで将来的な想定も含めて公式の想定外だったカードを確認することが出来ます。

 2023年3月の殿堂改定を見る限り《絶望神 サガ》関連の殿堂カードは《一なる部隊 イワシン》だけでした。このあたりから《絶望神 サガ》リリース直近の公式の想定イメージを伺うことが出来ます。つまり公式の想定としてはDoomサガがメインで活躍するというものではないかと考えています。

 そもそも、《絶望神 サガ》が収録されているヒーローズ・ダークサイド・パック~闇のキリフダたち~には、《ヨミとイズモの計画》という《絶望神 サガ》2枚コンボと同時に使う前提のカードも存在しています。

サガで墓地を増やす前提のデザインとカラー

 おそらくですが《蒼狼の大王 イザナギテラス》や《超神星DOOM・ドラゲリオン》とも相性が良いことを公式も把握済みだと思います。それでも発売に踏み切ったということは、現代のメタクリーチャーやカードパワー、将来的に発売されるカードも含めてこれらのカードに対処可能と判断したのだと思いますその上で公式の一番最初の誤算が《一なる部隊 イワシン》が4枚使用可能なDoomサガだったんだと思います。

 《一なる部隊 イワシン》を4枚使用可能なサガはメインデッキが実質36枚のようなもので、コンボ成功率だけではなくメタカードを出された際の対応策へのアクセス確率もぐんと上がります。本来メタカードで抑えることが出来る想定だったサガが、《一なる部隊 イワシン》による実質的なデッキ圧縮によってメタを乗り越えられるようになってしまいました。実際に2023年3月の殿堂後のDoomサガはメタクリーチャーへの対応や火単への対応を求められ、一時的にその母数を減らしています。

 《とこしえの超人》や《若き大長老 アプル》、《DG-パルテノン〜龍の創り出される地〜》といった強力なメタカードが《一なる部隊 イワシン》が1枚の当時のDoomサガには一定の対策となっていました。「当時の」という意味深な書き方をしましたが、何が起こったかというのは皆さんも知るところだとは思います。そのあたりも含めて次の項で話していきましょう。

公式も知り得ない未来と洗練されたプレイヤー達

 前の項でも触れましたが、本来殿堂入りという後付けルールは公式は好んでやりたいわけではないと思います。想定外の事態に対策するために設定されているものとなりますが、殿堂入り後に発売される「殿堂入りを考慮していないカード群」も見据えて殿堂入りするカードを考える必要があります。

 さて《絶望神 サガ》が収録されているヒーローズ・ダークサイド・パック~闇のキリフダたち~が発売されたのは2023年2月18日です。そこから3月の殿堂入りまでは約1ヶ月しかありません。通常の殿堂改定が約半年の期間を用意していることを踏まえると明らかに準備期間が足りていません。

 本来であれば将来的に危険視されるカードまで含めて検討したいはずが、《絶望神 サガ》によって歪められた環境への対応に追われてしまったということになります。《一なる部隊 イワシン》の殿堂入りは非常に効果的でしたが、その後に現れる新しいタイプの《絶望神 サガ》デッキの想定が間に合わなかったのではないかと邪推しています。

 また公式のさらなる誤算がプレイヤーの練度の上昇速度にもあると考えています。《絶望神 サガ》リリース直後の最強位決定戦の時にも片鱗を見せていましたが、《絶望神 サガ》デッキで中盤のリソースゲームも戦えるようにしようという構築のデッキが増えていきました。《蒼神龍ヴェール・バビロニア》や《コダマダンス・チャージャー》といったリソースを確保する手段をしっかりとったDoomサガが台頭してきたのです。

 たった「今」その時を戦っているプレイヤー達の手によって《絶望神 サガ》デッキの最適な形が公式の想定を超えて洗練されていきました。これが公式の第二の誤算だと考えています。

公式でも捉えきれなかった複雑な挙動

 公式の最後の誤算はダンタルサガで使用されている《龍素記号wD サイクルペディア》の複雑な挙動にあると邪推しています。

ある部分が非常に特徴的なカード

 この手の呪文の墓地からの再利用クリーチャーにしては、ある部分が特徴的なカードとなっています。それは、「呪文を唱える能力」と「墓地から唱えた呪文をデッキに戻す効果」が独立していることです。《龍風混成 ザーディクリカ》のテキストと比較すれば分かりますが、効果で唱えた呪文がデッキに戻るまでが一連の効果となっている通例と比べても非常に特殊なテキストとなっています。

 呪文を唱える効果と手札から唱えた呪文を墓地からもう一度唱える効果と唱えた呪文がデッキに戻る効果が独立していることで、ダンタルサガのループが成立するようになっています。もし、公式がこのループを把握しているのであれば、《一なる部隊 イワシン》と一緒に《蝕王の晩餐》も殿堂入りしていたと思います。《龍素記号wD サイクルペディア》と《蝕王の晩餐》の関係に関するよくある質問が、2023年3月の殿堂入り後の2023年4月に更新されていることからも想定外だったことが伺えます。

 《蝕王の晩餐》を用いて《龍素記号wD サイクルペディア》が場にいない状況で、《龍素記号wD サイクルペディア》の出た時効果を無限に使用するというコンボが公式の想定外だったのだと思います。だからこそ《絶望神 サガ》の殿堂だけでなく、今後の悪用を防ぐために《蝕王の晩餐》も一緒に殿堂入りにしたのではないかと考えています。

まとめると、
・現代のメタクリーチャー達で対応しきることが出来ると判断した。
・プレイヤーによる洗練速度を見誤った。
・《蝕王の晩餐》と《龍素記号wD サイクルペディア》のコンボと悪用に気づいていなかった。

こういった背景で《絶望神 サガ》はリリースされたのだと思います。

どうしてサガを使わなかったの?

 ここからは僕のカードゲームに対するスタンスのようなものになります。こういった環境でどうやってサガ以外のデッキを使うモチベーションを保っていたのかを話していければと思います。

気に入る勝ち方と気に入らない勝ち方。

 正直なところ、ただ単にCSで勝つことを目指すならサガを使うことにためらいはありません。社会人生活の貴重な休みでCSに出るならやはり勝ちたいですし、勝つことだけをまっすぐに目指すならサガを使わない理由はありません。《絶望神 サガ》デッキが嫌いではなかったことはここに明言しておきましょう。

 数多のトッププレイヤー達によって洗練された環境末期の《絶望神 サガ》デッキは芸術作品とも思えるような美しさがあります。勝つために極限までに研ぎ澄まされた構築とプレイングは素直に尊敬出来ます。しかし、自分は《絶望神 サガ》を使うに至りませんでした。

 その理由は、デッキ構築も含めて自己表現をすることがカードゲームの醍醐味であり、他の人と同じ服装をしたくなかったからに他なりません。他の人が使っていて、すでに強いと分かっているものを試す気持ちになれなかったということです。

 せっかくのカードゲーム、趣味の時間は人生においても大切な時間です。自己表現を大切に、自分なりのアプローチをしたかったのです。だからこそ、《絶望神 サガ》の環境でも《絶望神 サガ》を使わずに遊び続けることが出来ました。

 しかし、全ての人がこういった考え方が出来るわけではありません。どんなゲームにも浮き沈みはあると思います。そんな時には少し距離を取ってみるのも一つの手だと思います。

 一つの趣味に没頭すると、どうしても考え方が偏ってしまいます。いい機会だと思い他のことにチャレンジしてみるのも悪くないかもしれません。またデュエル・マスターズがやりたくなったら戻ってくればいいのです。

終わりに

 今回の《絶望神 サガ》がデュエル・マスターズの今後に与えた影響は非常に大きいものでした。デュエル・マスターズを知らない友人にも《絶望神 サガ》のことを聞かれました。良くも悪くも様々な界隈にデュエル・マスターズが知れ渡ったのかなと思っています。

 自分もどうして《絶望神 サガ》が作られたのか聞かれる機会が多く、思考の整理としてこの記事を作りましたが、あらためて《絶望神 サガ》というカードはとんでもないカードだったと実感しています。もちろん、カードデザイン空間の拡張という意味では残念な結果となってしまったと思いますが、こういったチャレンジをしてくれるデュエル・マスターズの開発の皆さんのことをいつも応援しています。

 これからもアグレッシブに挑戦を続けてくれる、デュエル・マスターズを信じています。皆さんも今回の殿堂をマイナスにとらえずに懲りずにデュエル・マスターズで遊んでいきましょう!

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