白猫モダン録1~神はサイコロを振らない

 物理学の権威であるアインシュタインは、なんの原因もなく突如変化を起こす量子力学の世界について「神はサイコロを振らない」とつぶやいた。

全ての物事には必ず原因と結果がある。因果律のない世界なんてありえない、受け入れられない!というのがアインシュタインの信念だった。

 カードゲームも同じ事が言えるだろう。自分が勝ったもしくは負けたという現象には必ず原因がある。プレイミスかもしれないしデッキ選択ミスかもしれないしデッキ構築に問題があったかもしれない。

運が悪かった、というのもその状態にもつれ込んでしまった自分に責任があるのかもしれない。神はサイコロを振らないのだから。

・・・しかし、我々は神ではない。人間である。

ならばゲームに勝つためにサイコロを振ったっていいじゃないか!

予想外の結果

さあ、サイコロを振ろう。(開き直り)

1.デッキ構築~サイコロの出目は均等ではない

 突然だが自分は《予想外の結果》というカードがかなり好きだ。4マナでゲームが決まる可能性を秘めた1枚で、土地だったとしても1ブーストとなりテキストのギャンブル具合に対して意外と堅実な効果をもっている。

《予想外の結果》を使うからには捲れたらゲームに勝てるカードを使いたいものだ。実際に都合良くめくれるかどうかは完全にランダムであるが、このランダム度合いは均等ではなくデッキ構築の段階で調整することが可能だ。わざわざ均等な確率のサイコロを振る必要はなく、当たりの面を増やせばいいのだ。

当たりの面を増やす方法は2点

①捲れたらゲームに勝てるカードを大量に入れる。

②ゲームには勝てないが①のカードを唱えるために助けとなるカードを入れる。

これらを順番に見ていこう。

①捲れたらゲームに勝てるカードを大量に入れる。

この役割をもつカードはモダンのカードプールとなれば大量に出てくるが、今回は《予想外の結果》を最大限生かすためエルドラージ3柱の力を借りよう。

新モグ

旧コジ

新エムラ

《予想外の結果》はコストを支払わずに呪文を唱える効果を持つため、唱えた時に発動する効果もしっかり誘発する。またこれらのエルドラージ達を投入するので、このカードも入れてしまおう。

全知

《全知》を捲れば万が一手札に来てしまったエルドラージ達を唱えることができるので噛み合いは抜群。

ただ、これらのカードを何も考えずにフル投入すると手札のカロリーがとんでもないことになってしまうので実際にデッキを回しながら調整していくことにした。

②ゲームには勝てないが①のカードを唱えるために助けとなるカードを入れる。

《予想外の結果》と相性が良く、更に①のエルドラージ達を唱えやすくするとなればトロンの力を借りることに行き着くのは自然だろう。(クソデッキの時点で自然かどうかはさておき)

鉱山

塔

魔力炉

《予想外の結果》で捲れた土地カードは戦場に出るのでトロン2種の状態から3枚目が来ても美味しい。また基盤をトロンにする事で《精霊龍、ウギン》というトロンから出しやすく《予想外の結果》の当たりにもなるカードを無理なく利用できる。

ウギン

あとは土地サーチカードとトロンのサポートでデッキを丸めていけば良い。

2.デッキリスト

■メインボード 60枚

・クリーチャー 14枚

《無限に廻るもの、ウラモグ》x2
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》x3
《真実の解体者、コジレック》x1
《大いなる歪み、コジレック》x1
《引き裂かれし永劫、エムラクール》x4
《約束された終末、エムラクール》x3

・プレインズウォーカー 3枚

《精霊龍、ウギン》x3

・アーティファクト 8枚

《シミックの印鑑》x4
《探検の地図》x4

・ソーサリー 11枚

《探検》x4
《予想外の結果》x4
《森の占術》x3

・エンチャント 2枚

《全知》x2

・土地 22枚

《ウルザの塔》x4
《ウルザの鉱山》x4
《ウルザの魔力炉》x4
《繁殖池》x4
《森》x4
《島》x2

■サイドボード 15枚

《ケイラメトラの指図》x4
《忘却蒔き》x3
《自然の要求》x4
《ニッサの天啓》x3
《すべてを護るもの、母聖樹》x1

3.各種カード解説

《無限に廻るもの、ウラモグ》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
《真実の解体者、コジレック》《大いなる歪み、コジレック》
《引き裂かれし永劫、エムラクール》《約束された終末、エムラクール》

今回の当たり枠その1、SSレア枠14枚。

最重量級のエルドラージ達は概ね出れば勝ちなため、可能な限り用意しておきたい。ゲームへの影響力を考えた結果この枚数配分に。

《全知》

全知

今回の当たり枠その2、Sレア枠

手札に溜まったカスr・・・もといSSレアを使えるスーパーカード。とはいえハンドになければただの置物となるため枚数は控えめ。

《精霊龍、ウギン》

今回の当たり枠その3、レア枠

トロンから使いやすく、《予想外の結果》で捲れてもおいしいカード。ボードの様々なカードを対処可能で、早期に展開して攻めてくるデッキにはかなりの大当たりとなる。

《予想外の結果》

画像11

このデッキのキーカードにして、コンセプト。

前述のSSレア+Sレアでデッキの約3分の1が当たりとなっている。ポケモンの絶対零度が当たる確率くらいまではあげているので、思い切って勝負に出るには十分だろう。土地が捲れた場合は手札に戻ってくるため何も起こらないことの方が少ない。

《シミックの印鑑》

印鑑

このデッキはトロン土地を採用しているため、色マナの工面に苦労する。このカードは無色マナでプレイ可能且つ《予想外の結果》を撃つために必要な青緑のマナを早期に用意出来る最高のカードである。《シミックの印鑑》経由で3ターン目に《予想外の結果》をプレイするのがベストムーブとなる。

《ケイラメトラの指図》《すべてを護るもの、母聖樹》

画像13

ぼせいじゅ

サイド後のマッチアップでこちらのトロン戦略や《予想外の結果》に対するメタをずらす為に採用。《ケイラメトラの指図》はこちらのマナを突然10マナにジャンプアップし早期に高コスト帯をプレイすることを助ける。《すべてを護るもの、母聖樹》《予想外の結果》を確実に通すためにサイドインする。

《ニッサの天啓》

天啓

アグロデッキに対して当たり枠を増やすために採用。このデッキであればかなりの確率で10以上のドローとライフゲインが可能となり、《予想外の結果》で捲れた後のリソース回収と時間稼ぎが可能になる。

4.終わりに

実はこのデッキ、著者がリアルで所持しているデッキであり晴れる屋様の公認大会やモダン大会で3-0や4-1・5-0を記録したこともあるのでそれなりに戦うことができる。通常通りのトロンの戦略をとりながらも《予想外の結果》によるワンチャンスに託すこともできるのはこのデッキならではの特徴だと思う。3ターン目の《予想外の結果》による理不尽ゲーはまさにアンフェアそのもの。普段難しいデッキを使い疲れてしまった時、ぜひ脳を溶かすつもりで使ってみるのもいいかもしれない。

著:ウィンター

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