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白猫EDH録〜ワンパンマンは面白い〜

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今回は僕が5年くらい使っている黒単EDH《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》の解説記事です。なんでワンパンマンなのかは読んでいけば分かると思います。

1.統率者紹介

まずはこのデッキの統率者である《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》についてです。

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《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》
◾️コスト
(3)(B)(B)(B)(B)

◾️クリーチャータイプ
伝説のクリーチャー — アバター(Avatar) ミニオン(Minion)


◾️テキスト
触れられざる者フェイジが戦場に出たとき、あなたがそれを自分の手札から唱えたのでない場合、あなたはゲームに敗北する。
触れられざる者フェイジがクリーチャーに戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。それは再生できない。
触れられざる者フェイジがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはゲームに敗北する。


背景ストーリーではカマール/Kamahlの妹ジェスカ/Jeskaの死骸が、ブレイズ/Braidsの陰謀団/The Cabalの呪術によって蘇生した人物として登場しました。

凄まじい黒の力をもち、最終的にはアクローマ/Akroma・ザゴルカ/Zagorkaと融合し、邪神カローナ/Karonaとなって世界を脅やかします。

そんな彼女には触れたもの全てを腐らせる能力があり、陰謀団の総帥のみが彼女と触れ合う事が出来たためお互いとって唯一の存在となりました。

英語原文の小説にはかなりセウトなところまで書いているので興味がある方は是非。

ついうっかり背景ストーリーの話をしてしまったが、カードとなった彼女にもその能力が表現されています。一度でもフェイジから戦闘ダメージを与えられたプレイヤーはゲームに敗北してしまうというかなり珍しい能力を持っています。

更にクリーチャーに戦闘ダメージを与えたときにも再生を許さず破壊するという強い接死のような能力もあり、かなりユニーク性の高いカードです。

反面、強烈なデメリットがあります。このカードを手札以外からプレイしたり、唱えずに戦場に出すとコントローラーがゲームに敗北してしまいます。

たとえ手札から出していたとしても、《裂け目の突破/Through the Breach》や《騙し討ち/Sneak Attack》ではダメということです。

かなり癖の強いカードですが、トーナメント環境で使われたことが無いわけではありません。かつてのエクステンデッドに存在していたFull English Breakfastというデッキに採用されていました。

このデッキは《ヴォルラスの多相の戦士/Volrath's Shapeshifter》と《適者生存/Survival of the Fittest》を組み合わせたクリーチャー・コンボのデッキです。《ヴォルラスの多相の戦士》は墓地の一番上のクリーチャーの能力を得るので、《ヴォルラスの多相の戦士》のアタックが通ったなら即座に《適者生存》を起動して墓地の一番上を《フェイジ》にしてワンショットを狙うというコンボがありました。

ではそんな彼女を使ってデッキを構築していきましょう。

2.デッキ構築

デッキ構築の大前提として、彼女は基本的に統率者領域から直接戦場には出せません。

手札以外の領域から戦場に出すと敗北効果が誘発してしまうので、統率者領域から普通にプレイすると敗北してしまいます。

そのため、効果が誘発しないようにする・統率者領域から手札に加える等工夫する必要があります。

また戦闘ダメージを与えるために、装備品や補助カードなども必要となります。デッキの構成要素としては次の3つです。

・ドローやサーチカード
・統率者を出す手段
・戦闘ダメージを通すためのサポート

これらを優先してデッキに入れて、空いた枠に汎用パーツを入れて構成していきます。

・ドローやサーチカード
黒には優秀なサーチカードが豊富にあります。何しろこのデッキはまずフェイジを統率領域の外に出さなければお話にならないので、とにかくサーチカードで探しに行けるようにします。

またフェイジ自体が7マナと重く、リソースの消費が多いデッキになるのでドローソースには《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》のような持続的に使えるドローを優先して採用します。


・統率者を出す手段
フェイジを統率領域から戦場に出すには、以下の3つの手段が存在します。


⑴統率領域から直接手札に加えて、手札からマナを支払い召喚する。
⑵敗北回避能力を利用したり出た時能力が誘発しないようにしたりする事で、フェイジのデメリットを無視する。
⑶フェイジを一度打ち消して墓地に置いてから手札に加えて、手札から召喚する。

⑴〜⑶に該当するカードは意外と種類が豊富ですが、入れすぎてもデッキの動きが鈍くなるので厳選して投入しています。このデッキでは以下の枚を採用しています。


⑴統率領域から直接手札に加えて、手札からマナを支払い召喚する。

《統率の灯台/Command Beacon》

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土地なので他のカードに邪魔されにくく、一番安全にフェイジを加えることができます。

また動き出すターンにいきなりセットランドからスタート出来るので、奇襲性も高めです。


《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》

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アーティファクトなので壊れやすいですが、ライフさえあれば何度も使用出来るのがポイント。

《統率の灯台》と違って奇襲には使いづらいですが、黒であればライフはある程度ごまかせるので黒が入る統率者であれば他のデッキでも十分採用圏内なカードです。


⑵敗北回避能力を利用したり出た時能力が誘発しないようにしたりする事で、フェイジのデメリットを無視する。

《無限の日時計/Sundial of the Infinite》

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フェイジの敗北能力が誘発した時にスタックする事で、敗北能力を無かったことに出来るカードです。

また自分のターン中であれば、フェイジやこのカードに飛んでくる除去を無かったことに出来るので思ったより器用なカードです。

一方、ターン自体は終了してしまうので奇襲には向いていません。こちらに向いてるヘイトが小さく、とりあえずフェイジを置いても問題なさそうな時はこちらを使いましょう。


《倦怠の宝珠/Torpor Orb》

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フェイジの自身が敗北する能力は出た時能力なので《倦怠の宝珠》で無効化することが可能です。単純に妨害としても有効ですが、数枚のカードが機能しなくなるので気をつけて使いましょう。

また、除去には弱くフェイジのキャストに対応して破壊されてしまうとどうしようもないので優先度は低めです。


《白金の天使/Platinum Angel》

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そもそも敗北しない状態ならフェイジを出しても問題ないので、「フェイジのキャストのサポート」という意味では同じ役割です。

しかし、《倦怠の宝珠》よりも除去に弱いのでこちらも優先度は低いです。


⑶フェイジを一度打ち消して墓地に置いてから手札に加えて、手札から召喚する。

《Nether Void》 

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レジェンドに存在する3大黒エンチャントの一つ。馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、テキストを記載しておきます。

・テキスト
プレイヤー1人が呪文を唱えるたび、そのプレイヤーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

先に設置しておき、マナを追加で払わないことでフェイジを墓地に送ることが出来ます。もちろん妨害としての機能も優秀です。

《倦怠の宝珠》と違い、フェイジのキャストに対応して除去を受けてもとりあえず墓地にフェイジを送ることが出来るのは利点です。

フェイジを墓地に送った後は、《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》で回収して手札から唱えましょう。


・戦闘ダメージを通すためのサポート

いざフェイジを戦場に出せたとしても、攻撃が通らなければ意味がありません。その為、《ならず者の道/Rogue's Passage》でブロックされなくしたり《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》で速攻をつけたりする必要があります。

どの手段で攻撃を通すかは、相手のデッキや実際のゲームの空気感で異なりますので大量のサーチカードで上手く使い分けましょう。


3.デッキレシピ

統率者
《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》

-クリーチャー12枚-
《疫病造り師/Plaguecrafter》
《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》
《墓所の怪異/Crypt Ghast》
《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》
《血の贈与の悪魔/Bloodgift Demon》
《アスフォデルの灰色商人/Gray Marchant of Asphodel》
《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》
《ルーン傷の悪魔/Rune-Scarred Demon》

《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
《白金の天使/Platinum Angel》


-インスタント9枚-
《暗黒の儀式/Dark Ritual》
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
《喉首狙い/Go for the Throat》
《インプの悪戯/Imp’s Mischief》
《無残な収穫/Grim Harvest》
《無情な行動/Heartless Act》
《ファリカの献杯/Pharika's Libation》
《四肢切断/Dismember》
《殺し/Snuff Out》

-ソーサリー15枚-
《沸き立つ汚泥/Bubbling Muck》
《伝国の玉璽/Imperial Seal》 
《無垢の血/Innocent Blood》
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
《夜の囁き/Night’s Whisper》
《血の署名/Sign in Blood》
《苦境のぬかるみ/Mire in Misery》
《不気味な教示者/Grim Tutor》
《毒の濁流/Toxic Deluge》
《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
《滅び/Damnation》
《魔性の教示者/Diabolic Tutor》
《もぎとり/Mutilate》
《命運の核心/Crux of Fate》
《女王への懇願/Beseech the Queen》

-エンチャント6枚-
《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》
《ドラゴンの影/Dragon Shadow》
《ネクロポーテンス/Necropotence》
《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
《終わりなき囁き/Endless Whispers》
《Nether Void》

-アーティファクト23枚-
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
《水連の花びら/Lotus Petal》
《魔力の墓所/Mana Crypt》
《Jeweled Amulet》
《探検の地図/Expedition Map》
《魔力の櫃/Mana Vault》
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《通電式キー/Voltaic Key》
《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》
《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》
《黒玉の大メダル/Jet Medallion》
《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》
《精神石/Mind Stone》
《無限の日時計/Sundial of the Infinite》
《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》
《思考の器/Thought Vessel》
《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
《終わりなき地図帳/Endless Atlas》
《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》
《面晶体の記録庫/Hedron Archive》
《スランの発電機/Thran Dynamo》
《金粉の水連/Gilded Lotus》

-土地34枚-
《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
《湿地の干潟/Marsh Flats》
《汚染された三角州/Polluted Delta》
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
《古えの墳墓/Ancient Tomb》
《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》
《統率の灯台/Command Beacon》
《Lake of the Dead》
《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
《ならず者の道/Rogue’s Passage》
《陰謀団の要塞/Cabal Stronghold》
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborb, Tomb of Yawgmoth》
《沼/Swamp》 ×20


4.各種カード解説

流石にリストのカードを1枚1枚解説すると莫大な量になってしまうのでカードの役割分けをしたあと、いくつかのカードをピックアップして説明します。

【役割分け】

◾️ドローソース
《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》
《血の贈与の悪魔/Bloodgift Demon》
《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
《夜の囁き/Night’s Whisper》
《血の署名/Sign in Blood》
《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
《ネクロポーテンス/Necropotence》
《終わりなき地図帳/Endless Atlas》
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》

◾️サーチカード
《ルーン傷の悪魔/Rune-Scarred Demon》
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
《伝国の玉璽/Imperial Seal》 
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
《不気味な教示者/Grim Tutor》
《魔性の教示者/Diabolic Tutor》
《女王への懇願/Beseech the Queen》
《探検の地図/Expedition Map》


◾️戦闘補助
《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》
《ドラゴンの影/Dragon Shadow》
《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》
《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》
《ならず者の道/Rogue’s Passage》
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》


【注目カードピックアップ】

《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》

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黒単はその性質上、エンチャントやアーティファクトに触りづらいです。最近はエンチャントに触れる除去も出てきましたが、相手に選択肢があるので基本的には触りづらいです。

このカードは黒単が触りづらいカードを破壊しつつ、トークンなどを露払い出来るので採用されています。


《インプの悪戯/Imp’s Mischief》

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黒単の統率者なら迷わず採用してもいいレベルのカード。ライフを代償に呪文の対象変更をすることが出来ます。

相手の打ち消しから身を守ったり、追加ターンの対象を変えたり、除去の方向を曲げたりと黒単で出来ないことが可能なカードなので思ったより使い勝手の良いカードです。

特に、フェイジのキャストにはかなりのマナを使うので2マナで安全を買えるこのカードの重要性は高めです。


《無残な収穫/Grim Harvest》

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墓地にあるフェイジを回収するための手段として採用しています。復活をもっているので、フェイジが破壊された時に墓地から回収して使い回すことが可能です。

ただし、復活能力は自分の生物が戦場から墓地に置かれた時に誘発し、誘発したタイミングで回収が出来なければこのカード自身が追放されてしまいます。マナ管理をある程度意識しておきましょう。


《終わりなき囁き/Endless Whispers》

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フェイジ専用コンボカード。非常にややこしいテキストだが、端的に書くと破壊された生物がターンエンド時に対戦相手の戦場に出るようになるエンチャント。

フェイジは手札以外から戦場に出た時に敗北すふ能力を持っていますが、この能力で敗北するのはあくまでフェイジのコントローラーです。

《終わりなき囁き》で対戦相手に押し付けることで、対戦相手一人を敗北させる事が可能です。これにより対戦相手が敗北しカードがゲームから取り除かれる時、フェイジも追放されてしまうので大人しく統率領域に戻しましょう。


《ドラゴンの影/Dragon Shadow》

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エンチャントされた生物に畏怖を与えるカード。このカードの最大の利点はコスト6以上の生物が戦場に出た時に墓地からその生物にタダでつけられる事です。

速攻付与と組み合わせて動いたり、後からフェイジを出し直した時にも使えたりと細かい動きが可能です。

5.基本戦術

序盤はリソースの確保に努めます。手札の増強、マナファクトのプレイ、コンボパーツのサーチなどを行います。

最終的にはフェイジを出したターンに攻撃に移れるように動くのがポイントです。10マナ近く出る状態で《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》とセットで動くのが一番理想なプレイです。

一人落とすのは意外と簡単なので、残り二人をどう倒すかを手札と相談しながら動きましょう。基本的には青いところを優先して落とせば安全ですが、全体の様子を見つつ空気を読んで対戦相手を減らしていきましょう。

6.終わりに

このフェイジデッキ、初見狩り率が非常に高いデッキです。どうやって出すんだろう・・・と考えているところに速攻のフェイジが突っ込んでくるのでインパクトは抜群です。

またフェイジを場に出したあとは明らかにヘイトが高くなるので、ヘイト管理の練習にも最適だと思います。

ご興味のある方は是非組んでみては如何でしょう?


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昨今の情勢もあったので今は動く事が出来ていませんが、いつかまた集まれる事が有れば開催するかもしれないので皆様よろしくお願いします!

《白猫茶房 イベントチーム》
https://twitter.com/Siro_Neco_Hai

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