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インスタントフィクション 初チャレンジ

妻と夕食を食べながら話していたら、話の流れでお互いにインスタントフィクション(400字程度のミニストーリー)を書いて見ようということになった。

テーマは眼の前にあった「ワイン」、締切は2週間後。

ということで2日締切は過ぎたけれどなんとかできた作品がこちら。

血だ!自宅の玄関前の雪が大きく真紅に染められていた。拓三は驚きとともに軽い興奮を覚えた。妻と別れ東京の自宅を引き払い、空き家だった旭川の実家に戻って16年になる。その日はちょうど、拓三の誕生日であった。古希を迎えても特に祝う人もなく、昼食の弁当とビールを買った帰り道だった。

 赤く染められた部分に近づいて見ると拓三は違和感を覚えた。血だと思っていたものは、かすかに発酵臭を発していた。拓三は確信した。これはワインの香りだ。
血と見間違えるような深みを帯びた色合いからみて日照量の多い低緯度の産地だろう。かつてソムリエとして働いていた頃の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
そして、かつて女性と交わした一つの約束を思いだした。「20年後、あなたの誕生日にまたこのワインを一緒に飲みましょう。」朋子のワインに濡れた唇が思い浮かぶ。いや他にもそんな約束をした女性がいるような気がする。
拓三の脳裏には期待と不安がよぎるのだった。

架空の話を書くのは初めてだったけれど、日常を過ごしている時でも、あそこはこうした方が良さそうなどアイデアが浮かんで来てなかなか楽しい体験だった。

もう少し先まで考えていたけれど余韻を残して考えてもらうようにした。

気が向けば続きを書いてみようと思う。

ちなみに妻の書いたストーリーはこちら

 ワインボトルに閉じ込められたアリスは逡巡した。テーブルの上にあったクッキを食べたのがいけなかったようだ。「まったく、私っていつも物事をよく考えないで行動するから、失敗しちゃうんだわ。」と思いつつも、アリスはたいして困ってはいなかった。むしろこの状況を楽しんでいた。

 ドアを開ける音がして、誰かが部屋に入ってきた。テーブルに近づき、食べかけのクッキーとワインボトルを眺めている。彼はおもむろにワインボトルを持つと、コルクを開け一気に飲み干した。

 気がつくと、アリスはテーブルの前に立ち尽くしていた。食べかけのクッキーとワインボトルもある。ボトルの中から彼が不安げな表情でこちらを見上げている。
 「復讐完了。」アリスは微かに笑みを浮かべて、ドアを開けて立ち去った。

次の締切は10月末でテーマは「時計」ということになった。

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