インテンショナル・ドロー(ID)って何?
テーブルトップでの大きな大会が再開しつつあり、中止している間にMTGアリーナから始めた新規の方が店舗大会に参加される姿も見られ始めました。
初めてテーブルトップ大会に参加される方、もしくは近年の盛り上がりに昔友人と遊んでいた頃を思い出して復帰される方もいらっしゃるでしょう。
さて、あなたがとある大会に参加したとしましょう。
あなたの実力か当たり運が良かったのか―――それとも相手が事故を起こしたのか―――は分かりませんが、全3回戦のスイスドローを2-0の成績で2回戦まで終えました。次は3回戦目。コンパニオンに表示されたテーブルに座っていると、対戦相手からこう言われました。
「IDでいいですか?」
IDとは何なのか。この申し出は受けて大丈夫なのでしょうか?
それについて解説したいと思います。
そもそもIDとは何なのか?
ID(インテンショナル・ドロー)とは、ゲームに参加している全てのプレイヤーが合意によって、そのゲームやマッチを引き分けとすることである。
通常、二人対戦の場合は自分と対戦相手が同意すれば条件を満たします。
例えば、白金の天使をお互いがコントロールしており、手札もライブラリも尽きて互いに相手の天使を除去出来ない、となったとしたら(この手の説明でよく使われる例)、試合時間いっぱいまでターン終了を言い続けるより今のゲームを引き分けとして次のゲームに進んだ方がよいでしょう。
そしてゲームが引き分けに出来るなら、それ×3でマッチ自体を引き分けに出来ます。つまり、先の例は「このマッチを引き分けにしない?」という提案になります。
じゃあ、そのIDに応じていいの?
応じたことで、敗退しなければIDしてOKです。
判断方法ですが、コンパニオンに表示される結果を見てください。そこに、前ラウンドまでの全体の勝ち数が表示されています。
MTGのスイスドロー形式では、マッチの勝者に2点、敗者に0点、引き分けの場合は両者に1点ずつ得点が入ります。IDすると今の得点+1点が自分の得点になるので、このラウンド後に、その点数(かより高得点)のプレイヤー数がSE(シングルエリミネーション。勝ち抜き戦。大抵の場合、スイスドロー→上位者でのSEで優勝争いが店舗大会で良く見られる方法です)人数以内になると予想できるならIDしても大丈夫です。
例示したいのですが、パターン出しがめんどくさい多岐にわたるため、基本的にはそこまで負けてなければ構いません。たぶん。(参加者多数の場合は全勝者だけで枠が埋まる可能性があるので、引き分けが多ければIDせずに対戦した方が目がある場合もあります)
IDって何が得なの?1マッチ暇になるんだけど
引き分け分の勝ち点がもらえるので、自分が負け・下位プレイヤーが勝って勝ち点同じ・オポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ(対戦相手の勝率。「強い相手とやってる方が強いよね」理論)差で捲られてSE進出ならず、みたいな状況を減らせる。
1マッチ分の「休憩時間」が確保出来る。
辺りになります。つまり、大会での勝率を高める方法の一つと言えるのです。
じゃあ、IDってし得じゃん
「基本的には」した方がいいです。が、してはいけないパターンもあります。その最たるものがIDの見返りに利益を提示された場合です。
MTGにおいて(他のTCGでもそうでしょうが)買収によるゲーム結果の捏造は違反となります。提案した側も、受けた側も差はありません。
これは、買収と賭博はイベントの完全性を損なうものであり、厳しく禁じられている。という理念によるものです。
また、違反であることを知った上で行ったのであれば、より重度の違反となります。具体的に言うと、FNM等のルール適用度:一般の大会でも失格体裁までいきます。
ただし例外として、SEの決勝卓のみ、賞品の範囲内であればプレイヤー間で自由に分配することが許されています。これは、先の理念から外れる様に見えますが、マッチの結果が当人たちのみに影響する(どちらが勝とうと大会が終了する)ため認められています。
終わりに
お互いが納得して『より勝ちやすくなる』ための引き分け、という中々珍しい制度がIDです。皆さんも是非活用して、大会を勝ち上がりましょう。筆者はジャッジ参加してる時に人がしてるの見る側なので使ったこと無いです。使えるようになる。
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