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“石の拳”レオナ・ペタス、7月21日、大岩戦直前インタビュー 20200606

LARA column series.5 20200721 加藤玲於奈編

“石の拳”レオナ・ペタス、7月21日、大岩戦直前インタビュー

文責:LARA TOKYO

2020年7月21日、後楽園ホール、「Krush.115」のメインイベント、Krushスーパーフェザー級王座防衛戦、大岩龍矢戦を目前に控え、試合が発表された6月6日の記者会見の夜、Instagramで行われたインスタライブをここで緊急公開させていただきます。

——大岩戦、改めて抱負を。

6月6日の記者会見で「僕がベルトを返上しない限り、第9代以降のチャンピオンは生まれない」って話をしたんですけど、それを有言実行する機会かなって思うんで、2回目の防衛戦をしっかり締めようかなって。

——「第9代以降のチャンピオンは生まれない」は、非常にキャッチな言葉ですが、これはKrushスーパーフェザー級王者となってからすぐに言われていたことでした。

60kgって階級は、けっこう沢山の選手がいて、チャンピオンがころころ変わってるんで、僕がずっと常駐してやろうかなあって。

——K-1グループの中でKrushは、セカンドステージ的な位置づけとも取れますが、レオナ選手に関しては、プロデビュー時からKrushでずっと活躍し続け、特別に「Krush愛が強い」という印象です。

自分がタイトルを獲る辺りから従来のKrushから「K-1 KRUSH FIGHT」って言い方に変わって、防衛戦もひとつこなして、それが今回、Krush名義に戻って、やっとKrushかなあって。

——Krush王者になる以前、大雅、小宮山工介、朝久泰央(敬称略)といった強豪に打ち勝ち、それでもベルトを巻いていなかっただけに、まさに“無冠の帝王”だったわけですが、ご自分でその自覚は?

まわりにいっぱいそう言われていたので、そう思わざるを得なかったですね、ふふっ(笑)。

——そして、今回の対戦相手、大岩選手、スタウロス・エグザコスティディスに勝利するなど実績はありますが、レオナ選手は「過大評価されている」と痛烈な一言を投げかけました。

いつも、(同門の)武尊選手の近くにいるから、どうしても見られるじゃないですか。その恩恵で実力以上に人気が盛られてるんじゃないかなぁって思いますね。

——その武尊選手を苦しめたスタウロス選手にしっかり勝っていることから、大岩選手の実力は侮れないものがあるのでは?

実力があるのは認めているし、けどまぁ、僕だったらスタウロス選手KOできるなって思っていたんで(大岩×スタウロスは判定)、まだまだかなぁって。

——ここで大岩選手を分析してみて、彼の良いところは?

前に出るところですかね。

——その点の対策は?

彼は、僕のことを「インファイトに弱い」って言ってたんですけど、インファイターのジャオ・チョンヤンをKOしてるし、大岩選手がジャオ選手よりも強いとは思えないし、あの程度のインファイトだったら余裕かなって(笑)。

——大岩選手は、フック系の強打など印象的で打ち合いに強いイメージです。そんなタイプにインファイトでも勝てる?

そうっすねぇ、まぁ、全部に勝てるかなって(笑)。

——言える範囲で、大岩選手の攻めどころは?

距離感が悪いですよね。射程があっていない距離でも攻撃したりしているので、そういうのが出たらボーンってカウンターあわせたりしようかなって。

——反面、レオナ選手は“距離感に優れたファイター”の印象があります。

そうですね。最近は、これまでの自分の距離よりも近いところでもあわせられますし、穴はだいぶ減ったかなという感じがします。

——確かに最近はインファイトでの強さも光ります。

僕のインファイトは、他の選手とは違うところがあって、企業秘密でもないけど、本能のままに闘っていくんで、まぁ「狩りに行く」みたいな(ニヤリ)。

——狩りに行く……獣を狩る……その印象だといつも太い鎖を首にかける大岩選手の印象と重なります。あの鎖についてはどう思われますか?

なんも思わないっす(笑)。あれを着けなくても武尊選手の傍にいれば「誰だろう」って見られるだろうから、別に鎖いらないんじゃないかなって思いますけどね。

——大岩選手と武尊選手をセットに捉えるのは、本人も気を良くはしないかもしません。

まぁ、しょうがないんじゃないですか。僕が二回勝ってる朝久選手に60kg契約で負けているわけだし、そういうところでしっかり実績を積んで、それこそ朝久選手を倒してからタイトルに挑戦してきてほしかったなって、うん、いいとこ取りかな。そんな簡単に巻けるほどこのベルト価値低くないんで。

——大岩選手のYouTubeチャンネルなどで見れる通り、武尊選手とは本当に親しいようで、今度の試合にセコンドにつくかもしれないなど気にはしますか?

「武尊選手とやりたい」って言って、「実績積んでくれ」って言われて、武尊選手が苦戦した村越優汰選手をKOしたし、別に武尊選手とすぐにやってもいいかなって思ったんですけど、まだやってくれないみたいなんで、だったら一番わかりやすく大岩選手を倒したらいいかなって。

——ここで話変わって、なんとか武尊選手とのK-1世界戦を見せたかったけど亡くなられてしまったお母さん、その後、そちらは落ち着きましたか?

事あるごとに思い出してしまいますけど、上から見守ってくれていると思えばいいかなって、だいぶ落ち着きました。

——「お母さんに見せたい」というモチベーションは変わらず?

生きているうちは「早く見せたい」って焦っていて、今回の試合のような回り道をしてる暇はないって感じだったんですけど、母ちゃん、亡くなっちゃったんで、もう生で見せることはできないんだから、今度は焦らずに「僕が一番強い」ってのを示すのがいいのかなって。だったら、誰とだってやればいいとも思えて、今回の防衛戦も「やる必要ないじゃん」って言われもするんだけど、大岩選手が僕より強いと思っているなら黙らせようかなって。今は(母ちゃんがいないから)時間もあるし、普通にやってもいいかなと思ったから試合を受けたってところです。

——以前から言われていたことですが、レオナ選手は「武尊選手に勝つこと」が最終目標ではなくて「一番強くなること」がそれなのですから焦らなくてよくなったと。

そうですね、全然もう焦ってはいなくて、時間が経てば経つほど僕は強くなっていくんで。どんどん進化していくんで。強くなるんで。(武尊選手も)先に早くやっていた方が後々よりはいいんじゃないのと思うんですけど。時間をくれれば手が付けられなくなるだけなんで。

——凄い自信です。

この最近の戦績で8連勝で6KOしてるんですけど、最近、KOする感覚が深まってきたんで時間が経てば僕の方がどんどん強くなっていくし。

——武尊選手とて日々の練習で成長していると思われますが、それよりも早い確信がある?

間違いないですね。僕の練習量は、普通の選手より倍も多いんで、その調子でやっていれば、1年で通常の2年分成長するんで。

——大岩選手や武尊選手も普通の練習量ではないでしょうが、それでも上と?

そうですね、戦績が証明してくれていますんで。

——確かに大岩選手が負けた朝久選手に勝ち、村越戦の内容からして武尊選手との対比など説得力があります。また、大岩選手は24戦してKO負けがないというタフネスを誇ります。

元々、全試合KOを狙っているんで、倒して当然だなと。ちなみに彼もKO負けはないかもしれませんが、僕も(相手のバッティングにより眉間から出血して)TKOはありますけど、KO負けはないんで、ディフェンス能力は高いんで、3年間、ダウンも1度だってしていないんで自信しかないです。

——改めて大岩戦の注目点は?

僕がチャンピオンらしく勝つところを見ていただければ。

——それはKO宣言でもある?

そうですね、今、こんなご時世なんで、皆、イライラしていると思うんで、この試合、メインだし、イベントを締めなきゃいけないなって。

——ご時世といえば、コロナウィルスで世界全体が混乱する状況、レオナ選手的にいかがですか?

さっきも言った通り、僕は時間をくれればくれるだけ強くなるんで、サボることも油断することもないし、モチベーションが低下することもないですね。やりすぎて身体を壊さないようにしなきゃなってことだけ注意しています。

——今回、観客数が限定されて少ない状態で興行を行わねばならず、無観客ということもある昨今ですが、レオナ選手の試合に影響は?

リングの上に立ってしまえば、僕と相手の1対1の世界ですから特に気にしないですね。そこで気持ちが削られてもしょうがないんで、試合だけに集中したいなって。

——そういえば、少し前に弟の加藤虎於奈選手と話した時、「兄ちゃんの練習量が凄いんで、そこ訊いてみてください」と言われました。先ほども普通の倍はされているとのことでしたが一体どれほど?

そうですねぇ、起きている時間の3分の2は練習しているかな。2部練、3部練、全部ひっくるめてですね。

——圧倒的な量ですが質は?

質は、自分の身体と相談しながらやってるんで、朝起きて「今日はこういう風にしよう」とか考えて、僕のことは僕が一番分かってるから、そこに妥協は入れてないんで、ちょっと他とは違うかなとは思います。

——そんな研究が自身の鍛錬だけではなく、トレーナーを務めるLARA TOKYOでも活かされているかと思いますがいかがでしょう?

虎於奈と半澤トレーナー(レオナの師でLARA TOKYO代表の半澤英俊)も合わせてかなりいい状態なので、会員さんには満足していただいていると思います。僕は「ちょっと厳しい」って言われることもあるんですけど、その分、丁寧にひとつひとつのことをしっかりと教えるので。

——LARA TOKYOの良いところを教えてください。

今日、気づいたんですけど、鏡が一方向ではなく各面にあるので、フォームのチェックが色んな角度からできていいなって。僕が正面に立ちながら横からのフォームもチェックできますし、かなり良いです。コロナ対策も完璧だし、ホントお薦めします。

——いつも一緒にいるイメージの虎於奈選手についても教えてください。

試合前に相手の物真似をしてくれるんですけど、それが完璧なんですよね。「コイツ天才なんじゃないかな」って思いますね。その動きと実際の試合にブレがないんで、予行演習していたみたいに本番に臨めます。

——今度の試合で気になる点で「武尊戦に気を取られるあまり大岩戦で足をすくわれてしまうんじゃないか」という心配があります。

僕はそんなにバカじゃないんで。昔、K-1のトーナメント(2016年4月24日、K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN ~-60kg日本代表決定トーナメント~)で先を見て1回戦の闘士選手に負けてしまったことがあるので、口では武尊選手って言っているんですけど、しっかりと大岩選手のことを見ているんで、舐めてもいないし、油断も隙もありません。自分できることは全部やるんで、その上で大岩選手がそこについていけるレバルにないなって。強くていい選手ですけど、チャンピオンの器には達していないなって思います。

——ここで例えですが、漫画「ドラゴンボール」のスカウター(敵の戦力を数値化する機会)があるとして、武尊選手が100としたら、レオナ選手と大岩選手はいくつでしょう? もちろん、勝負は数値が高い方が勝つというものではないということは前提で。

武尊選手が100なら、僕は65から70くらいな感じで、大岩選手は60くらいじゃないかなって。

——予想よりもかなり自分評価が低く、相手評価が高い数字に感じます。

まぁ、僕はそう感じています。試合当日の体調にもよりますが、そういった数字はありますが、メチャメチャ差があるとは思ってないんで、やりようによっては勝ちもするし、負けもするって解っているんで油断はないです。

——そんな引締めがありながらあえてお聞きしますが、武尊戦、いつどこでどんなタイミングでやりたという希望はありますか?

ちょっと一個だけ、皆、勘違いしていることがあるんですよ。僕が武尊選手とやりたいんじゃなくて、母ちゃんと「60kgのK-1のベルト獲るから」って約束したんで、武尊選手がそのベルトを持っているからやりたいんであって、別に武尊選手がチャンピオンじゃなかったらやる必要はないし。僕はただ約束を守りたいってだけだから。皆は「僕が武尊選手とやりたがっている」と思いがちのような気がするけど、本当は「K-1のチャンピオンになりたい」「母ちゃんとの約束を絶対に守りたい」とだけ思っています。別に時期もいつでもいいし。

——なるほど、武尊選手ありきではないと。

武尊選手が(K-1スーパーフェザー級のベルトを)返上するんだったらそれでもいいし、僕は60kgって階級から帰る気はないし、その階級にずっといるんだったらやらざるを得ないってだけですね。

——極端な話、現在、K-1フェザー級王者の江川優生選手がライト級に上げて、武尊選手がフェザー級に下げるといったことがもしもあったなら、武尊選手を追ってクラスダウンするのではなく、それならそれであくまでK-1スーパーフェザー級王座を狙いで江川戦も辞さないということですか?

他の選手は「有名になりたい」とかで試合しているのかもしれないけど、僕は「同じ階級の一番強い奴とやりたい」ってだけなので、階級が違うなら別に興味はないしって思っています。

——「有名になる」というワードから質問ですが、今、ファイター達がこぞってYouTuberになろうとしたり、実際、MMAですが朝倉未来選手は、ファイトマネーの何倍にもなるであろう大金を稼ぎ、K-1から出て行ってMMA転向宣言した平本蓮選手は、SNSの広報活動で何かと注目を集めるなど、各人が色々な活動を積極的に行っています。レオナ選手的にそのところの興味は?

そうですねぇ、お金がなきゃなんもできないですけど、人それぞれ、その人にしかできないことってあると思うんですよ。なんで、僕には僕にしかできないやり方があるし、朝倉選手や平本選手やYouTuberの方々に対して「何やってんの?」とは思わないし、むしろ僕ができないことをして格闘技を世の中に広めてくれてありがたいって思ってはいますけど、僕は別にそんなに興味はないですね。僕は、(K-1で)世界一になりたいだけなんで。それが僕にしかできないことですから。

——重ねて、最近、大人気の朝倉未来チャンネルで色々な格闘家とコラボ企画など募集していましたが、それにも興味はない?

ないっすね(笑)。

——それとは別にレオナ選手がYouTubeをするのであれば、どんな企画をするのか楽しみでもありますが。

特に別に企画なんてしたくもないし(笑)。ただ、僕はまっすぐ突き進んでいきたいだけだし。僕は、格闘技を始めたのが遅い方(高校1年生の秋より)で、最近は、幼稚園とか小学校からってのが当たり前で、僕にはそれがない分、そんなキャリア差を埋めるのに忙しくてそんなことをしている暇はないです。

——なるほど。最後に突っ込んだ質問で、武尊×那須川天心が格闘技界最高のドリームマッチと待望されておりますが、その実現前にレオナ選手が武尊選手を倒してしまう可能性はあるわけで、それを見越して那須川選手を意識はしていませんか?

いや、全然試合も見たことがありません(笑)。

——見てない?

時折パッと出てくる凄いの(ダイジェストやワンポイントVTR)あるじゃないですか。バックスピンキックでタイ人をKOしたりとか。そういうのは見たことありますけど、基本的に他人に興味がないんで見ないっすねぇ。

——それはイコール那須川選手に興味がないということでしょうか?

そうっすね。自分とやることがあれば見るんですけど、やんない人のことを見ても仕方ないんで。

——話を整理すると、お母さんとの約束もあってK-1スーパーフェザー級王者となる。そこに現王者の武尊選手がいるからそこを狙う。ならば、そこで勝利した暁には……とはならない?

まぁでも、世界一には興味あるんで、けど、そんな先を見ててもしょうがないんで、まずは一個いっこクリアーしなくちゃならないなって。僕は、今、K-1のチャンピオンになることだけを考えてるんで。

——最後にまとめです。レオナ・ペタス、または加藤玲於奈は、何を目指して、どこまでいって、何を成すのでしょうか?

親とか兄弟とかジムの関係者やスポンサーの方とか自分と縁のある人にすごい応援してもらっていて、更に僕の出身地の埼玉県入間市も応援してくれていて、なんで、入間市のちっちゃな子たちに「頑張ればどこまでもいけるよ」っていうのを見せたいし、突っ走って飛び抜けて、自分にしかできないことをやりたいなって。

2020年6月6日 其の五 了

レオナ・ペタスのプロフィール

リングネーム:レオナ・ペタス
英語名:Leona Pettas
本名:加藤 玲於奈(かとう れおな)
所属:THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO(短称:LARA-TSG TEAM TOP ZEROS)
生年月日:1992年4月29日
出身地:埼玉県入間市
身長:175cm
血液型:A
戦型:オーソドックス・ファイタータイプ
得意技:右ストレート
プロデビュー年月日:2012年6月17日
戦績:33戦27勝(12KO)5敗1分
プロステータス:第9代K-1 KRUSH FIGHTスーパーフェザー級王者、2016年英雄伝説アジア60kg級トーナメント優勝
アマステータス:第210回新空手道東京大会K-2トーナメント軽量級優勝(2011年)、第5回J-NETWORKアマチュア全日本選手権Aリーグフェザー級優勝(2011年)
キャッチコピー:石の拳
Facebook:https://www.facebook.com/reona.kato.77
Twitter:https://twitter.com/rerereoooo
Instagram:https://www.instagram.com/ktron04/

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