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本態性振戦歴25年の僕がこの体質について書いてみる

みなさんは本態性振戦(ほんたいせいしんせん)という体質(病気/障害)を知っていますでしょうか?

タイトルを見ると戦歴となってなんかカッコいいですが、ある意味生活する上で戦ってる事は間違い無いですね。

簡単に言うと体が震える病気(振戦)です。
寒いからとかではなく、緊張何か行動(コップをもったり)した時に震えが起こる傾向があります。

小学4年生ぐらいの時からこの本態性振戦と付き合っている僕が何ものなのかという事を書いてみようと思います。
今回はなるべくストーリー話(経験談)は無しにして病気についてだけにまとめます。

本態性振戦の特徴

- 手/首/声の震え
-
発病は全年齢(40歳以上の1人/20人、65歳以上の1人/5人)
- 若年層
でも発病する可能性あり
- 緊張
から症状がひどくなる
- 遺伝性
がみられる
- 原因不明
(一部情報あり)
- 震え以外の症状は無い

「本態性」という言葉は「原因がよくわかっていない」という意味です。
つまり、

本態性振戦=原因はよくわかっていないけど、震えることは確認されている

という事です。
僕はいつも体質という言葉で本態性振戦について話をしますが、「障害」/「病気」という医師の方もいらっしゃいます。
体質という方が、何となく自分的に軽い感じに受け取れて、暗示となって震えが落ち着く為そう言っています。

この病気はほとんど進行しないことが分かっています。
僕自身25年前からほとんど症状は変わっていないので、その部分では安心しています。
昔は「病気が進行して手の震えがひどくなるかも...」と考えていて、それが震えを余計悪化させていました。

原因不明となっていますが、一部では原因の特定が進んでいます。

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高齢者の体が震える原因とは? – 「本態性振戦」の発症メカニズムをマウスの脳から探る
https://academist-cf.com/journal/?p=11209

すごく簡単に要約しますと一部のタンパク質が生成できないことが原因と考えられています。

震えのメカニズムとしては交感神経が過剰に興奮して、収縮と伸展のリズムがそろってくるために震えが強くなります。
そのため精神的な緊張があると交感神経の働きが活発になって震えが強まります。

本態性振戦の治療法

震えを抑える治療法はいくつか存在します。

- 震えを弱めるベータ遮断薬(一部保険適用)
- 抗不安薬や抗てんかん薬
- 脳深部刺激療法
- ガンマ線や集束超音波で視床の一部の凝固

最も一般的なのは一番最初に明記したベータ遮断薬での飲み薬での治療だと思います。
僕も初めて診断を受けたときに「気になるときに飲んでください」と処方されました。
ただ、このベータ遮断薬は喘息の場合には処方できないので、その場合は抗不安薬などでの治療法になるかと思います。
気になる前に飲んで1~2時間で効果が出る形です。
主に指先の震えが緩和されるような感じで、人前で話をするときに飲むような形でした。
常時飲み続けると少しマシかなという感じですが、薬に頼り続ける生活に疲れてしまい僕は途中で辞めてしまいました。

他にもカフェインを控える事でも症状が緩和される場合もある様です。
また、アルコールを飲むと緩和される事が分かっている様ですが、アルコール依存症を併発する可能性があるので、治療法では無いですね。

外科治療として最近注目を集めているのが、MRガイド下集束超音波治療(Focused Ultrasound Surgery : FUS )です。

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新百合ヶ丘総合病院HPより
http://www.shinyuri-hospital.com/department/fus/index.html

この治療法は、原理としては視床を正確に熱凝固する形です。
皮膚切開/穿頭/脳に電極を刺入することなどが一切不要なので、患者ストレスが少ない手術です。
ただ、欠点として超音波が通りやすくするために全剃髪が必要なので女性や小さいお子さんは少し抵抗があるかもしれませんね。
また、頭蓋骨の条件が良くないと十分な治療効果が得られない、ということが挙げられます。
この方法は、2019年6月から保険適応となり、2020年4月からは脳神経外科の手術(集束超音波を用いた機能的定位脳手術)として扱われるようになりました。

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新百合ヶ丘総合病院HPより
http://www.shinyuri-hospital.com/department/fus/index.html

本態性振戦とパーキンソン病の違い

この病気は良くパーキンソン病と間違われます。
どちらも震え(振戦)という部分では同じなのですが、下記のような違いがあります。

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※パーキンソン病に誤解が無いように説明を加えると
若年性パーキンソン病:パーキンソン病のうち約10%
遺伝性(家族性):パーキンソン病のうち5%~10%
一定数はパーキンソン病でも若年/遺伝性もあるということですね。

本態性振戦は動作時に起こりやすく、遺伝性があるのが特徴ですね。
僕も父親が同じ体質をもっていて、父親にちゃんと聞いたことは無いですが、恐らく治療もしていません。
(「年を取るとこういうもんだ!」と思っていると思いますw)

上記表にのせていませんが、本態性振戦の特徴の一つにが震えるというものがあります。
僕の小学校では歌のテストでみんなの前で1フレーズ1人で歌うというものがありました。
それが本当に辛かったことは今でも記憶しています...
友達とのカラオケではあまりこの症状が起きなかったので、緊張から症状が大きく現れたという認識です。
心理的な緊張から症状をひどくなることも本態性振戦の特徴ですね。

おわりに

今回はなるべく僕自身のストーリ話はせず、本態性振戦という病気だけについてまとめさせていただきました。
少しでもみなさんの中で「こんな体質(障害/病気)があるんだ」と気づきになってもらえたら非常に嬉しく思います。

普段の生活で同じような症状の方に出くわしたことがある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
これは個人的な考えですが、その震えに気づいても何も言わないでほしいと僕は思っています。
これはその人との間柄によるかもしれませんが、震えを一番自覚しているのは当の本人です。
止めたくても止めれない、さらに「震えてるけど?」と言われると余計精神的に意識するようになり、人と会うことが億劫になります。
もちろん非常に仲が良かったり、親族であれば相談にのってあげてほしいと思いますが、何も言わないでいてくれることが一番落ち着いていられると思います。

同じ症状が出ている方がいらっしゃれば、それがまずは病気の一つだと認識してもらえたらと思います。
僕がこの症状について知識を深めていったのは大学生になってからで、それまでは漠然と訳の分からない病気に不安と辛い日々でした。
それから、症状を理解してくれる友人、周りの人、病院(神経内科の先生)に恵まれて、今ではこの体質を受け入れることができました。
そして科学技術の発展によって治療することができるようになってきて、最近ではこんな器具(機械?)も世の中に出てきています。

原因がわかっていない病気ではありますが、生きていくうえですでにいろいろな形でサポートを受けられるようになっています。
症状に差はあると思いますが、決して悲観的にならず「こういった体質なんだ、生活に支障が出るようになったら治そう」ぐらいの気持ちで心穏やかに過ごしてほしいと思います。
音楽の通知簿はずっと「1」だった僕でも幸せに過ごしていますw

最後まで読んでいただきありがとうございました!
「こんな特徴もあるよ!」、「ここ間違ってるよ~」という指摘があればコメントにて教えていただければ幸いです。
この体質に対して、僕の経験談心の持ち方については、また別記事で書いていこうと思います。
本態性振戦の「こんなことを知りたい!」、「こんな時はどうしている?」など気軽にDMでもコメントでも送って絡んで下さい。

皆さまと一時を共有できたことに喜びを。

自分自身に満足することができ、誰とも自分を比べず、誰とも競わなければ、誰もがあなたを尊敬してくれることだろう。
《老子》
【参考サイト】
-コトバンク「本態性振戦」https://kotobank.jp/word/%E6%9C%AC%E6%85%8B%E6%80%A7%E6%8C%AF%E6%88%A6-632310
-omuronコラム「vol.51 パーキンソン病と間違えられやすい『本態性振戦』」
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/51.html#:~:text=%E6%9C%AC%E6%85%8B%E6%80%A7%E6%8C%AF%E6%88%A6%E3%81%A8,%E3%81%AE3%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
-大日本住友製薬「本態性振戦の基礎知識」
https://healthcare.ds-pharma.jp/disease/tremor/detail/01.html
-高齢者の体が震える原因とは? – 「本態性振戦」の発症メカニズムをマウスの脳から探る
https://academist-cf.com/journal/?p=11209
-PDネット「若年性パーキンソン病」
https://patients.eisai.jp/pdnet/disease/causeyouthfuldisease.html
-わかりやすいやすい病気の話
https://www.japha.jp/doc/byoki/024.pdf
-新百合ヶ丘総合病院
http://www.shinyuri-hospital.com/department/fus/index.html



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