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悪魔的‼︎編入は鉄骨渡り…‼︎


迷ったら…望みだろ…
望みに進むのが気持ちのいい人生ってもんだろっ…!
リスクを恐れ動かないなんていうのは
年金と預金が頼りの老人がすることだぜ!

   福本伸行『賭博黙示録カイジ』講談社



秋も深まると
編入志望の子たちと
さかんに情報交換するようになった
そこで知ったのは
編入予備校の存在だった

私は2年生になり
そこに入学した

土気色の顔をして死んだような目で
でも必死明日を探しているような
そんな人が大勢いた

ここはさしずめ地下労働場だ
みんなここから這い上がりたくて
努力している

編入を選ぶという事は就活はしない
背水の陣でみんな予備校に来ている
まさに編入は鉄骨渡りゲームだ
運否天賦に任せてただ前を見て進むしかない



ここで少し
編入試験について説明する


大体の大学が
例えば経済学科だったら
経済についての小論文や
基礎知識を問うテストなどがあり
そのほかに
英文で書かれた経済学の論文の抜粋を
逐語訳の試験がある

もちろん英文法を間違えてはいけないし
経済学の専門用語を英語でも理解している
その前提での試験だ



9時に短大に行き
19〜21時まで予備校に行く事になった
土日は専攻科目の講義が半日あった

実質休みナシ
これ絶対つらいやつやん!


短大の講義が終わると
編入予備校のある駅まで移動し
ファストフード店で
予備校の復習をするようになった

私は少し賑やかな場所で
勉強するのが好きだった

だから
時間にかなり余裕があっても
あえて予備校の最寄駅に行き
ファストフード店で食事をし
勉強していた
この町の支払いはもちろんペリカだ


編入予備校は月金で
英語論文の逐語訳だった
人文学系と社会科学系の
ふたつのコースがあった

私の志望学科は人文と社学の
どちらの知識も必要だったので
どちらも履修した
1日90分×2コマ
そのほかに専攻に沿った小論文も履修していた



私は英語で非常に苦戦していた

英語の講義は
前半にテストを受け
講義の後半は前回のテストが添削して返され
その解説を聞き
理解するという形式だった

テストには
名前 短大名(大学生もいたので大学名)  志望大
この3つを書くが
添削されたテストで
志望大合格ラインなら
点数の欄に赤ペンではなまるがもらえた


毎日休みなく予備校に通い
ひたすら専門書の英文和訳のテストを受け
丹念に復習する

これは結構なハードワークだった
講師たちはよく相談や質問に応えてくれたが
それでもつらい毎日だった


専門科目が一緒でよく話していた子は
胃潰瘍になった

「精神的にヤバくて、
胃が痛くて胃カメラしたの。
映像見せてもらったら、
胃の中血だらけだったよぉ。」

泣きそうな顔で
彼女はきれいな顔を歪ませた

「大変だったねぇ…。私も気をつけるね。」

かなり驚いたが
彼女が気の毒過ぎて
気の利いた言葉もでなかった
悲しきコミュ障…


「そうだよ!この生活普通じゃないからね。
レナちゃんも体気をつけてよ。」

私の腕を軽く掴みながら
今度は少し微笑んでいて
私はいつもどおりの彼女に安心した

私も少し精神的にヤバいかもなと
思った



夏になり
初めてはなまるをもらった時は
家に帰って答案用紙を抱きしめて泣いた
キンキンに冷えてやがる‼︎
犯罪的だ…‼︎
あああああああああああああああああ



その頃から
私はバーンアウトして
寝る前には必ず訳もなく涙を流していた

欲望の解放の仕方が下手っぴだったのだろう
ああ 私もビールと焼き鳥を買えばよかった

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