lapislicht

アニメが好きです。哲学やスピリチュアなことも。

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最近の記事

くらやみ

 遊歩道に入ると、少し下ってまた上がるのだが、その辺りで、周りを見渡す。木々の間から外界の光が見え、暗闇の中から、外の世界を覗くぐわいになっている。 そこは、おそらくこの林の中心で、閉されたその世界に独りきりというのが、とても居心地よく感じる。 そこからはやや下りながら進む。 ふと後ろを振り向くと、何か存在を感じる。むかし見た水木しげるの"べとべとさん"というと、夜道を付けてくる妖怪であるが、そんな気配を感じた。 見ると、木をうねって避けながら道が続いている。 そこに、透明な

    • 白い花

      冷い風が肌をかすめたので、見ると、白いものが舞い降りている。 少しどきっとするが、ハリエンジュの花びららしい。 どうやら前線が通過したみたいだ。 その中を、すぐ前には、庭の木が、スズランを短く開いたような小さな白い花を鈴なりに付けている。

      • 日暮れ

        木々の幹が、染まり ハリエンジュの花々もオレンジに照らされて、 林に、提灯のように浮かび上がっている。 その下には、虚のように、暗い穴ができて、 奥の世界の入口のように口を開けている。 人がその前を通り、 それは3メートルぐらいあることがわかる。 今、その人の肌も、赤く染まった。

        • 日記20190522

          ハリエンジュというのだろうか。 北の門をくぐると、今、藤の花に似たマメ科の白い花がたわわに房をつくって咲いている。 藤とは違い背の高い樹木で、林のなかでもとりわけ目立っている。 その木を見上げたり、近づいたりしながら、しばらくすごしたあと、林の脇の歩道を進み出す。 すると、視界に入った林の奥深さが眼前に広がり思わず立ち止まってしまう。 その突如の異世界参入から抜け出して、周りを少し歩いて見ると、ちょうどその周辺だけ林はそのような姿を見せている。 そこだけ木々がうまく重なり合

          日記20190422

          ベーカリーでタルトを食べたあと、普段は入らない道だったが、林の中の山桜に釣られて、計算機センターの脇道を下る。 それは、運動場方面へと下る道なのだが、見ると、林に遊歩道の入口がある。 その奥にも、山桜が咲いているのが見えたので、その道に入ってみる。 遊歩道は、いわゆる公園のそれではなく、むしろ山の散策路といったもので、いまの季節でなければ鬱蒼として歩けないかもしれない。 山桜は、林の中を吹き抜ける風に、花びらをひらひらと散らしていた。 林を抜けると、農学部の裏側に出る。 そ

          日記20190422

          日記20190416

          桜を観照したあと、図書館に入り、二階のテラスに出る。 天気が良かったので、海をみようとねらっていたのだ。 一面には、広場の特設ステージから、新入部員勧誘の演奏が響いている。 部活が代わって、ロックからフォーク風の楽曲になる。 気持ちのよい曲だ。 しかし、相変わらず耳が痛くなりそうな音量で、植物たちは大丈夫だろうかと周りを見てみると、広場から階段を下がったところに聳えるポプラ、並木のケヤキたち、遠くに見える松林の木々も、何かほんのりと光でつつまれてそれに呼応しているよ

          日記20190416

          夢日記 20190405

          星々が見え、透明なはるかな水面にそれが映っている。左奥へと進むと、正面と左右上下に壁が現れて、そこに、アラベスクのような紋様が見える。 『ケムリクサ』のようだ、とも思うが、何かちがう感じがして、そこは空間の果てで、平面へと射影されて、そのような紋様になっている、と感じられる。 何が射影されているのかと見ていると、どうも自分の体が射影されているらしく、それなら、体を置いていかなければ越えられない、と思う。 その背後に意識を向けると、空に入道雲が見え、その奥に紺のような深い

          夢日記 20190405

          「優しさの理由」

           米澤穂信(よねざわ ほのぶ)の小説『〈古典部〉シリーズ』のなかでも、『愚者のエンドロール』が最も気に入っている。このシリーズは、2012年にアニメ化(『氷菓』, 2012.4-9)され、『愚者のエンドロール』は、その8-11話に相当する。このエピソードで、主人公・奉太郎は、未完の自主製作映画の犯人さがしを依頼される。  米澤穂信の作品は、『ドグラマグラ』のように端的にではないが、いわゆるアンチミステリ性を持っている。『〈古典部〉シリーズ』のヒロイン・千反田えるは、主人公で

          「優しさの理由」

          数の意味

          Die Hexe (mit großer Emphase fängt an aus dem Buche zu declamiren.) Du mußt verstehn!       汝会得すべし。 Aus Eins mach' Zehn,       一より十を作れ、 Und Zwey laß gehn,       二を去らしめよ、 Und Drey mach' gleich,      直ちに三を作れ、 So

          数の意味

          「星を見る少女」

           銀河の円盤が見え、中心から、ジョット状の光の軸が立っている。それに沿って上昇すると、それが、溶けた銀のヘビの頭のように見える。—すると、暗い水面に出る。  水面は、やや波立ちながら、奥へと流れていて、奥側は、波に光が反射して白っぽい輝きになっている。耳をすますと、ちょろちょろと水音が聴こえる。どうも、それは、背後から聴こえ、振り返ると、暗くてよく見えないが、そこに水が落ちているようだった。  その流れと共に下ると、輝きは、灯籠の明りのように見える。そして、それは、よく見る

          「星を見る少女」

          Strength,「力」

           タロットカードに、「力」(XI Strength; 伝統的なマルセイユ版では、大アルカナの"XI"であり、現在主流のライダーウェイト版では、「正義」と入れ換って"VIII"である)というカードがある。カードの示す意味は、「力」そのままの意味である。  ユングは、タロット研究に執心していたと言われているが、アメリカのユング研究所において長年講義をしていたサリー・ニコルズ(Sallie Nichols)は、著書『ユングとタロット』(Jung and Tarot: An Arc

          Strength,「力」

          木との話し方

           正午ごろ、林の上を見ると、綿を伸ばしたような雲の隙間に、青を通り越した紺に近い空が覗いている。すぐ前にある照葉樹の葉が強い日射しにキラキラと輝いている。その間に立つ松の葉は、ゆっくりと揺れていて、まるで風と戯れているように見える。それを見ていて、以前よく訪れた湖畔のポプラの木のことを思い出した。  それは岸辺に一本だけ立つ大きなポプラで、橋の上からそれを眺めるのが好きだった。捻れるように大きく広がる枝に無数の葉の輝きが揺らめいているのを見ていると、こころが解き放たれて風と

          木との話し方

          朝日と夕日を見て思うこと。

           少し前に、南向きの部屋に引越した。やや東向きで、朝日がとても気持ちがいい。前に丘状に上がる林があり、それが、道によって山のように三重に折り重なって見えるのだが、それが、射し入る日射しによって切られたように照し出される姿はとても神々しい。現在の季節だと9時頃にそのような景色を見ることができる。  もともと日当たりを期待して南向きの部屋を選んだのだが、斜めから射し入る光には独特の魅力がある。これは朝日だけではなく、夕日にも当てはまる。午後、日の光が同じような角度で射し入るのは

          朝日と夕日を見て思うこと。