アオ

短歌初心者です

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よるにたゆたう

真夜中のアイスクリーム無気力な身体をさらに貶める味 何もかも消したいような衝動を抑えるためにただ息をする 眠りたいこの先に来る憂鬱はすべて夢だということにして 昨日でも今日でも明日でもない場所を夜と名付けてたゆたっている

    • YOU-3

      きらきらと命のかけら播き散らし一途に踊る君を見ている 太陽と君の笑顔を保存して真夏の空に架ける思い出 拗らせたこの思いさえ七色の光に変える君はプリズム 神様に推薦したい誰よりも幸せでいてほしいのは君 健康でいっぱい食べてよく寝てねそして明日も笑っていてね 君を呼ぶ数多の声に覆われて化石になるのを待つだけの愛

      • 未だ来ず

        旅人は砂漠から発つここからは空が一番遥かに見える 少年の海はむらさき青春の涙と愛が融け合った色 いつか見た天の川より美しい星を知ってるかならず逢える

        • だめ、のち、だいじょうぶ

          明日へゆく勇気を持てぬ者たちを静かに運ぶ最終電車 涙でも溶けないウォータープルーフの鎧が邪魔だ、壊れたいのに 寝返りを打ったはずみで浮き上がる心の澱で濁ってく夜 装丁はきれいだけれど空白に支配されてるわたしの図鑑 健やかに目覚めてしまうそれだけで狂う心もあるということ 帰り道かさつく心撫でたくてマスクの中で口ずさむ歌 ひとりでは泣けないトラック三番の二分三十一秒を待つ 辛い日も満ち足りた日も平凡な日にも聴きたい一曲がある 朝起きてから今までのあれこれをいちいち君に伝えたい日だ

        よるにたゆたう

          recently

          知っているはずなのにまた太陽に慄く二十八度目の夏 交差点、人とぶつかる、きっと今、わたし似合わない服を着ている 「幸せでいてね」心の内側に付いた手垢をごしごしと拭く ゆるく手を繋いでいたい疲れたらいつでも離れていけるように 泣く場所を探してるのに夢の中ではいつまでも雨が降らない 悲しみは五臓六腑をかけめぐり涙は同じ道をながれる 明日には自分のことがちょっとだけ好きになれるといいね、おやすみ

          recently

          あきらめている

          フィクションを泳ぐ 誰かの涙を借りないと泣けないおとなになった 込み上げる悲鳴と涙を飲み込んでゆるい速度で腐る心臓 静けさを耐えぬくための柔い殻ふとんのなかでゆめをみている 美しく咲けない花もブーケになるときのリボンを想ってもいい どの声も掬いたかった手のひらがあと少しだけ大きかったら もう誰の敵にも味方にもならない見上げた空は冷えた青色 腕の中おさまる温度と質量がわたしをここにとどめてくれる

          あきらめている

          YOU-2

          未完でも虚構でもいい 君が持つ物語ごと愛してしまう 届かないひとと知るほど好きだからきらめく星を君の名で呼ぶ 手に取って眺めてみたいまっしろな君に浸み込む世界の彩度 あのひとの吐息が起こすさざなみを想うときだけ巡る血液 君は花、愛だけ食べて。まだ誰も見たことのない色でひらいて。 さよならはただの文字列何度でも君に出会って詩になるいのち あこがれと恋はねじれの位置にありむやみに弓を放つべからず 星を抱く夜空のように果てしない闇を孕んで君を見ている ねえ愛しすぎてごめんね、悪い夢

          デジタル・アイデンティティ

          あの頃のハンドルネーム呼ぶひとと居てこの星の確かさを知る 夜もすがら紡ぐわたしの赤い糸だれかの脳に繋がっている 恋ごころスマートフォンに降り注ぐだって絵文字のチョイスがすてき 愛するということそれは無防備な君の写真が増えていくこと 「興味がない」タップひとつで消えていく遠い誰かの心の叫び

          デジタル・アイデンティティ

          ME

          春風にさえ立ちすくむ臆病なわたしに七分袖は優しい 「いいママになりそうな人」第2位の女がつつくコンビニ弁当 夜もすがら紡ぐわたしの赤い糸だれかの脳に繋がっている 明日なんて来なくていいと思うからブルーライトで網膜を焼く 懐かしい場面ばかりを夢に見るたぶん走馬灯のリハーサル くたくたに疲れて眠るときにだけ夢に出てくる街並みがある 飲み込んだ数日前の悲しみはちょうど胃液で溶かしています

          いもうと

          すやすやと眠るかわいいいもうとの髪撫でながら夜更けに祈る 十年前ママのお腹に置いてきた強さを持って産まれた天使 はつ夏に揺らめいていた陽炎は君が放った光の名残慈しんだことも苛んだこともこの両腕に記憶している 正しさは諸刃の剣 血が滲む心をそっと拭ってあげる へたくそな愛し方しか知らない子 うまく教えてこなくてごめん 泣きながら拭ったはずの足跡を君が見つけて辿り始める お下がりの地図など捨てて飛んでいけ同じ航路じゃつまらないから 願わくばこの告白を知らぬまま世界でいちばん幸せ

          いもうと

          YOU

          今日、君は幸せだった? 祈るように画面を撫でるささくれた指 愛しくて流す涙のあたたかさ君を見つけて初めて知った 眠れない夜は羊に寄りかかり君の良いとこ数えて過ごす 朝露に霞に夜の霧雨に君のしずかなまなざしを観る忘 れたく ない シャッ ターを 切る ように 踊っ てる君 刻む まば たき 君だけに向かう心の輪郭をやさしい歌がなぞってくれる 花びらが開くみたいに笑うから左心室から春がまた来る

          弱虫なままで生きてく

          飲み込んだ言葉をうまく溶かせないままで虚ろにふくらむお腹 あんなことさせてごめんね 我儘な夢から覚めてこの胸を裂く 涙より早く流れろタイムライン悲しいわけに気づけないほど 丁寧に並べたハッシュタグは祈り #わたしを見つけて #そして認めて 手折られたならば栞になれたのにひとり静かに枯れてゆく花 思い出は結局ぜんぶ可燃ごみせめてじょうずに燃えますように 弱虫なままで生きてく新しいスニーカーさえ希望と呼んで

          弱虫なままで生きてく

          食レポ

          幸せはひとりにひとつあるべきだたとえばショートケーキの苺 灼熱で食べるそばから溶けていくアイスキャンディーみたいな恋だ あの曲のMVみたい缶ビール持っていつもの夜道歩けば 許すって簡単なこと チョコパフェのコーンフレーク残さず食べる

          食レポ

          グッド・ナイト

          愛しさが満ちる夜がある目を閉じてこの純情を星へと変える この部屋を世界のすべてと定義して眠る子猫の微かないびき もし僕がバクなら君が見る夢はきっと一番最後に食べる 忙しいあなたが眠りに就く前にえがく明日の補語になりたい

          グッド・ナイト

          バッド・ナイト

          午前四時 今日と明日の境目に漂いながら雨を聴いてる わけもなく眠れぬ夜に冷蔵庫だけが静かに唸ってくれる 誰がために明滅するか青信号さよならさえも眠る夜更けに 秒針の音に震える永い夜死ねる勇気があればいいのに

          バッド・ナイト

          乙女

          連れ立って花を摘んでる少女らは致死毒さえも回し飲みする 先生は知らぬ振りする おんなへの階段上る教え子たちを 昨日より短くなったスカートがひらり、彼女は私を捨てる 第二ボタンなんか要らないその奥の熱く脈打つこころが欲しい 初恋に睫毛を濡らす幼気な少女に愛を(ビッチには死を)