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明かし

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俳句と短歌を束ねました
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#創作

黒と赤、そして花

黒と赤、そして花をモチーフとした夏の俳句二句です。                   …

十薬 じゅうやく

十薬の 朝の匂ひや 真白なる 小さき蕾と 潦透きて   ※潦:にはたづみ(にわたずみ):雨…

野蒜 のびる

雨上がり野蒜の花のきはやかに      雨上がりの朝の庭。ピンクの花が咲いてる? 近づく…

蜆蝶 しじみちょう

苜蓿の大き葉寝まる蜆蝶    ※苜蓿(もくしゅく):クローバー    寝静まっていた今朝の…

きりぎりす

やぶきりの 幼姿(おさなすがた)の 新芽色 プラスチックと 見紛(まが)ふ艶を    今朝の…

雨蛙 あまがえる

雨蛙 あけのつつじの 花の中 ほいなき朝寝(あさい)や 雨を浴みつつ    ※ほいなき(本意…

夕庭 ゆうにわ

こもれびの たんぽぽたづね あそびゐる 乙女清しき夕庭の風    木々が春の光を浴びている。その木漏れ日に照らされたタンポポの花のきらめき。綿毛の輝き。風をもとめて背をのばして咲いている。風はすべてを心地好くする。夕庭の光を数えて止まないひととき。

海界 うなさか

白波の春の雲をものごふまで    サブマリンテラスの光よ永き日よ    ※サブマリンテラ…

蒲公英 たんぽぽ

元気の案内(あない)たんぽぽの手前にて    家の裏手にひっそりと咲いていました。明るい黄…

躑躅 つつじ

あさなけに 匂ふつつじの きよらなる あけの影はも 心照らひて    朝昼に美しく咲いて…

遅桜 おそざくら

遅桜手にこそはゆき風を受く  (遅桜 手にくすぐったく感じる風を受ける)   家の桜、今年…

鶯 うぐいす

椿より 椿へ躍(おど)る うぐひすの 吾(あ)の驚きに 彼(か)も驚きぬ   鶯がいるのを知ら…

椿

赤雲の たなびく夕に なびくかに 紅き椿の 散らふ束の間    夕暮れ、赤い雲が横に長く…

玉響 たまゆら

ほの動く白き砂紋の音に春   たまゆらの香なれどすみれの花束     ※たまゆら:しばらくの間 わずかの間