名J-POP考 第18回  森田童子 『ぼくたちの失敗』(1992年版)

もう分かりますよね。『高校教師』のラストを見れば。つまりこの曲は「死」を象徴する曲になったのです。


いや、あの2人は赤い糸で結ばれてただ車内で眠っているだけだよという解釈も出来ますが仮に生きてていても「社会的死」は免れませんので。

この曲は1976年のLPレコード盤ではないかという人もいますがレコード音源とCD音源はやっぱり違いますので別の曲とさせていただきます。

なぜならレコード音源はCDが拾えない音域まで収録出来るのです。つまりCDが捨ててしまった音があるということになってしまうんです。だから1992年版『ぼくたちの失敗』は1976年版とは別の曲です。同じように聞こえますが。

そういう意味では1976年にJ-POPを出したという驚愕の記録を達成したことになります。そうだよね。1992年にはジャズ喫茶なんてまあほぼ消滅していたしね。

こうして考えると1970年代前半のライブハウス活動者の曲が時代を超えてヒットという部分にJ-POP再生のヒントが見えてきます。つまり90年代という音楽黄金時代にはまだまだ我々には知られていないような名曲がたくさんあるのではないか。それを2020年代にドラマ主題歌やCMタイアップ曲に使っただけで大ヒットするのではないか。

最後に筆者はあの『高校教師』のラスト2人は心中したと思ってますしその方が2人にとって幸せだったと思う。

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