名CM考Ⅱ 第五三回 1999年 日本移動通信 「cdmaOne」

たしかにここで何度も金融危機以後日本は心停止したと言ってますが見てください。当時はまだこのくらいのCMは流せたのです。今やこれがアップル製品のCMですからね。

で、日本移動通信って何の会社の事だってなるとは思いますがこれが「IDO」で昔は自動車電話の会社。要はVIP用の移動電話通信の事です。NTTがショルダーフォンを作ってた80年代にトヨタはVIP用の自動車用移動電話を作ってたのです。そこに中部電力と東京電力が加わりました。こうして日本移動通信が発足したのです。

昔の映画ではよくラスボスが黒塗りの高級車の車内で電話をかけていたというシーンを思い出してください。

筆者注

で、実はこの年に日本移動通信はKDDIに加わるのですがそれは次の話に。実は「KDD+DDIでKDDI? IDOはどこへ?」となってしまったのです。それを逆手に取ったギャグCMまで展開しました。

cdmaOneって実は当時の第三世代携帯電話のドコモのより当時通信速度が早かったんだとか。
KDD(国際電信電話)は1998年までKDD法に基づく特殊会社でしたが廃止になって純粋な民間会社になりました。そうなんです。元々はどちらも電電公社なんですよ。民営化した時に国内電話がNTTで国際電話がKDDとなったのです。で、昔からDDIと合併しようとしてたんですがKDD側のプライドが邪魔してよくDDI側を怒らせて破談になってました。しかしいつまでもプライドだけで飯は食えないしこれからは移動電話つまり携帯電話の時代だということで実は影の中核会社はこのIDOなのです。

それでも合併してKDDIになっても規模は当時のNTTの半分です。だってNTTって1989年に時価総額世界1位、つまり今のグーグルに匹敵するぐらいの超・巨大IT企業ですよ。日本にそんな時代があったって言っても……今の子は信じてくれませんよね。さっき紹介した富士銀行は世界4位、1位はNTT要は日本電信電話です。つまり日本はハードでIT分野の世界トップに立った時代があってその名残がこうやって90年代末までは生きていたということです。そんな企業にKDDIは立ち向かったのだから滅茶苦茶勇気のいる事です。

日本のIT業界はハードまでは作れた。でもソフトはてんでダメだった。


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