名J-POP考 第10回 佐野元春  『約束の橋』

私、この曲は単に人生応援歌という枠を超えて「終活」まで使える名曲だと思うのですよ。君の人生は間違いじゃないって言ってくれる曲ってそうそうないですよ。


この曲自体1989年にリリースしたけど売れなくて1992年にフジテレビ系ドラマ『二十歳の約束』の主題歌でブレイクしたので3年越しの曲です。

主人公の赤木純平って横須賀在住の高卒非行少年なんだよね。それをヒロインや藤村旭という近所の大学野球部に所属する友人が助け合うって話なんです。

横浜・横須賀地区で野球部強豪の大学ってあそこしかねえよな。まあ、当時はバブル崩壊直後なのでニッコマ未満でも人生は約束されてたんですよ。だから非行少年をも救う余力があった。今だったら近づくなとか負け組とか罵声浴びせるだろうね。たとえ、それがドラマの脚本だったとしても。

「俺は高卒だから、俺は大卒だから」と分断する社会はみっともない。『二十歳の約束』というのはそういう共助を呼びかけるドラマなんだ。そもそも主人公を助ける側のモデルとなった大学はミッションスクールでしかも戦後に卒業生が戦災孤児のために児童擁護施設を大量に作った学校なんだしね。ところが平成という時代は上を見るな、下を見ろとばかりに下の階級を増やすわけだよ。今度はFランとか大卒とはみなされない大学という下層階級を作るわけ。つくづく日本人ってクズだよ。そうやって社会の連帯を切るわけ。なので今の時代非行少年とつるんだりしたら現実的には大学生側も退学処分とか警告だろうな。

残念ながら人間としての大事な心を失った令和の時代に『二十歳の約束』令和版は作れないよ。

『約束の橋』という曲は赦しを問う曲なんだ。

-----------------------------------------------

おまけ



どうですか。1992年には「誰かが君のドアを叩いてる」って曲も発表されました。すごくないですか。このCMを『NEWS23』の合間に流してたんですよ。凄い時代ですよね。当時の中高生はニュース番組の合間にサラッと名曲を聴いてたわけだ。CMとともに。佐野元春氏の魅力に気が付いてくれたら幸いである。

「誰かが君のドアを叩いてる」の全曲はこちら


「音楽は『力』。 今、君はそれを手にしている」

かっこいいセリフじゃないですか。今こんなことを言えるアーティストっていますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?