見出し画像

西武百貨店のストのインパクトはあまりにも大きすぎる

単にね池袋本店って西武の本社があるわけではなく戦後の文化を担ってきたところなんだよ。特に高度成長期のヘリ遊覧とか今では考えられないことを行ってきたわけ。また1975年には日本初のアルマーニ出店、日本初のタケオキクチ出店など80年代セゾン文化の発信点だったわけだよ。それとキャッチコピーね。「おいしい生活」って有名ですよね。ゆえに「SEED館」と言って新しいブランドを作る場だったんだね。

【参考】ポストモダンの先駆と言われた西武のCM 「おいしい生活」1982年 キャッチコピー考案者が糸井氏。糸井重里の最高傑作か?主演はウディ・アレン。アカデミー脚本賞を3回受賞。西武というのはこれほどまでに輝いてた時代があった。

逆もあって堤の例の人は思想的に左翼だったこともあって「日本社会はブランド名で消費者を搾取してる。そうだ、『ブランド』を無くせばいいんだ」という事で『無印良品』なるものも誕生しました。ゆえに西武というのは電鉄系百貨店の頂点とも言っていいです。80年代後半になると拙著の『名J-POP考』で記述したようにライバルの東急と組んで「J-WAVE」(1988年設立のFM局)を作って「J-POP」という概念を作ったわけですよね。このように西武百貨店というのはもはや情報発信基地であって単なるデパートではないのです。

そういうとこをね、コンビニの感覚で潰そうとかましてや目の前にあるビック本店を潰しに来たとも言ってよいヨドバシを入れようとかふざけるにもほどがあるんだよ。ましてやそごうってビックカメラが店舗の半分も占めてるなんてざらの店もあったよ。特に閉店した柏そごうはね(ビックカメラ部分だけ営業継続)。つまり池袋文化であるビックまで潰そうとしたわけでそりゃ反対するに決まってる。ゆえに今回のスト決行に賛美を贈る。

※デモ行進には本来ライバルであるはずの三越伊勢丹労組と高島屋労組も参加した

奇しくも8月31日は、西武岡崎店・そごう西神店・そごう徳島店・西武大津
が一斉に閉店した日でもあってなんかセブン・アンド・アイという会社はヨーカドーという公器もそうだけど大事にしてないんじゃないか?この中でそごう徳島閉店が最悪で徳島県は百貨店0店県に転落、富裕層は神戸まで遠征という非常に屈辱的な状況になりました。

百貨店はコンビニじゃないんでほいほい閉店していいってもんじゃないです。

勿論経営努力は必要ですが西武本店とか伊勢丹本店とか三越本店レベルともなると日本の文化に相当影響力を与えた場所なのでそこにヨドバシなんて入れられないんですよ。

またマスコミは報道してないんですがヨーカドーは20%閉店、残りも食品館転換ということで洋品店出自のGMSとしての自覚があるのかなと。このままだと祖業である「イトーヨーカドー」が消えるよ?デニーズとか。セブン・アンド・アイは無能じゃないかな。

なお反対側の池袋東武も悲惨でニトリにユニクロとどこが百貨店だという状況になっており日本人の貧困化が深刻化している。夢も希望もない。

だからこのストも日本人の貧困化の一現象なのだ。ライバル店が悲惨ということは自分も悲惨ということなのだから。

なお、最後に警告するがここにヨドバシが来てもビック、ヨドバシ、ヤマダ、ノジマ(池袋東武内にある)と4店舗もあるので潰しあうだけで出店の意味は全くない。無いどころかこのうちの2店舗は脱落することだろう。

それどころか小田急ハルクにあるビック新宿店が本腰を入れて小田急をほぼまるごとビックにしてヨドバシ本店を潰しにかかるなど新宿という街の文化も潰れかねないほどの悲惨な状況になる。何一ついいことはない。しかもビックは旧三越アルコットに店舗も持ってる(旧ビックロ)のでWで新宿を攻撃してくる。やられたらやり返すのが小売業なので。それどころか渋谷西武のフロアのほぼ全部にもヨドバシは手を出すのでは?もう渋谷には渋谷西武とパルコしか百貨店が残ってない。つまり街の文化というものを潰しにかかって来てるのでデパートマンとして反対するのは当たり前なのだ。

ファンド側は何も「日本の都市文化」というものが分かってない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?