見出し画像

#24 アメリカ大統領選挙(選挙人団制度)に関する英文記事,意訳(2710字程; 2020/10/04, VOA Learing English)

ヘッダー画像: in Cleveland, Ohio, U.S., September 29, 2020

(英文元記事822words)

1.投票日は通常、合衆国大統領選挙活動の終わりを意味します。しかし今年は、それは始まりにすぎないかもしれません。

 共和党と民主党の選挙運動員は、投票、すなわち選挙権の行使、勝者を決める過程の後に、ありうる法廷闘争の準備をしています。

 これらはすべて、国がコロナ禍、COVID-19禍と取り組んでいる最中に行われるものです。ウイルスはアメリカ国内で、700万人以上の人々に感染し、20万人以上の死者を出しています。

 合衆国憲法および連邦法は、以下の大統領選任過程を確立しています。それは単に勝者にホワイトハウスの鍵を与えるものではなく、少々込み入ったものです。

2.投票日

 今年の投票日は、11月3日の火曜日です。

 50州すべての州とコロンビア特別区(ワシントンDC)の選挙民は、大統領に直接投票するのではありません。代わりに、どの大統領候補に投票するか約束した大統領選挙人のリストに基づいて投票するのです。

 合衆国領であるプエルトリコ、グアム、米領サモアの市民権を持つ人たちは大統領選挙に投票できません。ただし彼らが、50州かワシントンDCのどれかに、正式な居住権(永住権などのことと推測します。訳者,注)を持っていれば、大統領選挙に投票できるのです。

 いくつかの州では、選挙民は、11月3日の期日前に、不在者投票として投票所で投票するか郵送で投票することができます。そして、投票日に投票所が閉まった後は投票がストップされます(逆接の butが使われているのは、アメリカでは投票時間が厳格に決められているのではなく、投票日に投票所が空いてる限り投票を受け付ける。逆に言えば、何らかのやむを得ない理由で予定時間より早めに投票所が閉められても、投票できなかった票についてはカウントされないということを意味するのかもしれません。詳細を知りませんので、日本語の訳文として順接の「そして」を選択しました。)。それから、各州は票を数え始めることができます。

 各州には、それぞれの選挙結果集計の最終期限が定められています(逆にいえば、各州で、集計の最終期限が異なるということでしょう。)。もっとも、法的対応や他の問題によっては、集計が遅れることがあるかもしれません。

3.大統領選挙人を決定する最終期限

 12月8日が、安全な集計結果確定期限だとされています。この日が、州が大統領選挙の勝者を決める投票に投票する大統領選挙人を選ぶ最終期限です。この日までに指名されたいかなる大統領選挙人に対しても、連邦議会は疑問を差し挟むことも異議を述べることもできません。

 今年は、郵送による投票の遅れや、投票集計に関する争いが、この最終期限までに勝者を決定することができない州が出て来るのではないかとおそれている人たちもいます。

 ザ・ニューヨーカー紙に書かれていることですが、Jeffrey Toobin氏は、4つの州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で起こりうる争いについて詳述しています。それら4つのすべての州は、共和党が多数を占める立法府であり、州知事は民主党員です。もし、立法府が大統領選挙人を指名する一つのリストを作成したが、州知事がそれを拒否し別のリストを送った場合、どうなるだろうか。彼の答えは単純に、「誰もわからない」です。

4.選挙人団制度

 12月14日(訂正致しました。以下同じ。)が、大統領選挙人が大統領を選ぶために会合するように要求されている日です(12月14日に大統領選挙人が会合するように要求されていますが、ずれ込むこともあり、仮に前述の12月8日の安全な期限までに各州の集計結果が確定せず、大統領選挙人が決まらない場合、大統領選挙人を選ぶ州の独占的な権限が薄められて、連邦議会が選出に関与するようになるのかもしれません。)。この過程が選挙人団制度として知られています。

 選挙人団制度に現在、538人のメンバーが要求されています。彼らは各州で会合し、大統領と副大統領を選ぶために投票します。270票の過半数の大統領選挙人の票が、大統領を選出するために必要です。実際には一般投票(実際の得票数)で負けたのに選挙人団制度で勝者となった5人がいます。1824年の John Quincy Adams、1876年の Rutherford B. Hayes、1888年の Benjamin Harrison、2000年の George W. Bush、そして、2016年の Donald J. Trumpです。

 選挙人団制度の正式な結果が記載された文書が、上院議長兼合衆国副大統領の下に、12月23日までに送られます。

5.連邦議会が勝者を確定します

 2021年1月3日に、新しく選出された連邦議会の議員たちが公職に就きます(連邦下院議員の435議席すべてが2年ごとに改選される。上院議院議員は6年の任期であり、100議席の3分1または3分の1プラス1議席が、2年に一度回線される。)。3日後に、新しい議会が選挙人団投票を集計し、正式に勝者を確定します。

 仮にどの候補者も選挙人団の過半数を得ていなければ、下院議院が誰が大統領になるかを決定するために投票します。この選出過程は合衆国憲法の修正第12条で確立されました。下院議院の各州の代表は1票を持ち、その州代表の票の多数を得た勝者が大統領となります(ここでは選挙人団の投票とは異なり、過半数までは要求されていないのかもしれません。)。上院議院が副大統領を選ぶために投票します

 これは、アメリカの歴史上2度行われました。

 1824年、選挙人団の票は、4人の候補者に分かれました。Andrew Jacksonが99票、John Quincy Adamsが2位に付き85票、William Crawfordが41票、そして、Henry Clay下院議長が37票を得ました。下院の投票で、Jaksonではなく、Adamsが大統領に選ばれました。そして、Adams大統領は、Clayを国務長官に起用しました。

 1877年2月1日、連邦議会は1876年の大統領選挙の選挙人団票の集計をするために招集されました。民主党の Samuel Tildenは一般投票では Rutherford B. Hayesに勝りました。しかし、Samuel Tildenは、選挙人団の投票で勝つのに必要な過半数に1票足りませんでした。

 しかしながら、共和党の議員たちはオレゴン州や南部の3つの州、フロリダ州、ルイジアナ州、サウスカロライナ州の選挙結果に疑義を提示しました。TildenとHayesは双方とも南部の3つの州での選挙人団の投票で勝利していると主張しながら、連邦議会の裁定に任せました。

 民主党が多数を占める下院と共和党が多数を占める上院が、勝者を決定するために15回話し合いました。ついに、疑義のあった州の選挙人団の票を Hayesに認めました。

6.大統領権限の継承

 合衆国憲法は大統領の任期は1月20日に始まると述べています。大統領は日中のうちに、宣誓就任することになります。

 仮に連邦議会が大統領選挙の勝者をいまだ確定していなかったとすれば、連邦法は、国に大統領代行を置くように要求しています。そのときには、下院議長が現行の大統領継承法(presidential succession law)の下、大統領代行を務めることになるでしょう。

以上[2020/10/11 3;48 a.m.] [4.大統領選挙人が大統領を選ぶために会合する日にち、4日から14日に訂正致しました。原文を私が見間違っていたようです。申し訳ございませんでした。2020/11/7 1:07 a.m.]

Hai Do wrote this story for Learning English. George Grow was the editor.


P.s.[2020 /11/10 18:58 p.m.] 1.反逆選挙人という概念を以下の動画で知りました。 誰に投票するか約束ないし公約して大統領選挙人になるものと思いますが、その約束あるいは公約通りの投票をする義務がないようです。裁判所でもそれは認められているようです。過去にも票を変えた例が、少数ですがあるとのことです。

 考えてみれば、日本でも政党や政治家が公約を掲げて当選したとしても、その公約通りのことをしないこともまれではないですね。 

2.アメリカは国家権力の一つに権力が過度に集中しないようにアメリカ憲法が様々なことを見据えて配慮しており、法にのっとった法の支配を厳格に護るという根本的な考え方はすごいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?