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『シャムタンティ丘陵』 冒険記②

(注意!! この記事はネタバレ満載です)

厄介な同行者

アリアンナの家を出て、ダンパスへ。 宿の夕食は丘ギツネの煮汁と米。お膳に乗ったお椀とお茶碗を想像してしまうなぁ。
ダンパスで一泊し、丘を登る道を行くと、陰気な雰囲気が漂う村に着いた。村人の描写もイラストもちょっとアレな感じ……私の前世の記憶が「ここにいてはダメだ!」と警告を発し、急いで通り過ぎた。ふむ、家に寄らなければ平気なのか。(実はこの村の住人はみんな疫病に感染しているのだ)

ページをめくると、アイツのイラストが出た!! ファイテング・ファンタジー・シリーズの嫌われ者ランキング上位間違いなし(でも人気もありそう)のミニマイトジャンがここで登場。嫌われる理由は、こいつが近くにいると魔法が使えなくなるからだ。ダメもとで、私は一人で行きたいのさ〜と言ってみる。
「そうそう。そうだよね!」「でも、ぼくはついて行くからね!」
くぅ〜 いつ見てもムカつくわ。何をしてもムダなのは分かってるので先を急ぐことにする。

丘を下ると、お祭り真っ盛りのビリタンティに到着。〈グランドラゴルの酒場〉という看板の前で立ち止まった。この名前、どこかで聞いたことがあるような? この人の持ち物を手に入れられるルートを通らなかったことに気づいた……
いまさら後戻りはできないので、水晶の滝へ向かう。この滝の水を浴びると技術点・体力点・運点がすべて原点まで回復するのだ。体力点回復のチャンスが少ない中で全回復はありがたい。ありがとうスティーブ・ジャクソンさん。と言っても、この後にある意味ではこの巻で最大の危機が待ち構えているんだけどね。

ビリタンティを出発してしばらく行くと、暗殺者が行く手を塞いだ。意外にもジャンの警告のおかげで不意打ちを食らわずに済んだようだ。こいつ、たまには役に立つのか。
しかし、こいつのせいで魔法が使えない。仕方なく剣を抜いて暗殺者と戦うことになった。技術点はこちらが9で敵は8、ほぼ互角だ。何発か傷を負わされながらも、相手を降伏させることができた。暗殺者はフランカーと名乗り、この先で再会した時に命を助けてもらった恩返しをすると約束する。その場しのぎの言い逃れかと思いきや、本当に後で役に立つらしい。
このフランカーとの戦闘は、どのルートを通ってきても魔法が使えない。しかも、最悪の場合はこちらは技術点1で戦わないといけないのだ。

フランカーと別れて先に進むと、小屋の前で老女が寄っていけと声をかけてきた。いそいそと逆ナンに応じるとお茶を出してくれる。そのイラストがとても人間には見えないんだよね。
老女がいったん台所に戻った隙に、自分のお茶と老女のをすり替えるかどうかを選ぶことになる。そんな失礼なマネはできないと、そのままにしていたら、お茶を飲んだ老女の様子がおかしい。すり替えるのを見越して自分のお茶に一服盛っていたな、このバ◯ア。
解毒薬らしきものを飲んだ老女は、旅の途中で爺さんに会わなかったか「とりわけ熱心に」たずねた。なんだ? 彼氏か? しかし、爺さんが盗んだのは老女の心ではなく、呪文書の1ページらしい。あの木から下りられなくなっていたジ◯イは、盗品をシレッと謝礼によこしたのか。
盗まれたページを取り戻してくれたお礼に(木から爺さんを下ろしてやっただけなんだけどね)老女はジャンを追い払ってくれるという。ちょっと可愛いなと思い始めていたのだが、魔法が使えないと危ない強敵と戦わないといけなくなる予感がするので、やってもらう。
ところで、取り戻した呪文書のページにミニマイトを追い払う呪文が書かれていたんだろうか?(そう思わせる箇所があるのだ)

すべての罠を体感せよ

再び魔法が使えるようになったことに気をよくしながら、トレパーニに到着した。この村の住人はスヴィンという凶暴そうな種族だ。いやいや、人(?)を見た目で判断してはいけない。友好的な態度で村人と話しているうちに、突然取り押さえられて小屋に閉じ込められてしまった(やっぱり!)
どいつもこいつも信用できないヤツらばかりだな、と、ふて寝して朝を迎えると、族長がやって来て詫びを言う。これで釈放かと思いきや、娘がさらわれて洞窟に住むデーモンの生贄にされそうになっているから助け出して欲しいと頼まれる。お願いのテイではあるが強制だな、これは。無駄な抵抗は体力のムダ使い。腹をくくって洞窟に入ることにしよう。

入口の大広間から右へ、さらに丁字路を曲がると、向こうから大岩が転がってきた。アリアンナから手に入れたにかわを使って魔法をかけ、大岩を床に貼りつけること成功した。ここにジャンがいたらペシャンコになっていたと思うとゾッとする。

丁字路に戻ってもう一方の通路を行くと、蛇だらけの穴に落ちてしまった。小石を魔法で炸裂させて蛇を退けるが、穴から抜け出す手段がない。ここで終わりか? いや、まだだ。ソーサリーには女神リーブラに祈って助けて貰うという救済措置があるのだ(リーブラの力を頼めるのは各巻1回ずつだけ)。リーブラに祈ると蛇たちが縄ばしごになった。女神様には申し訳ないが気持ち悪いなぁと思いながら、蛇ばしごを上って脱出できた。

大広間に戻って別の通路を行き、丁字路で一方の通路を選んで、突き当りの扉を開けた。すると今度は部屋に閉じ込められてしまい、部屋には水が入ってくる。大岩、蛇穴の次は水攻めか。自分の運の無さに呆れているうちにも水位はどんどんと上がっていく。魔法の力場で体の周囲に水のない空間を作り、なんとか溺れずに済んだ。しばらくすると水が引いて、扉が開いた。まったく、ここにジャンがいたらと思うと……(以下同文)

残された最後の通路の先で、スヴィンの少女を発見した。彼女を抱きかかえ、いざ脱出! しかし、獅子の体に老人の顔と蠍の尾を持つ怪物、マンティコアが姿を現した。こいつが洞窟のデーモンか? いずれにしても、黙って見逃してくれるような相手ではない。
毒針のついた尾を魔法の力場で受け止め、火球をマンティコアに食らわした。さらに追い打ちをかけようとするが、選択肢に攻撃呪文がない!! 手負いとはいえ、剣で戦うのは危険過ぎる。飛びかかってきたマンティコアを魔法の壁で防ぐと、少女を抱えて洞窟から逃げ出した。族長から頼まれたのは娘の救出で、怪物退治ではない。深追いは命取りだ。

村に戻ると、スヴィン達が大喜びで迎えてくれた。報酬は娘を嫁に……というのはありがた迷惑なのは族長もわきまえていたようで、金貨10枚カーレの南門の鍵を手渡してくれた。そして、原運点が1点上昇。これが一番ありがたい。
翌朝、トレパーニを出発し、シャムタンティ丘陵を抜けると、高い城壁に囲まれた街に辿り着いた。そこは悪名高きカーレ、次の冒険の舞台である……
(『シャムタンティ丘陵』おわり)

『シャムタンティ丘陵』を終えて

東京創元社からソーサリー4部作が出てから40年、創土社から復刻版が出てから20年になる。
危険な場所や最後の敵の倒し方など、数十年前のことをよく覚えていたものだ。(当時、まともなやり方で知り得たのかどうかは記憶にございませんが)
本文中のイラストが最初に出た時のままなのはありがたい。見てはならないイラストや見ない方がいいものもあるのも、ゲームブックの楽しみのひとつだろう。
翻訳の違いが特に表れているのは、詩のようなヒントの文面だろうなぁ。ところで終盤に出てくる老女の「豆人は好かないね」という旧版のセリフは、翻訳者による意訳だったのだろうか?
今回は比較的無難なルートを通ったと思う。どうせカーレあたりでやられてやり直すことになるだろうから、今度は別のルートを試してみたいと思う。行ってはいけない道に入りこみそうだけれど……

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