裏腹の揺らめき~白露の時~【詩】

寝苦しさに目覚めた熱帯夜も いつしか過去の記憶となり始め
朧月夜の灯りに照らされ 網戸越しの風 虫の鳴き声

朝靄立ち込める山の麓 草花に降りた露のしずくが
水晶玉のごとく光り輝き 季節は足早に駆け抜ける

咲き誇る花のいのちは短く 舞い上がる花火は一瞬の輝き
消えて散りゆく運命(さだめ)と知りつつ 溢るる涙を隠しきれない

街路樹をもてあそぶ暴風雨 やがて来るあの厳しさの前触れ
感傷を胸にしまい込んだら 雌伏に向けて動き出すとき

澄みわたる空の下冷気漂い 野原に吹く風 芒(すすき)がなびく
十五夜に浮かぶ中秋の名月 夢の中でも酔いしれるだろう

「白露」 新暦九月七日~二十二日(頃) 大気が冷えて来て、露ができはじめる頃

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