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小説、散文、詩、対話編、書評、ことば遊び……「内容は形式を待たない」ということで、「書…

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小説、散文、詩、対話編、書評、ことば遊び……「内容は形式を待たない」ということで、「書く」ことにこだわっています。

マガジン

  • short short festival (小説)

    5分で読めるショートショート。 ミステリ、恋愛、SFなどオールジャンル。 「おもしろくて」「ちょっと考える」短編集です。

  • It's worth living (散文)

    日々の出来事で考えるところを、つらつらと書き連ねていく、随想録

  • blowin in the wind (詩)

    ただひたすら、かんじるままに

  • book review forum (書評)

    投稿サイトに載せたレビューのURLを各記事に載せています。併せてご覧下さい。ここではより詳しい内容で書いています。

  • word playing game (ことば遊び)

    ことばあそびです。気楽に読んでください。

最近の記事

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寒水腐らず~大寒の時~【詩】

来る年を迎えひと息つけば 冬も終焉(おわり)を告げんとする頃 山に囲まれた盆地の都は 一年で最も寒い 大寒 吹きすさぶ寒風が頬を突き刺し 大地と水面を固く閉ざすも 白い霧の向こうに微かに射す 陽光に春の希望を見い出す 底冷えに身も心も凍てつく 暖かな春に包まれるために 避けて通れぬ厳しさに耐えよと 言うは易く行うは難し されど 寒中に汲む水腐らず 寒冷が自然のいのちを引締め 豊かな味わい深さを引き出す 想い致せばそれもまたよし 「鬼は外へ 福は内へ」 季節の分かれ目に邪気追い払う 気づけばいつの間にか立春 待ち侘びた季節はすぐそこまで 「大寒」 新暦一月二十一日~二月三日(頃) 寒さが最も厳しくなる頃

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      凍える大地~小寒の時~【詩】

      艱難辛苦の往く年見送り 想いも新たに春を迎える 日の射す時間はやや長くなり 季節は緩やかに移ろいゆく されど冷気はぴんと張り詰め 凍てつく寒さが骨身に沁みて 止め処なく降る白地を踏みしめ 真冬本番「寒の入り」を知る 人生は短いようで長い 地を這いつくばる逆境の日々 吹き荒れる寒風にさらされ 果てしなく続く先に底を見る かかる寒中にありてこそ 心身鍛練の限りを尽くせば 迷い苦しみはやがて消え去り 多難な前途もいつしか開ける 凍える大地に芽生えるいのち 若菜に宿る神々の力 正月七日の七草粥 無病息災祈る小寒 「小寒」 新暦一月六日~二十日(頃) 寒さが最も厳しくなる前の時

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        夜明け前の~冬至の時~【詩】

        暗雲立ち込める灰色の空から 音ひとつ立てず激しく降れば 凍てつく水面に白化粧の木々 孤独な冬至の深き夜の長さ されど明けない夜はかつてなく 目覚めた朝には眩しく光る 澄みわたる空と白銀の世界 一陽来福 好転の兆し 仕事納めの師走の暮れに 往く年を想い起こし振り返る 欲望 過ち 悔恨 失意 他人を責めては己れを責める 苦悩の日々もこの日が節目 日はまた昇り 日は長くなる ゆっくりとしかし確かな速度で すべてはただ光の射す方へ 「一年の計は元旦にあり」 年神様迎え 背筋伸ばす 身体の芯まで底冷えするも 気持ちは新たに いと晴れやかに 「冬至」 新暦十二月二十二日~一月五日(頃) 一年で昼が最も短く夜が最も長くなる日

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          冬来たりなば~大雪の時~【詩】

          漂う朝靄に独り佇む 見上げた曇り空は重く澱み 頬を刺す北風に枯れ葉が舞い 凍てつく大地に真っ白な吐息 静まり返ったその光景は 生きとし生けるもの動きを止め 地中深くに冬籠もりする いよいよ大雪(たいせつ) 冬将軍の到来 見通せぬ視界は灰色に染まり 向かい風に折れんばかりの心 なすことのすべてが裏目に出て ひたすら耐え忍ぶばかりの日々も 「冬来たりなば春遠からじ」 身を屈(かが)めつつもその先を見据え やがて訪れるその瞬間(とき)を信じ 心を備え 力を蓄える 曇天から落ちる枯れ葉もあれば 晴天に踊る風花もある 極寒の中にも美しさを知る 押し迫る年の瀬 往く年去らば 「大雪」 新暦十二月七日~二十一日(頃) 雪が激しく降り始める頃

        寒水腐らず~大寒の時~【詩】

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        • グノーティ・サウトンの煙幕(対話編)
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          散りゆく運命(さだめ)~小雪の時~【詩】

          暖かな小春日和も過ぎて 降るものは少しずつ白くなり 役割を終えた街路樹の葉が 木枯らしに吹き落される小雪(しょうせつ) 街角は往く人影もまばらで 交わす言葉もなくただ行き交うのみ いつもと変わらぬ今日を確かめ 地下鉄へと滑り込み帰路辿る 「萌え出れば やがて色づき 舞い落ちる」 いのちの芽生え響き見え始め 鮮やかさを備え魅了しても 散りゆく運命(さだめ)のはかなさを知る 努力が実を結び奇才は開く その喜びと短さのせつなさよ 巡る季節と我が人生(とき)を重ね 「もののあはれ」にふと涙ぐむ 懸命なる勤労への感謝 豊穣もたらす自然への畏怖 天地と人の偉大なる交錯 冬の訪れを覚悟する師走 「小雪」 新暦十一月二十三日~十二月六日(頃) 僅かながら雪が降り始める頃

          散りゆく運命(さだめ)~小雪の時~【詩】

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          ひと風ごとに~立冬の時~【詩】

          山河を彩る紅葉も 役割を終えて舞い落ちる頃 「秋の入り日はつるべ落とし」と ひと風ごとに天地も冷えゆく 秋と呼ぶには最早時は過ぎ さりとて冬本番には遠く 狭間の穏やかな小春日和 戯れるひとときが暖かい 季節も人生もその日常は 居心地よく穏やかに流れる 冷たい北風が頬を刺しても 木漏れ日に暖かく包まれる されど足元の落ち葉を拾えば 確かな節目に気づかされる 楓の絨毯を踏みしめながら 冬支度に心を引き締める 「七つまでは神のうち」 吾子の無事と成長に感謝 暮れかかる空を見上げながら 小さな手をつなぎ急ぐ家路 「立冬」 新暦十一月八日~二十二日(頃) 初めて冬の気配が現われてくる頃

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          晩秋の温もり~霜降の時~【詩】

          秋の夜長の「後の月見」に 想いを馳せれば 今は夢の中 山里に朝靄が立ち込めて 澄みきった冷気が素肌を刺す 草木に揺れる水晶玉も いつしか凍り始める霜降(そうこう) 奥深き山は深紅に燃え盛り 晩秋を惜しみ彩りを添える 閑散とした電車の窓の 外は色鮮やかなショーウィンドー 君に見とれる間もないほどに 流れゆく景色を目に焼き付ける ケーブルカーの終着駅から 霧雨に濡れた落ち葉を踏みしめ 離さぬ手の温もりを確かめる 記憶が静かに熱く蘇る 「おんなごころ」は苦手なれど 「秋の空」の移ろいは愛しい 去りゆく季節に別れを告げれば 真っ白な足音が聴こえてくる 「霜降」 新暦十月二十四日~十一月七日(頃) 露が霜となって降りる頃

          晩秋の温もり~霜降の時~【詩】

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          欠けたところに~寒露の時~【詩】

          天高くどこまでも澄みわたり 柔らかな木漏れ日が眠り誘う 耳を澄ませば元気よく駆ける 子供らの声が空響き渡る 白露の十五夜は満月なれど 秋の長雨におぼろげに霞む 寒露の十三夜の欠けた月は 遮るもののない「無双の月」 あるべき姿とここにある姿 横たわる溝の深さを受け止め 諦めることもなく突き進む 非の打ちどころなき完璧さ なれど この世に生きる誰ひとりとして 欠けるところなき者などいない 完全無欠の美ではなくとも 欠けたところこそが愛おしい 寒冷静かに訪れるとき 草木の露も凍らんとする 菊の開花の知らせに触れて 胸に迫る晩秋の到来 「寒露」 新暦十月八日~二十三日(頃) 露が凍りそうになる頃

          欠けたところに~寒露の時~【詩】

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          実るほどに~秋分の時~【詩】

          残る暑さに空見上げれば 盛夏の記憶が脳裏をよぎる 白露の時期も足早に過ぎ 昼夜等分 神無月の初秋 芒種に祈り込め蒔いた種が 処暑天に届き花を開かせ 有り難き実りの秋分を迎える 偉大なる自然に畏敬の念 天は自ら助く者を助く 求めよ さらば与えられん 自ら考え感じて動く 意思ある者に恵む けれども この世の中で生きる限りは 自力でどうにもならぬことばかり 「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」 天地人の支えを想え 「暑さ寒さも彼岸まで」 季節はひとつの節目を迎える 人生の店じまいへと向けて 身心引締め 折り返すとき 「秋分」 新暦九月二十三日~十月七日(頃) 昼夜の長さがほぼ同じになる日

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          裏腹の揺らめき~白露の時~【詩】

          寝苦しさに目覚めた熱帯夜も いつしか過去の記憶となり始め 朧月夜の灯りに照らされ 網戸越しの風 虫の鳴き声 朝靄立ち込める山の麓 草花に降りた露のしずくが 水晶玉のごとく光り輝き 季節は足早に駆け抜ける 咲き誇る花のいのちは短く 舞い上がる花火は一瞬の輝き 消えて散りゆく運命(さだめ)と知りつつ 溢るる涙を隠しきれない 街路樹をもてあそぶ暴風雨 やがて来るあの厳しさの前触れ 感傷を胸にしまい込んだら 雌伏に向けて動き出すとき 澄みわたる空の下冷気漂い 野原に吹く風 芒(すすき)がなびく 十五夜に浮かぶ中秋の名月 夢の中でも酔いしれるだろう 「白露」 新暦九月七日~二十二日(頃) 大気が冷えて来て、露ができはじめる頃

          裏腹の揺らめき~白露の時~【詩】

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          置き去りのこころ~処暑の時~【詩】

          彼方の朧げな灯し火に 在りし人在りし日々の想い出 浮かんで消える 真夏の夜の夢 目覚めて聴こえる 初秋の足音 昼間の残暑はまだ厳しくとも 朝夕は涼風が心地よく 雲の隙間から上弦の月が 霞んで見える 処暑の今宵 映画のような胸躍る出逢い 千分の一の男性(ひと)に巡り逢い あの空も この海も その夢も 輝くすべてを抱きしめた夏 景色はひとつとして変わらない あなたがいないことを除いては 季節は静かに変わり始めても こころ置き去りの私がひとり 暑気が峠越える二百十日 豊穣の祈りが天に届き 嵐にも負けず花を開かせる 忘れかけていた想いも新たに 「処暑」 新暦八月二十三日~九月六日(頃) 暑さが峠を越えて後退し始める頃

          置き去りのこころ~処暑の時~【詩】

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          送り火と兆し~立秋の時~【詩】

          都会の暮らしの疲れを癒す 田舎の盛夏の原風景 日射しの木陰 蝉の鳴き声 小川のせせらぎ 耳澄ます君 突き抜ける空の彼方の記憶 戻る頃には微かに感じる 目に見える真夏の景色の中 目に見えぬ立秋の風の気配 永い人生のいつかは違えど 必ず最盛期は訪れる 培った経験に裏打ちされ 眠っていた才能が開花する 目に見える成功に酔いしれる その頃はすでに変化の兆し 目に見えぬわずかだが確かな それを感じる真価が問われる 今年も五山に送り火が灯り 亡き人を想い響く鎮魂歌(レクイエム) 再会を誓いしばしの別れ 名残惜しき残暑もあとわずか 「立秋」 新暦八月七日~二十二日(頃) 初めて秋の気配が表われてくる頃

          送り火と兆し~立秋の時~【詩】

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          沸き起こる衝動~大暑の時~【詩】

          祭囃子の音消える頃 長く続いた梅雨も明けて どこまでも高く澄みわたる空 日めくり暦に「葉月」の二文字 四方を山々に囲まれた 盆地に吹き下りたまる熱気に 街並みは蜃気楼の中揺れて 額に汗滲む 大暑の季節 縛り付けるすべてを解き放ち 突き刺す日差しの視線を浴びて 吹き出しほとばしる汗そのままに 本能をさらけ出し駆け抜ける 知らぬ間に眠っていた衝動が 立ち上る入道雲のごとく 無心の中から沸き起こり始め 新たな可能性を表現する 山の道すがら湧き出る冷水 一期一会に交わす挨拶 うだる暑さにも吹く涼風 峠を越えれば 待つ小さな秋 「大暑」 新暦七月二十二日~八月六日(頃) 快晴が続き気温が上がり続ける頃

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          みやこの喧騒~小暑の時~【詩】

          過去振り返り 穢れを祓い 未来の無病息災願う 節目の折り返しの日を過ぎて 新たな気持ちで一歩踏み出す かかる梅雨時の夏至を越えれば 祇園祭の囃子が響き 灼熱の都に夏が訪れ 梅雨明け真近の小暑の熱気 出逢いの春から育んできた 静かな想いが実を結び 浴衣の君と夜風に吹かれ 古(いにしえ)の時の旅に出掛ける あれから幾年月が流れ 寄り添う傍らには別の女性(ひと) 記憶を引き出しにしまい込んで 変わらぬ祭りの景色を見つめる 機織りの名手と牛使いの 一年に一度の恋物語 仲睦まじく 往く末永く 見上げて祈る 澄みわたる夜空 「小暑」新暦七月七日~二十一日(頃) 梅雨明けが近づき、暑さが本格的になる頃

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          闇に差す光~夏至の時~【詩】

          豊穣の祈り込めた芒種も 過ぎて川岸集いて涼む 降り続く梅雨の晴れ間の熱に 季節の変わり目感じる文月 真昼の長さと深夜の短さ 光の眩しさに心躍れど 月明かりの逢瀬の喜びも 比肩するほどのかけがえのなさ 終わりなき旅のごとき人生 様々な人や出来事に出逢う 光に満ち溢れる日もあれば 暗闇の底に沈む日もある 暗闇にさす一筋の光 いつにも増して輝いて見える 光の意味と有り難さを知る その暗闇は必ず力となる 一年(ひととせ)もいよいよ折り返す日 振り返り祈る「夏越祓(なごしのはらえ)」 足るを知り 気持ちを新たにし 梅雨明けを待つ 夏至のひととき 「夏至」 新暦六月二十一日~七月六日(頃) 一年中で一番昼が長く夜が短い日

          闇に差す光~夏至の時~【詩】

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          豊穣の祈り~芒種の時~【詩】

          麦秋実る豊かな収穫 終えて遠くにふと目をやれば 山の麓の木々の深緑 心静かに落ち着くひととき 立ち込める靄の向こうの空から そぼ降る梅雨が到来を告げる 芒(のぎ)ある穀類 豊饒の祈り 心に込める 田植えの季節 蒔かれた種が実り刈られる 込めた想いが実を結び咲く ごくありふれた自然の流れ 当然のごとく感じるものの 初めのひとつを懇切丁寧に 微細に入りて精魂を込め 天命を待てるほど人事を尽くし はじめて終焉(おわり)に恵みを受ける 暮れゆく夕べに穏やかな風 橋から川岸を眺めれば 季節の風物詩「納涼床」 梅雨の晴れ間に真夏の予感 「芒種(ぼうしゅ)」  新暦六月五日~二十日(頃) 芒(のぎ※)を持った植物の種をまく頃  ※イネ科植物(稲や麦など)の花の外側にある針状の突起(≒トゲ)

          豊穣の祈り~芒種の時~【詩】

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