晩秋の温もり~霜降の時~【詩】

秋の夜長の「後の月見」に 想いを馳せれば 今は夢の中
山里に朝靄が立ち込めて 澄みきった冷気が素肌を刺す

草木に揺れる水晶玉も いつしか凍り始める霜降(そうこう)
奥深き山は深紅に燃え盛り 晩秋を惜しみ彩りを添える

閑散とした電車の窓の 外は色鮮やかなショーウィンドー
君に見とれる間もないほどに 流れゆく景色を目に焼き付ける

ケーブルカーの終着駅から 霧雨に濡れた落ち葉を踏みしめ
離さぬ手の温もりを確かめる 記憶が静かに熱く蘇る

「おんなごころ」は苦手なれど 「秋の空」の移ろいは愛しい
去りゆく季節に別れを告げれば 真っ白な足音が聴こえてくる


「霜降」 新暦十月二十四日~十一月七日(頃) 露が霜となって降りる頃

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