置き去りのこころ~処暑の時~【詩】

彼方の朧げな灯し火に 在りし人在りし日々の想い出
浮かんで消える 真夏の夜の夢 目覚めて聴こえる 初秋の足音

昼間の残暑はまだ厳しくとも 朝夕は涼風が心地よく
雲の隙間から上弦の月が 霞んで見える 処暑の今宵

映画のような胸躍る出逢い 千分の一の男性(ひと)に巡り逢い
あの空も この海も その夢も 輝くすべてを抱きしめた夏

景色はひとつとして変わらない あなたがいないことを除いては
季節は静かに変わり始めても こころ置き去りの私がひとり

暑気が峠越える二百十日 豊穣の祈りが天に届き
嵐にも負けず花を開かせる 忘れかけていた想いも新たに


「処暑」 新暦八月二十三日~九月六日(頃) 暑さが峠を越えて後退し始める頃

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