散りゆく運命(さだめ)~小雪の時~【詩】

暖かな小春日和も過ぎて 降るものは少しずつ白くなり
役割を終えた街路樹の葉が 木枯らしに吹き落される小雪(しょうせつ)

街角は往く人影もまばらで 交わす言葉もなくただ行き交うのみ
いつもと変わらぬ今日を確かめ 地下鉄へと滑り込み帰路辿る

「萌え出れば やがて色づき 舞い落ちる」 いのちの芽生え響き見え始め
鮮やかさを備え魅了しても 散りゆく運命(さだめ)のはかなさを知る

努力が実を結び奇才は開く その喜びと短さのせつなさよ
巡る季節と我が人生(とき)を重ね 「もののあはれ」にふと涙ぐむ

懸命なる勤労への感謝 豊穣もたらす自然への畏怖
天地と人の偉大なる交錯 冬の訪れを覚悟する師走

「小雪」 新暦十一月二十三日~十二月六日(頃) 僅かながら雪が降り始める頃

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