栄養ドリンクから錠剤主軸へ大転換。Regain(リゲイン)の成長戦略とは?
栄養ドリンク市場は冬の時代に。
栄養ドリンクの国内市場は2000年ごろをピークに縮小傾向が続いています。その背景には、「若者に人気のエナジードリンクの台頭」や「働き方改革による生活習慣の変化」などがあると言われてます。
原因①:エナジードリンク剤の台頭
栄養ドリンク剤の主なターゲット層であった団塊の世代の男性の多くが退職し、若者の間ではエナジードリンクが流行しました。エナジードリンクはスマートさを打ち出した広告戦略で支持を広げ、市場規模を大きく伸ばしています。
原因②:働き方改革による生活習慣の変化
新たな働き手となる若者や女性にとって効率よく仕事をする「働き方改革」の影響もあり猛烈な仕事スタイルを敬遠されています。その象徴とも言える栄養ドリンク剤は支持が得られないのが現状です。
上記の原因から、栄養ドリンク・エナジードリンクのポジショニングを整理すると以下のようになります。
栄養ドリンク
体のマイナス(不調)をゼロ(通常)に戻すための飲料。エナジードリンク
ゼロ(通常)をプラス(好調)に持っていくための飲料。
社会の変化により深夜残業してでも頑張るという働き方がなくなり、体のマイナス(不調)という状態が減りつつあり、栄養ドリンクの需要が減っています。
その代わりに増えてきたのが従来のフルタイム勤務とは異なるワークスタイル(短時間労働やフリーランス)のような、短い時間で効率よく働くという働き方です。
それを実行するには体をプラス(好調)の状態に持っていく必要があることから、集中力を高めるスマートなエナジードリンクが好まれるようになりました。
こういった社会変化を背景に「栄養ドリンクから、エナジードリンク」への転換が進んでいます。
そういった中で栄養ドリンクメーカーも環境の変化に対応した事業再編を進めており、注目すべきブランドは第一三共ヘルスケア「Regain(リゲイン)」です。
2024年4月、栄養ドリンク「リゲイン」主力品の出荷終了
2024年に栄養ドリンク「リゲイン」の主力品の出荷終了し、100ミリリットルの1つの商品のみ販売を継続しています。
一方で、大正製薬「リポビタン」は同ブランドのラインナップ展開を強化し、運動の前に飲む清涼飲料水や、手軽に飲めるゼリータイプを展開しています。
そのプロダクト戦略としては、子供から大人まであらゆる世代が「栄養補給」が手軽にできるブランドを目指しています。
例えば、高齢者向けの栄養ドリンクとして「リポビタンウォーク」を発売しています。「疲労回復➕膝・腰ケア」をコンセプトにしており、栄養ドリンクというフォーマットで徹底的に戦う姿勢は栄養ドリンク王者の闘い方と言えるでしょうか。
一方で、第一三共ヘルスケア「リゲイン」は栄養ドリンクを完全に捨てて、中高年にターゲットを絞った通販事業「リゲイン」リブランディングを行い、錠剤主軸のコンセプト転換を図っています。
2019年2月、ドリンク剤から剤型を変更して錠剤タイプの「リゲイントリプルフォース」を発売。23年には、処方を強化した「リゲイントリプルフォースEX」がシリーズに追加。24年には世界初エノテインBがおなかの脂肪と体重にアプローチして高めのBMIの改善をサポートする「リゲインスリムマネージ」を発売しました。
通販事業「リゲイン」リブランディングとは?
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