【ショートショート】常連とストーカー
「お待たせいたしました。こちら『プロシュートとフレッシュバジルのペンネ』でございます。」
店内に流れるクラシカルなBGMによく馴染む声が静かに響く。
二十代後半と思われるカップルの間に置かれた本日のパスタは、低めの天井から吊るされた暖色のライトの下で美しく輝いている。
僕のアルバイト先であるこのお店は隠れ家風のイタリア料理屋だ。その雰囲気もあってカップル客が大半だが、お一人様も珍しくない。
二名掛けテーブルが四席と四名掛けテーブルが一席、そしてオープンキッチンの目の前には