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ランチェスター法則

1914年10月英国人W・Fランチェスターは、「競争の原理」を最もスマートに表現した次の2つの法則を発表した。

【第1法則】攻撃力=兵力数×質  【第2法則】攻撃力=兵力数2×質 (質は武器性能、兵士技能)

2つの法則の違いは成立条件の違いにある。

第1法則は、射程距離の短い兵器(刀とか槍)を使い、敵に接近し、一騎打ち、となる古代の戦いにおいて成立する。
第2法則は、射程距離の長い兵器(機関銃等)を使い、敵と離れ、確率的な戦い、となる近代戦において成立する。

第1法則は接近戦、一騎打ち戦の法則、第2法則は間隔戦、確率戦の法則と呼ばれる。天才の気づきは第2法則にある。

彼は、法則発表の2ヶ月ちょっと前に勃発した第一次大戦に触発され、数学、微分方程式により第2法則を導き出している。「2乗」は我々の想像以上に恐ろしい。戦争概念の根本的変化、それに気づいたのだ。

その後、米国国防総省の数学者によって研究され、太平洋戦争で証明される。

戦後まもなく日本に伝わり、企業間競争に応用されていく。60年には「強者と弱者」の立場からの戦略思想が登場。70年代には、斧田・田岡両氏によるシェア理論が採用された販売戦略が脚光をあびる。日本人研究者による経営戦略の誕生である。

90年代には竹田陽一氏により、「経営の八大要因」や「実行の手順」が示されたこと、「要因分解」「ウエイト付け」の手法により、「中小企業の経営体系」として、さらに実践的で使いやすいものになった。

  

(1916年出版の原書「戦闘における航空機」ランチェスターマネジメント金沢所蔵)

法則発表から100年を越え、多くの先人による独創的なアイディアが加わったことで企業間競争の戦略として実用化され、有用性は検証されてきた。

法則の抽象度を上げると、「力」を「量」と「質」で表していることが分かる。物理法則のように単純化された普遍の数式に近くなる。真に有用な物理法則は実用化されるのに約100年かかるという。故に、法則の可能性はまだまだ広がる。

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