内部統制整備/審査対応のヒント

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ランサーズ(株)コーポレート部内部統制マネージャー/経営企画室の小林です。CFOの小沼、経営企画室長の多胡に続き、私なりに上場を目指す企業の方向けにtipsを書いてみました。やや長いですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

▼ランサーズIPOチームのTIPS リレー
0. ワーママ女性CFOがランサーズIPOを経て学んだ4つのこと
1. 雲外蒼天。投資家との初ミーティング
2. 現代ならではの引受審査乗り越え方
3. 内部統制整備/審査対応のヒント

はじめに

私のキャリアは国内大手証券会社でスタートしており、リテール営業を経験した後、エクイティ・キャピタル・マーケット(ECM)という部署で約8年働いていました。ECMというのは、ざっくり言うと投資家にいくらの株価で販売するか、どういった投資家に販売するかを決める部署で、企業にとっては時にバリュエーションをサポートしてくれる身方で、時には厳しいバリュエーション目線を突きつけてくる、嫌な部署でもあります。ECM時代の私にとって、IPOは「既上場企業の案件対比、準備開始〜上場までが長い。しかも簡単には終わらない、よくスケジュールが延びる仕事」で、要はあまり好きではありませんでした。笑
そんなキャリアだった私が一念発起してランサーズにジョインしたのが2019年初。12月の上場まで誇張無しに怒涛の日々でしたが、その経験からささやかなTipsをお届けできればと思います。

ミッション

ランサーズにジョインした私の最初のミッションは全く土地勘のないJ-SOX対応でした。これがきっかけで今も内部統制業務を担っていますが、内部統制構築のために必要なことは何でもやってきました。勿論それまでも労務管理や情報セキュリティなど、会社としてやるべきことはやっていましたが、上場にあたっては、J-SOXという上場会社に求められる水準まで内部統制レベルを引き上げる必要があります。
J-SOXに関する土地勘はなかったものの、前職が証券会社(金融機関)という管理制度が厳しい会社にいたことが幸いし、労務管理や情報セキュリティの強化、規程や研修の整備、クレーム一覧の運用強化等、幅広く何でもやってきました。それでも証券や東証審査の過程で「これも追加でやらないと!」というのが出てくるので、それらの課題を全て潰していく必要がありました。

関係者への協力の仰ぎ方

殆どの会社はそうだと思いますが、IPOはプロジェクトチームだけでは実現できません。各事業責任者、エンジニア、カスタマーサポート、人事等、本当に多くの方の協力を得て、審査対応や各種準備を行っていきます。内部統制で厄介なのは一回質問に答えたら終わりではなく、内容によっては会社の既存の運用を変えていく必要がある点です。運用の変え方にもよりますが、内容によっては現場メンバーの仕事が増える結果に繋がることもあるので、私なりに以下の点を気を付けていました。

Tips④:IPOチーム外メンバーの協力を得る必要がある場合は、最優先で仕事を依頼する
Tips⑤:依頼するときは、バックグラウンドを出来る限り丁寧に説明する

幸いにもランサーズのメンバーは協力的な方が多く、一見面倒だと思われることを依頼をしても、「本当はそれがあるべき姿だよね」と賛同いただき、内部統制強化&審査対応に快く力を貸して下さいました。とはいえ「IPO準備で必要だから!」という説明だけだとIPOゴールの内部統制になりかねないので、出来る限り「何故この対応が必要か」「審査におけるこの質問の趣旨は何か(何を聞きたい質問なのか)」を自分なりに考え、出来る限りIPOチーム外のメンバーには説明するようにしてきました。そして、皆本業で忙しいので、自分の仕事は二の次にしてでも、出来る限りIPOチーム外メンバーの作業時間を確保できるようにしてきました(それでもギリギリの依頼もありましたが・・・)。
また、細かい話ですが、IPOは情報管理が非常に大切なので、IPO準備をしている旨を伝えたメンバーには情報管理に関する誓約書を入れていただくようにしていました。

社内メンバーからすれば至らぬ点も多々あったとは思いますが、審査開始からスケジュールが遅れることなく上場日に到達できたことは、IPOプロジェクトメンバーだけでなく、社内メンバーの協力があってこその結果だったと考えています。この場を借りてあらためてお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました!

最後はもはやTipsではなくなりましたが(笑)、今後上場を目指される方の参考に少しでもなれば幸いです。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!