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批評記事まとめ

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大きく誤読されている(良い方向/悪い方向ともに)作品の評論記事まとめ
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2024年4月の記事一覧

現実への現実逃避 ~ 『この世界の片隅に』 と『オッペンハイマー』~

『この世界の片隅に』の作者こうの史代は映画『オッペンハイマー』を以下のように評している。 オッペンハイマーと『この世界の片隅に』の主人公すずは同時代人とは言え対照的に思える。交戦国同士で性別も異なり、オッペンハイマーが国家機密に関わる天才科学者である一方すずは一庶民に過ぎない。 だが上記のこうの史代の評はすずにも、いやいつでも・どこでも・誰にでも当てはまるのだ。 『この世界の片隅に』は「戦時下の平凡な日常」を描いたことで話題となった。確かにすずは「普通」に見える。軍国主義者

【追悼】山本弘 代表作『アイの物語』 - 技術的特異点(シンギュラリティ)SF小説

山本弘が永眠した。いや、彼は無神論者だったので「眠る」という比喩も適切ではなく消滅した、無に帰したと言うべきかもしれないが、上記記事でも代表作のトップして挙げられているのは『アイの物語』だ。 だが、本作はAIの設定や言ってることが(作中の世界観から見ても)おかしいのだ。 設定 まず「AIが心を持つためには(仮想的なものであれ)肉体を必要とする」という話が出てくる。「感動で胸が熱くなる」「恐怖で背筋が寒くなる」と言った表現を理解できるようにするためだ。なるほど確かに「人間

『オッペンハイマー』と『永遠の0』 ~人間、あるいは戦争の複雑性~

映画『オッペンハイマー』のノーラン監督は『ゴジラ -1.0』を絶賛している。また、『ゴジラ -1.0』の山崎貴監督も『オッペンハイマー』を絶賛している。 山崎貴は『オッペンハイマー』を「悪い人間、素晴らしい人間を決めつけていない、その両方が渾然一体となっている」と評しており、ノーラン監督も同様のことを語っている。 そこで思い出したのが同じく山崎貴が監督した『永遠の0』だ。 山崎貴監督作品は原作の大筋はそのままだが「本質」を大きく改変していることが多いので原作を知っている人