胡蝶の夢は真か否か「シナリオ・設定・PC編」感想&考察

前提として、この記事はクトゥルフ神話TRPG「胡蝶の夢は真か否か」の重大なネタバレを含みます。今後セッション予定のある方、興味のある方はブラウザバックをお願い致します。








【シナリオ感想】
はじめに、シナリオ作成に携わって下さった方、フリー素材を提供して下さった方、そして遊んで下さったPLの皆様、ありがとうございました。この記事の最後にクレジットを記載させて頂きたく思います。

今回、このシナリオに目を通させて頂いた個人の感想としては、「悲しい物語だな」と思うと同時に、ファンタジー好きな自身としてはさながら並行世界を想像しました。(if展開があるのが個人の趣味であります)
以上を踏まえた上で採用したハウスルールのようなものを記していきたいと思います。

最初に。飛鳥が死ぬことさえなければ、夢子と飛鳥の生活の不便といえば、両親がいないこと、金銭工面がやや難しいことだと思う。それでも誰にも助けを求めなかったのは、「KPC/NPCキャラクター・呪文編」に記載したことと、残りを後述します。

KPCである千明を女性にしたのは、シナリオの難易度を上げたかった為です。男性にすればかなり難易度が下がると思う。「似ている友人(KPC)と飛鳥を勘違いしているのだ」と、探索者もすぐ検討が付くだろうし、GM/KPもRPが簡単になるだろう。ただ、KP情報として、「KPCと飛鳥が同一人物ではないことを分かりやすくRPすること(無理難題)」(ほぼ筆者様の原文抜粋)と書いてあった為、泣きました。(笑)

結論から言うと、自分としては夢子のしたことは勿論許されるべき行為ではないが、飛鳥も大概人間不信だな、と感じた。それだけひまわり孤児院は温かな場所だったのだろうか、否、だとすれば、幾年経とうと沢山のお供えがあるだろう。これは村上(お供えに来ていた女性)の発言から確証が取れる。若しくは、前回の記事に記載したように、被害の余りに「想う人間」が少ないのかも知れない。それとも、村上と蝶野兄妹が唯一の生き残りだったのか?

新しい住居を構えられる資金があるところを見て、「とてもいい」とは言えなくても、それなりの自由な生活が孤児院時代もあったのではないか、と個人的には推測している。飛鳥は夢子以外の面倒を見たりもしていたようだし、とはいえ一番は夢子である。


飛鳥の死によって、夢子は精神の拠り所を失ってしまった訳で、この状態になった夢子に対しては十人十色の意見や感情があるだろうが、個人としては、唯一の居場所であった孤児院も一人の軽率な行動によりあっという間に炎に包まれ跡形も無くなり、そもそも夢子自身が誰の為の、何の為の子なのかも分からず、唯一の存在までもが自分にも責任を感じるであろう死を迎えてしまった、なんて状況に陥ったら、何らかの精神病、若しくはTRPGらしく言い換えると不定狂気に入るのは至って普通のことのように思った。

たった14.5歳の女の子だ。思春期で思う事も少なくはないだろう。だからこそ、飛鳥こそが誰かに、藁にもすがるべきだったのではないか、と思った為、飛鳥の行動に疑問を持ったりもしてみた。例え人間が信用出来なかったとしても、それ以外に二人で生きていく道が無いのならば、と。

しかしながら、ここまで飛鳥に対してキツめの意見を持ちはしてみたものの、既に過労状態でそんな余裕も暇も無い、そして且つ、誰も信用出来ない、となればだ。やはりこのような顛末になってしまうのだろう。この辺りが、「胡蝶の夢は真か否か」の非常に痛ましい背景であり、PL/PCにより判断が左右される為、ED分岐のうちの一つなのだろう、と勝手に推測している。

そして飛鳥を失った夢子。恐らく埋葬や火葬をする金も無かったのだろう。飛鳥の死を認められない、認めたくない、そんな筈がない。そんな気持ちで、何らかの方法で飛鳥の遺体を自宅にずっと保管していたのだろう。

しかし3年間、お金のやり繰りはどうしていたのか?という疑問が残ってしまう。もしかすると、夢子は狂気に陥った為、非人道的行為、要は犯罪をしている可能性もあったのではないか、と。その足掛かりとして、シナリオ内の描写でKPCをストーキング・盗撮しているからだ。

理由はどうあれ、飛鳥と夢子が「二人で生きていこう」という気持ちは、両者共に異様なまでに頑なものだったのだろう。



【GM/KPとしての感想】
先ず、初めてのGM/KPで、楽しくやらせて頂いたのだが、処理に慌てすぎて皆の発言やRPが頭から飛ぶことがしばしば。掘り下げを予めしておいたのに中々上手く出来なかったのでまた練習したい。ただ技能ロールは沢山回してもらったので、そこの処理は何とか出来ていたかなあ、という体感です。

シナリオテキストを読んで頂けると分かるのだが、探索箇所が少なく、情報がある場所も控えめで、技能を行うことにより出る情報がほぼない(本棚に〈図書館〉などで限られている)為、筆者の意図にあるように〈技能ロール〉<対NPCやPC同士のRP向けのシナリオであるという解釈をして頂けると分かりやすいかもしれない。「特に不審な点はない」をプッシュしていたのはこの為である。

共に、自分以外でGM/KPをやろうと思った方がいれば、探索箇所に「これ以上の情報はないこと」をプッシュするか、NPCを登場させるとか、アドリブで場面推奨技能以外で、本来得られる情報を開示するなどの工夫を加えるとシナリオが映えるようになるかと思う。〈アイデア〉は使いがちなので、〈知識ロール〉でもいい場面もあるように感じた。(例:老朽化が進んでいるアパートの扉の建て付けなどあまり耐久性のないものであること、などは一般知識として思い付くだろう)


因みに今回「夢子の部屋」の臭いに〈聞き耳〉を振った為、「地下室」の存在を先に匂わせた。本来は「夢子の部屋」の探索を先にしてほしく、特に本棚にある「日記・呪文」は見て欲しかったので、部屋の探索を先にプッシュした。
テキスト通りの進行となった場合は、「夢子の部屋」探索終了時に、PC全員で〈目星〉を行い、成功者が床の違和感に気付き、「地下室」への探索に移る、というルートである。

また、今回はRPと技能ロールで意外とガッツリ時間を割いてしまった為、予測時間の3〜4時間を少しオーバーしてしまった。(進行管理ミスです)

本当は、地下室で千明(KPC)を発見した後の夢子登場は非常に重要なシーンであり、千明(KPC)vPCの戦闘ロールは2ラウンドの展開次第でエンド分岐すらするのだが、GM/KP個人の感情としてもやはり良いエンドを迎えてほしいということもあり、1ラウンド終了とした。

また、完全に個人の事情だが、リアル自室の扉を閉めてシナリオを回していたのだが途中で母から「うるさい」と苦情が来てしまった為、今後は自宅でやろうと強く誓った日でもありました。(その日は実家に居た)
やはりNPCの感情の起伏だったりはGMのRPによって響き方が変わると思うので、これは自分自身のイデオロギーとして、NPCRPには力を入れたいので当分は帰らんぞ、という強い気持ちです。(笑)

あとは〈SIZ対抗〉、〈一時的狂気〉など、やはりまだまだロールに関しての知識が乏しいので、頑張って覚えようと思う。
とはいえ、今回のエンドのRPだけは及第点以上を取れたかな、と自己評価しております。半泣きで演じておりました。今回巻きを入れすぎた気もするので、あと一回はせめて、もう一度GM/KPをやりたいな、と思っています。


【 PC達への感想】
非常に探索・RPのバランスの良い3人だなと思っていました。雲母ちゃんが能動的に動き、色々な情報をどうにか集めようとしている姿は、本当に、友人が「ヤベーじゃん!?どうにかしなきゃ!」と思って行動していてくれたのだろうという気持ちと同時に、夢子に対して雲母ちゃんが怒りを抱くのもとても納得した。

自分の親しい友人にストーキングをした上に、おかしな呪文で洗脳までされていたわけだ、ついでに軟禁も追加しよう。雲母ちゃんの人情深さは「らしさ」が出ててとても良かった、是非これからのシナリオでも活躍してほしい。応援したいキャラクターでした。

良くんは、GM/KP自身がPL/PCとして何度か一緒に行動している為、相変わらずのSAN値の強さにワァ〜って楽しんでました。(笑)
もうここまで来ると良くんにとって不安に思うこととは何なのだろう?と思いますが、幸い良くんのPLさんの創作によって垣間見えました。二階堂(KPの所持PC)、出番が来るだろうか?

ただ、珍しく良くんが怒りの感情を見せたので、GM/KPとしてはやってやったぞ!!!という喜びもありました。それでも今回の出来事を聞いて二階堂は「うち(精神科)で働いてみない?」とか冗談かましそうです。

良くんの性格上、自ら他人の危険に突っ込んでいくよりかは、“こういう事(現象、事件)が起きてしまったから、どうにかしなければ"という思考が強いのかな。でも本当に優しい子です、いつかSAN値ゴリゴリ削れるシナリオ行って頂いて発狂してるところ見たいキャラクター今のところナンバーワン。(笑)

真依先生は、PLさんの解像度がかなり上がってきてるので、割と全ての言動・行動に納得がいきました。退路の確保を怠らないので、最後はGMとしてめちゃくちゃ処理に唸りました。(笑)

というのも、本来の理想として、探索者全員で地下室に降りてもらい、KPCを発見してこの後どうするか、を話している間に、バタン!と大きな音を立てて怒り心頭の夢子が登場する、という設定だからです。

時間があれば、真依先生vs夢子のPvEやってもらっても良かったなという心残り…?ただ夢子にステは振ってないのでアドリブにはなりますが。
無論その裏で、雲母・良vs千明(KPC)の戦闘ロール同時進行というめちゃくちゃハードなGMプレイが要求されますが…(笑)
あと初めて発狂見れたので本当に良かったです!!!

そしてこれは全員共通ですが、結構がつがつRPしてくれたので、いい感じに迷ってもらえたかな?と思います。本当は千明(KPC)が男ならもっと単純明快だったと思うのですが、夢子があまりにもお嬢様口調なので、自身の趣味も反映され千明は女性としました。

やっぱりキャラクターが違うと同じ場面でも反応が違うので、御三方のRPを通じて「成る程」と感心しておりました。

あと、ダイスの出目が1か100って感じだったのも面白かったです。雲母ちゃんは割と景気が良いので正にギャルらしく「イイ波乗ってんね!」状態、良くんはたまに出るドジで(特に今回は良くんよりドジな二階堂が居なかったから気が緩んでた?)味が出てるな〜と思ってました。

真依先生は発狂付きハッピーセットやって下さったので、これもこち先生(今回不参加PLさんのPC)が居ないからか…?と、珍しく動揺らしい動揺が見れて嬉しかったです。普段毅然と冷静な真依先生がまさかの発狂で、初GMとしてはこれもやってやったぞ!という気持ちです。
うっすら記憶が残ってしまったようなので、シナリオ的にひと段落した頃に、真っ直ぐ家に帰ってこち先生に甘えるところまで想像しました。(笑)

良くん、真依先生の顔合わせがあり、そして自分が引き続きGM/KPを執り行う「羊たちは夢見る」へ続く雲母ちゃんがどう活躍するのか、色々と楽しみです。


【そのほか】
ED後にも言ったのだが、探索箇所が少ないこと、逆に言うと必要な情報は探索箇所にほぼ全てあるので、初心者PLさんには向いているかも。最後の戦闘も2ラウンドで終わりなので比較的簡単であるかな?

問題はGM/KPの方で、ある程度事前にKPC/NPCを掘り下げておくこと、万が一に備えること(救済措置)、場所や情報をしっかり把握して纏めておく必要がありそう。

今回はRP重視シナリオとのことだったので、KPC・NPC・音響は拘りました。(音響に拘るのは完全に個人の趣味です)
千明(KPC)と飛鳥が同一人物ではないことが伝わるRPに力を入れ、そして最後は行ってほしいEDに行って下さったので、エンド手前は特段張り切りました。とは言え目下練習中の身であります。
救済措置NPCも用意したが、〈技能ロール〉で緩和しまくったところもあります。

部屋は何処も入るとSAN値チェックだし、STRで開けた場合は次回から扉の部品まで破壊して再び閉めることが難しい、にしようと思いました。あれこれまだまだ勉強あるのみです。


【余談】
残り触れるところがあるとするならば、千明:千尋⇄飛鳥:夢子について。
千明は夢子との共通点を作りつつ、無論飛鳥の要素も取り入れています。いくら飛鳥の意識に乗っ取られていても、夢子、否、「妹」を想う心、そして今回は辿り着かなかったEDと紐付けしたかったからです。

結論だけ述べると、どのエンディングでもKPCが夢子を毛嫌いすることはないです。勿論、軟禁されていたこと、ストーキングされていたこと、呪文によって精神を支配されていたことと、色々客観的に見たらおかしな点はありますが、千明は「KPC」なので、KPである自分自身の解釈が織り交ぜられたキャラクターです。夢子が同じような立場の人間なのだと知れば知るほど、同情や共感などは生まれるでしょう、という前提です。

そしてこれはCorDエンドを迎えた皆様だからこそ知ってほしいが、千明はその後千尋と無事再会を果たすでしょう。A・B・Eの場合は、千明が夢子に成り代わる可能性すらあったと、自分は思っています。
千明は蝶野兄妹のどちらも気質も持っている、という設定です。千尋はというと、普通、否、ちょっと普通よりも姉が好きな子だと思って貰えればと思います。

つまり千明⇄夢子、千尋⇄飛鳥、という最悪のパターンもあったわけです。これは完全にKPオリジナルの未来の可能性の一つ、つまり「並行世界線」です。


【終わりに】
さて。長くなりましたが、この辺りがGM/KPとしてのシナリオ感想・考察、再設定、そして対PC感想でした。お楽しみ頂けましたでしょうか。この記事を読んで少しでも「成る程」と思って頂ければ幸いです。

それでは、またTRPGの感想等、あれこれnoteに書き出していきます。

あなたたちの胡蝶は真か否なのか、はたまた夢は終わるのか、続くのか。これからも見れたら嬉しいです。


【クレジット】
筆者:雪うさぎ(@TRPGyuki1220)
イラスト:あじのひもの屋(@AjiAji_himonoyo)
トレーラー:甘楽(@Kanra_trpg)
BGM:MusMus(https://musmus.mai8n.jp
   甘茶の音楽工房(https://amachamusic.chagasi.com/index.html
背景:みんちりえ( https://min-chi.material.jp/
   カズキヒロ→PAKUTASOより
   Yukillow→PAKUTASOより
   PAKUTASO:(https://www.pakutaso.com/
立ち絵:槙→Picrewより
    Picrew:(https://picrew.me/image_maker/13800
※敬称略

Special thanks
今回プレイして下さった御三方

ご覧頂き有難うございました。

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