胡蝶の夢は真か否か「KPC/NPCキャラクター・呪文編」感想&考察

前提として、この記事はクトゥルフ神話TRPG「胡蝶の夢は真か否か」の重大なネタバレを含みます。今後セッション予定のある方、興味のある方はブラウザバックをお願い致します。









【KPC設定・NPC考察】
花岡千明(はなおか ちあき)KPC
第一前提として、KPCはKPが作る上で性別を変えることが可能です。生き別れた妹がいる、という設定が入っていればどんな人物でも問題はない。

23歳。妹を愛していたが、生き別れとなってしまった女性。そもそもの原因は両親の離婚である。千明の親権を持つ父も千明の学生時代に自死したため、現在身寄りのない千明にとって、妹は唯一の同じ血が流れていて信頼のおける大事な存在であり、妹の為ならば何をするのも厭わないだろう。子供の頃から何かある度に両親から妹の千尋を守っていた。

見た目も性格もボーイッシュな千明の部屋の本棚には、法律関係の本の他に、まるで格闘マニアを匂わせるような、戦闘技術に関する本が沢山並んでいるだろう。それは妹を守りたいが故に、また会えた時は二度と失わないようにと、自身を鍛え抜くためである。職業として法的措置と、趣味、否、信念に近いものとして戦闘技術を学んだ。(近接戦闘はほば独学)

どちらも千明にとっては「妹」のために過ぎない。その「妹」に対して献身的な態度は、夢子にとって外見は無論、信念も理想的に映っただろう。

引き出しに入っている宝物(これはGMが任意で入れられるもの)は妹の千尋が5歳の頃に描いてくれた自分の似顔絵(当時千明は10歳)=7版に準拠すると、彼女にとっての秘蔵の品に当たります。

・探索者に地下室で発見された千明について
まだ意識が混濁しており、問いかけなどには不思議そうに首を傾げたり唸ったりするだけで、どうやら何も思い出せそうにない。(どれだけ技能ロールをしようとRPをしても何も情報が何も出ない)

記憶欠損が著しく、精神を支配されている上、呪文も強まったため、自身の環境と照らし合わせた末に何処かで夢子のことも大切に思ってしまった節があるだろう。別エンドではそれを仄めかせる描写がある。夢子の願望や希望は、洗脳された千明にとって一時的でも絶対的なものであり、それだけ強く呪文を試みた夢子も垣間見える。(夢子の説明参照)


花岡千尋(はなおか ちひろ)共通HO用NPC
現在18歳。母と共に福岡県に住んでいる。千明が大好き。なので千明に連絡を取ったり会いに行ったりしたいが、そのような事を口に出す度に母が半狂乱に暴力を振るってくること、そしてまだ若いが故に何も出来ず苦しんでいる。携帯にGPSを入れられているだろう。事実上の軟禁である。

宝物(秘蔵の品)は千明が初めてのバイト代で買ってくれたネックレス。母にバレないように隠し持っている。孤児院にいるわけではないので、千明の見当からは大分外れた生活をしている。それでも千尋から千明へ何かしらの連絡を取ることは難しいだろう。

備考として。千明16歳、千尋11歳の頃に生き別れている。


蝶野夢子(ちょうの ゆめこ)主要NPC
現在17歳。APP不明だが、描写から察するに13〜15はあるだろう。人見知りだった上、自分を愛でてくれる兄だけを慕っていた。14歳の時に飛鳥が死亡。

導入では千明が飛鳥になり代わり切っているので機嫌がいい。が、根掘り葉掘り聞かれると探索者の見定めが完了したかのように、素っ気なくなる。二人の仲を裂こうとしたり、詮索されると明らかな敵対心を抱く為。

お嬢様口調で描写されていることから、本来の両親が裕福か、又は養子縁組をしたものの、兄妹間の結束が強すぎて孤児院に返された可能性がある。(これはKPとしての考察)

部屋にある通り、既に彼女には千明こそが飛鳥であり、病的なストーキングと軟禁を繰り返し、他者が千明(飛鳥)に危害や影響を与えようとすれば、瞬間転移で望んだ場所へ千明を隠すだろう。

彼女の部屋が血生臭い理由は完全に不明。しかし整った簡素な部屋、という描写がある以上、自傷行為や呪文を使い過ぎた対価を支払っているのかも知れない。夢子、飛鳥共に部屋が乱れてない理由は、恐らく大半の時間を千明(飛鳥)と共に地下室で暮らしているからである。幾ら部屋こそ違えど、アパートなので、臭いが漏れたり、水道などは無論一階で使うしかないので、もしも探索したならば、使った形跡がある描写を増やしてもいいだろう。

・夢子のイデオロギー(情報+KP考察)
飛鳥が誰よりもなによりも、命すらよりも大事な存在であり、飛鳥が居ないのであれば生きる価値などない、とまで考えるだろう。そもそも過労が続いていた飛鳥を案じても、飛鳥は夢子に対して極力優しく、時には嘘を吐いてでも守ろうと考えている為、「大丈夫だよ」と夢子を安心させることしかしなかった。それは飛鳥自身の責任でもあるが、若い二人が生きていく為に必要な金銭、ましてや養育費など、稼ぐのが困難なことは想像が容易である。夢子は飛鳥を信頼しきっているので、それ以上押したりすることが出来なかったのだろう。

そして一つの結末として、飛鳥が過労死し、いよいよ天涯孤独になった彼女はどう思うだろう?私の為に働き続けたから死んでしまった、支えてくれる唯一の存在を失った、様々な感情が押し寄せ、その心は段々と狂気に近づくであろう。夢子は人見知りで飛鳥のみを信じていたので、他の誰かに助けを求めるという考えは一切出なかっただろう。
これはKP考察だが、夢子と飛鳥は何らかの理由で互い以外の人間を信用していない。もちろんその原因は、まだ小さく記憶もあやふやなほどの頃から両親がいなかったこと、そして与えられた居場所すら、軽い気持ちで行われた残虐な行為によって奪われたからである。恐らく新聞などで情報を得た二人は、「二度と他人を信用することなどできるものか」と、諦め切っていたのだろう。

・今回のエンド後の夢子(全てKP考察)
本来の飛鳥の姿をようやく認識できたこと、そして本当は死んでも尚傍らで自身を見守ってくれていたこと、なによりも、最も大切な人間が「生き続けてほしい」と心から願った、それによって夢子は「夢から醒めた」ように、徐々に前向きな姿勢へと変わっていく。それ故に、今までは親しい友人など存在しなかったが、「他人を少しでも信じてみようかしら、わたしを、飛鳥お兄様が見守って下さっているから」と思い直し、クラスメイトとの親睦を深め、会話や親交が広がったのだろう。しかし彼女は、呪文の対価として寿命を支払っていることを忘れてはいけない。


蝶野飛鳥(ちょうの あすか)主要NPC/ほぼKP考察
享年20歳。心優しく面倒見もいい、妹想いの子。口調も優しく、穏やかな人相であることが窺える。また、責任感がかなり強いようだ。3年前に死亡。恐らく死後、地縛霊のような存在になり、夢子の動向を見ていただろう。しかし夢子は狂気に陥っている為、家にいても飛鳥の存在を自覚することはなかったし、飛鳥が名前を呼んでも彼女には届かなかった。そして自責の念と、呪文によりいよいよどうしようもなく、けれども夢子に元気で、生きてほしいという自分のエゴで、飛鳥は探索者達に協力を求める。生前に助けを求めたりしなかったのは、昨日RP失敗しましたが、夢子と同じです。

彼からは夢子について知りたいことがあれば多少は答えるだろうが、確信に触れることは出来ない(ニャルラトテップに呪文を教わったことなどは知らない)とにかくただ狂ったように飛鳥の姿を探し回っていた(死を受け入れられていない)こと、自分によく似た女性を見つけて以来更におかしくなってしまったこと、までは教えてくれるだろう。

・何故飛鳥が知っていることと知らないことがあるのか
前提として地縛霊的な存在であること、そして最も重要なのは、夢子が「精神交換」の呪文を使った為である。つまり、千明の意識がない間は、生前の飛鳥(夢子が信じて止まない理想の状態の飛鳥)として精神が往復していると思われる。呪文が不完全だった為、千明と飛鳥両方に記憶欠損が起こっている、ということだ。
しかし夢子がどうやってこの様な異業を成したかは知らない。それはニャルラトテップという存在が、ニャルラトテップ自身が興味を示した人物にしか認識出来ないような形で人間に化け、一時的に夢子に接触を図ったからであると思われる。若しくは、その時は既に地縛霊としての存在が不安定で、消えかけたりしていたのかもしれない。
要は、千明が「飛鳥として動いている間」の記憶は欠損が多いだろう。流石に蝶野のアパートであれば、自身の器(肉体)が近い為、姿を表してやすいのだろう。そして、そこに漸く夢子と千明以外の人間が訪れたことで、またとない好機とも彼は思っただろう。

・今回エンド後の飛鳥
今までは地縛霊のような、曖昧な存在であったが、きちんと別れを告げられたという後悔が無くなったので、成仏したと思われる。そして、守護霊のような存在として、未だに夢子を見守っているかもしれない。


佐竹弘信(さたけ ひろのぶ)救済措置オリNPC
千明の住むアパートの大家。APP6。男性。50代くらいの贅沢太りで、髭も剃っていない辺りからしてかなり怠惰な生き方をしている、それは勿論、地主故の金銭的余裕があるからであろう。
ここ1ヶ月、特にこの一週間、千明がしばらく留守か何か、住んでいる気配があまり無いことは知っている。が、まだ事件と決めるには早いと考え特に何も行動は起こしていないし起こす気がない。怠慢のタイプな大家。だがRPが入れば素直に鍵を貸してくれるだろう。(自分以外が解決してくれるならば、それは彼にとって願ったり叶ったりだからだ)そして早々に去るだろう。
〈鍵開け〉〈手捌き〉〈STR対抗〉などの技能に全員が全て失敗した時用の救済措置NPC。今回は出番なし。


村上麻由子(むらかみ まゆこ)NPC(本来名前無し)
ひまわり孤児院跡地へお供えに来ていた女性。APP13。とても気配りがよく、優しく穏やかな人。柔和な印象。しかし夢子と飛鳥の話を多く出されると、少し困ったような顔をする。何故なのかは情報がないが、KP考察として、自分にとっても悲しい出来事であり、夢子と飛鳥のことを話すにつれて段々とあの事件を思い出してまうからだ。本来は住所はある程度の技能ロールにより信頼をさせたのち、夢子についての手がかりがないかを質問すれば住所の書いたメモを渡してくれる。教えるのを渋ったのは、単純に個人情報だからだろう。真実を素直に伝えれば、彼女は人を疑うタイプの性格ではないので、RP開示でも良いと思う。

・麻由子のバックストーリー(全てKP考察)
放火の日は非番だった為、救えなかった命への悲しみと罪の意識と、犯人への怒りがあり、事件以降定期的にお供えなどをしているが、それをするのは彼女だけの為、花や菓子は本当に少ししかない。被害者の数も多い為、また孤児院であることから、まず事実を知っていない人間、悼む心があったとしても、余裕が無いなど、色々予測出来るだろう。


溝内三千代(みぞうち みちよ)救済措置オリNPC
蝶野のアパートの大家。女性。APP50ほどのよくいる40代くらいの、少しは子綺麗にしていることが窺える容姿。性格はよくいる、よく喋るタイプのおばさんを想像してほしい。
一階の左端に大家として住んでいる。何やら騒がしい声(古いアパートなので声が響きやすいので、今回は恐らく雲母が喋っていること、そしてその声に聞き覚えがなかったことに気付いた/ステ振ってないですが聞き耳の自動成功の扱い)が聞こえてきたからと見にきた、と言う。飛鳥と夢子が仲が良いことはよく知っているようだ。予定が控えているのであまり長く話は出来ないし、二人のことを深くは知らない。ただし、この頃見るのは夢子だけなこと、飛鳥の姿をすっかり見なくなったこと、かと思えば夢子と千明が親しげに話しながら家に入るところを見るなどしているため、やや夢子と飛鳥を不審がっている。探索者が〈鍵開け〉〈対抗ロール〉に全失敗した場合の救済措置NPCのため、今回は登場なし。不審がっている為、事情を話し鍵を開けて欲しい、と頼まれれば素直に開けてくれるだろう。本来ならば同行も出来る性格ではあるが、探索者に出会った時間のすぐ後に予定がある為、と断りを入れて去るだろう。


謎の男(名前無し、情報に出てくるのみ)全KP考察
夢子に呪文を教えた張本人。KPとしてはグレート・オールド・ワンであるニャルラトテップが正体だと思っている。何らかの経緯で夢子が半狂乱している事に気付き、人間界を荒らすことによって自身が愉しむ為だけに男性に化けて呪文を提供したと思われる。

・ニャルラトテップ(仮定)が与えた呪文
〈瞬間転移〉
※恐らく著者のオリジナル呪文。7版ルルブではP数不明、キーパーコンパニオンであれば載っている可能性有。
呪文使用者と周りにいる人間一人を別の場所に移動させる呪文。ただし、この呪文を使用することで黄泉の国との距離が縮まることを意味する。
コスト→呪文を使用する際に MP を 1d8 消費しなければならない。
〈精神転移〉
対象と永久的に精神を交換する強力な呪文。他者を乗っ取りより長生きするために使われる。
コスト→呪文を使用する際に MP を 10 消費しなければならない。さらに、使い手は 1d10、犠牲者
は 1d20 の正気度を失う。 

注釈:この呪文を覚えるためには<INT×3>に成功する必要がある。また、完全に使えるようにするには数日かけて研究する必要がある。


ここまでを一区切りとして、次は自身がどのようなシナリオ解釈をしたか、PC達のキャラクター感想などを綴りたいと思う。
PC達の掘り下げを行う際にでも参考になればと思います。

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