初!!周防亮介さんのヴァイオリンを聴く。

東京コンサートツアー1日目
東京都交響楽団・指揮小林研一郎、チャイコフスキー交響曲第4番とヴァイオリン周防亮介のチャイコフスキーヴァイオリン協奏曲。3日連続コンサートの一番最後に決めた演奏会。申し訳ないが、ものすごく思い入れがあったわけではない。周防亮介さんは名前と写真は見たことあるがまったく聴いたことがない。何の知識も先入観もなく聴き始めた。

まず、音が太い。音色は暖色系。
流れがゆったりしている。
もちろん弓を早く動かして激しい音も出すのだが、全体的にたおやかなのである。
激しく鋭い演奏を聴きなれているこの曲で、この演奏はすごく新鮮で、1音1音聞き入ってしまった。

わたし、好きだなあ・・・

圧巻は、アンコールのバッハの無伴奏パルティータ第2番の一部(だと思う。)。
一部抜粋の数分の短い演奏だった。
無伴奏パルティータ第2番の印象的なメロディーや盛り上がりではないところ。(だから、本当に第2番か自信がないのだ。)
静かなゆったりした部分。
始まって1分ぐらいで、涙が出てきた。
人間の根源的な感情である、悲しみとか慈しむ気持ちとかが伝わってくる。周防さんが人としてどんな人かは存じ上げないわけだが、「この人、すべて知ってる。この人優しい人だ。人間としてすばらしい。」と思わせる演奏だったのだ。
演奏を聴いてその人の人間性を想像することなんてこれまでなかった。
バッハのパルティータ2番だからということもあるだろう。
しかし、数年前に、チョン・キョンファの同じ曲を、こちらは曲全部、生で聴いた。
すばらしかった。美しかった。
でも、周防さんの数分間のように、感情が強く揺さぶられるものではなかったし、その人の内面を考察する思考も湧かなかった。
たぶん、周防さんの数分のこの演奏は、長く私の記憶に残る。

今月29日に、サントリーホールで無伴奏のリサイタルをされるとのこと。無伴奏パルティータ第2番もプログラムに入っている。
聴きたいと思う。
しかし、今月再度東京に行くことはさすがに決心がつかない。
興味を持たれた方はぜひ行ってください。

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