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オーム(プラナヴァ・マントラ)を唱える意味

シヴァナンダヨガのクラスで、何度もオームを唱えます。以前オーム(プラナヴァ・マントラ)について、紹介したことがあります。もう長くシヴァナンダヨガを実践されている方は、オームの意味をわかっているかと思います。クラスでは、『音として神』、『宇宙を最初の原音』、『宇宙を総括し充満している目に見えない神』などと紹介しています。

意味がよくわからなくても、オームのバイブレーションを聴いただけで、ハートの深い洞窟に響く静寂を感じる方もいるかと思います。この時点で日常的な心配とか不安とか怖れといった心にうずまく波が鎮まっていくのを感じる方もいることでしょう。

オームはサンスクリット語でたった1文字のマントラです。画像にもありますね。オーム(プラナヴァ・マントラ)はインド聖典のヴェーダの説く至高神の教えの集大成そのものです。私が、シヴァナンダヨガのクラスで最初に唱えるシヴァナンダ・ヨガのマントラの後に、『(ハリ)オーム・タット・サット』(「あれは真理」、「真理はひとつ」、「わたしは真理」)と唱えているを何度も聴いてる方もいますね。この意味そのものが、オームの意味なのです。これは、ヨガの一番深遠な教え、すべての至高神の教えが凝縮している、ヴェーダーンタ哲学の最終的な目的地を、オームのマントラで示しているのです。

もっと噛み砕くと、あらゆる人々や事物にすべて神は宿り、賢者は神をあらゆる言葉で呼び讃えるということです。私たちの日常において例えると、「すべての人や動物に神が宿るのだから、絶対傷つけてはいけない。苦しんでいたり、困っていたりしたら、常に助けなさい。絶対傷つけてはいけない。あらゆる物や自然は神から発しているのだから、大切に扱いなさい。浪費したり粗末に扱ってはいけない。」ことを意味します。英語で表現する“Help Ever,Hurt Never(常に助け、決して傷つけてはいけない)”ということです。これはインドの膨大な聖典の教えの要約そのものであり、敬愛するスワミ、バガヴァン・サイババが口をすっぱくして私たちに訴えていた言葉でもあります。

オームのマントラの唱え方ですが、オームは、A(ア),U(ウ),M(ム)の3文字の音で構成されています。ですので、A(ア)は喉から発して舌に入ったら、U(ウ)の音に変わりバイブレーションが高まっていきます。この時点でO(オ)の音に聴こえます。さらに唇を閉じた瞬間からM(ム)の音が鼻を通して響き出します。M(ム)を発した後に、実は耳には聞こえない響きがあります。それが、『無相の神』、つまり姿形のない、属性を持たない神を象徴します。

瞑想する時はまず、有相の神、例えばブッダやキリストやシヴァ神やアヴァター(神の化身)など、自分の好む姿を瞑想します。しかし最終的には無相の神を瞑想できる域まで到達しなくてはならないといわれています。それがオームを唱えること、つまりプラナヴァ瞑想の意味するところです。オームの響きわたるバイブレーションは、ム(M)で頂点に達した後にゆっくりと下降して、静寂とともに意識の内側にある内在神(アンタリャーミ)に融合し、自分という意識がなくなります。この時点で「私」と「神」がひとつであることが認識されます。

実は、私たちが呼吸しているときも、吸って(ソー)、吐いて(ハム)というふうに声を出さなくても無意識に、サンスクリット語のソーハム・マントラ(「私は神」)と唱えているのです。ソー・ハムを何度も唱えると、だんだんと短縮されて、最終的にオームだけが残るのがわかるかと思います。ヨガのクラスでもそうですが、呼吸をゆっくりと深く、繰り返す必要性がこの時点でわかるかと思います。

シヴァナンダヨガのクラスで、何度もしつこく「ゆっくりと、深く、呼吸を繰り返しましょう」と言います。これは、表向きはポーズの効果を浸透させること、感覚や感情をコントロールして内側に向けて集中させていく目的です。しかし、深遠な意味においては、本来のヨガのゴール(神と人間の結合)をめざす手段でもあるのです。

ヨガの有名な聖典『バガヴァッド・ギーター』には、「死ぬ間際にオーム(プラナヴァ)を唱えるならば、ブラフマン(神)に達する」と宣言されています。もちろん、死に際にオームを唱えるためには、普段の日常でオームを唱えることが必要なのは言うまでもありません。

オーム・ナマッ・シヴァーヤ(シヴァ神に帰命し奉ります)、オーム・ナモー・ナーラーヤナーヤ(すべての中におられるヴィシュヌ神に帰命して奉ります)など、有相の神のマントラと唱えるときには必ず、一番最初にオームが唱えられます。これはオームの上に立つものいない、オームがすべての神を包括していることを意味します。

新たなシヴァナンダヨガを始められた方も多くいらっしゃいますので、今回はオーム(プラナヴァ・マントラ)について解説しました。

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