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療養日記 2022年12月20日 『極濃ビルヂング』

 昨日スマホを忘れた為に行けなかった藤沢に行ってきた。用事はNHKテキスト「まいにちハングル講座」と「ハングル練習帳」を買うため。それだけだ。以前なら街中に書店があって我が家からも歩いて行ける場所にも数軒の書店があったのに、いつのまにか全てなくなり書店に行きたければ駅の近くまで行かなければならない。

 藤沢を選ぶのは有隣堂という大きな書店があるからだがそれだけではない。高校生の頃毎日通っていてその頃から慣れ親しんだ店もまだある。お昼時に来れば食事だってしたい。

 まずは有隣堂に行くために南口にある名店ビルへ行く。この名店ビルこそが毎日のように寄り道をして慣れ親しんだ場所だった。その頃も今も有隣堂はこのビルに入っていて、今と売り場の内容こそ変わってしまったが足を踏み入れるとホッとすることもある。

 横浜市民だけでなく神奈川県に住んでいると有隣堂には本当にお世話になる。本店は伊勢佐木町にあるが、本店ともなると本のデパートというくらいの規模で、雑誌から専門書までありとあらゆる本が揃っている。学生の頃は専攻の都合で洋書を買う機会が多かったがとりあえず伊勢佐木町に行けば事が足りていたし、なくても注文をすれば取り寄せてもらえた。「本に困れば伊勢佐木町」というのが神奈川県民のお約束。それとあの市松模様のブックカバーとカタツムリのマークがついたソリッドカラーの文庫カバーも。文庫カバーは10色もあって10枚単位(色は一枚ずつ選べた)で販売もしている。

フジサワ名店ビル。隣のダイヤモンドビルとくっついて営業をしている

 名店ビルと言えばこの懸垂幕の広告だが、何も大袈裟なことを言っているわけではなく、本当に内容の濃い建物だ。特に2階以下は昭和臭がものすごい。エレベーターも古いしエスカレーターも昇りしかない。

 だいたいは有隣堂の2階にしか用事がないのだが、今日は5階にも行ってみた。5階には文具がある。学生の頃は参考書と文具と画材はほぼ有隣堂で間に合わせていたが文具を見るのは久しぶりだった。学生の頃は絵を描いていたがその頃調達できたペン先などはもう扱っていなかった。

 有隣堂で画材が手に入らなくなったが、その代わりにルミネ藤沢にある世界堂がその役割を担ってくれた。世界堂はその頃も今もワクワクする。今日は世界堂にも行ってスケッチブックを買って来た。

 そしてお昼は南口にある「千里飯店」へ。実はここは初めて。fb藤沢ラーメン部ではよく話題に上がるので気にはなっていたハイパー町中華だ。僕は高校生の頃から名店ビル地下にある古久家(こくや)に通っていたので他の店をあまり知らなかった。古久家はいまでも藤沢のソウルフードでその地位は揺るぎないものだが、それと対をなすのがこの千里飯店と言っても良いらしい。

千里飯店のサンマー麺と昭和玉子炒飯

 サンマー麺というのは神奈川県に住んでいれば食べる機会も多いが県外の人にはピンとこないと思う。

秋刀魚でも入っているんですか。


 と訊いてくる人もいる。そんなもん見たことがあるのかいと逆に問いただしたい。わかりやすくいえば中華丼の餡が乗っかった醤油ラーメンのことだ。先述の古久家でも食べられるし、横浜に行くとサンマーメンを出してくれる中華は普通にある。かの永六輔もこよなく愛した食べ物で、ラジオでサンマー麺のことを熱く語る事もあった。

 古久家ではよくサンマー麺を食べる時、レンゲにスープと麺と具をちょっとずつ乗せてそこに酢をかけて食べるのが好きだったがここでも同じような食べ方が楽しめた。

 お昼を終えるとバスに乗って家に帰る。今日は思いつきでふらふらと藤沢を歩き回ったがそれなりに楽しめた。やっぱり名店ビルは楽しい。今度は名店ビルの地下をふらふら歩き回り古久家でお昼を食べたいものだ■

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