この夏ほしいもの
【療養日記２０２４ ７月２５日（木）☀️☁️】
与えられたお題で日記を書くのは初めてのことだ。
先日ラジオを聴いていたら井上陽水の「海へ来なさい」が流れていた。
海に来てそれを感じられるほどの色んなものを持ちなさいというような内容だったと思う。当たり前のような事をそうではないように諭すような歌詞が若い頃は当たり前だろうとしか思えなかった。
ところがこんなあれこれと持ちなさいと言われるものが年とともになかなか持てなくなることを改めて知らされる。
自分の場合は４年も前になる病気を境に当たり前が当たり前ではなくなってしまった事を毎年夏になると嫌と言うほどに知らされる。
太陽に負けない肌も眼も、潮風の声に傾ける耳も、砂浜の上で不自由なく歩く脚ももう今の自分にはない。ひたすらダメージを受け、大汗をかき、眩暈で倒れそうになる。今になって初めてあの「海へ来なさい」を聴いた時のメッセージが痛いくらいに身に染みてくる。
これから更に持てなくなるものは増え、過去を振り返っては失うまでの時間の流れを病気というスクリーン越しに見つめては諦念に包まれる夏を送るのだろう。
嘗ては当たり前に持っていた夏と向かい合う人としての能力、それが今一番欲しいもの■
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