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お遍路ウォーキング日記(45:二十四番最御崎寺へ ⑪)

【2024年2月17日(土曜日) Day 45】

 次の札所ももう目前となる。あと8,309歩というのは二十四番札所の最御崎ほつみさき寺の事で、当然だが室戸岬ではない。

 この室戸岬の直前に「御厨人窟みくろど」と呼ばれる洞穴がある。遍路の間では非常に有名な場所でもある。

 この洞穴は弘法が若い頃に一時期修行のために住み込んだという話が残る。来る日も来る日も修行を重ねここで悟りを開く。

 詳しく書けばこの場所で仏の真言を百万回唱える「虚空蔵求聞持法こくうぞうぐもんじほう」という苦行を行った。百日の間に百万回を唱え、最後に星が口の中に飛び込み悟りを開いたという。その際目の前に見えたのは空と海だけだったことから自らに「空海」という法名を付けたといわれている。

 実際に中に入り同じ空と海を見ると自分はそれだけの存在ではあるが、そこから無限の可能性もまたあることを実感する。海沿いにある洞窟だけあって多湿で、足元を小さな蟹が歩き回っている。そこから見えるものは空と海、聞こえてくるものは潮騒だけで。とにかく空気も何もかもが外とは異なった俗っぽく言えばかなりのパワースポットでもある。

 この御厨人窟に入ったらとにかく潮騒の音は聞くべきだ。見るものは天気によっても変わってくるが音は自分が静かにしていれば聞こえてくる。

 こうして弘法が見て聞いたものと同じものが感じられるだけでも立ち寄る価値はあると思う。

 御厨人窟はしばらくの間落石の危険があり中には入れなかったようだが現在は再び入れるようになっている■


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