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不朽の名曲

【療養日記2023 1月15日(日) 二本目】

 日本でK-POPと言えばBTSを代表とするグループがすぐに想像できる。BTSくらいのレベルともなると聴いてみるかとも思えるが、今の他のグループは数も多いし個性もないしで正直興味もない。今から10年くらい前の少女時代だのkaraだのでさえもあまり詳しくもない。今や男子は今が花とばかりにカルグンム(칼군무;キレキレのダンス)で見せ、一人また一人とメンバーが兵役で欠けていなくなる。女子は日本の坂道集団と同じでグループでひと束扱い。日本でも同じだがどうして群れるか?

 僕も結構な韓国ポップス好きだったが今の流行りは「嫌い」だ。彼奴等にはメロディで訴える力が決定的に欠けている。ダンス主体のポップスはリズムが勝負だからだ。

 ところがだ。それは日本に大々的に輸入されているものが目立ちすぎるだけで韓国の実情は違うと思う。日本でも踊るばかりのジャニーズ系、EXILE系や坂道ばかりではない。KING GNUやあいみょん、藤井風といった実力勝負のアーティストもいる。

 今日暇だったのでテレビを観ていたが、日曜昼間の民放なんて全く観る価値もないのでCATVをザッピングしていたら目に留まった韓国の番組があった。それがタイトルにも書いた「不朽の名曲」である。(韓国語では불후의명곡と書く)

 この番組はスタジオとホールの二元中継でスタジオには実力派シンガーやグループが多数待機してトークをしている。一方のホールにはゲストに大御所シンガーかいて観客も大勢入っている。ホールの司会者がスタジオで待機するアーティストをくじで引き、当たったアーティストはホールに移動してホールにいる大御所のナンバーを歌うという番組。それだけでなくくじは5組まで引かれ、最初と二番目に選ばれたアーティストのどちらが良かったか勝負も行われ、以後その勝者と三番目のアーティストという感じで勝負が決められ、勝ち残った者が優勝する。ホールにいる大御所と観客が審判でもある。自分の番は早い方が楽だろうが、早いと今度は勝負には不利。

 簡単に書いちゃえばホールに松任谷由実がいたとしたらスタジオのアーティストは自分が指名されたら松任谷(か荒井)由実の歌で勝負するというもの。レスペクトも必要だし、大御所のかつての歌が存分に楽しめる。だから「不朽の名曲」なのだろう。これがどのアーティストも歌が上手で間違っても踊りで誤魔化す者は登場しなかった。ゲストの「大御所」にもよるのかも知れないが今日見たものはとにかく歌の上手い者が勝ち残る勝負だった。

 日本では歌番組なんてものは歌手が登場し、勝手に数曲歌って司会とトークしてというものが関の山で、勝負の要素なんてものはまるでないが、韓国には曲がり間違えはアーティストの評判にも関わるような際どいけれど真剣勝負の歌番組があるんだなと思った。とにかく目に新しい番組だった。ザッピングでこんな番組を見つけられるとはビックリである。

 こんな番組見せられると今の日本で流行る、それこそ去年の紅白歌合戦みたいな番組に登場するK-POPなんてのは仮初のものでしかないんだなと思ってしまう。

 いつしか韓国はドラマや映画などのエンタメ輸出国になっているが、歌番組もまた日本では到底あり得ないような歌番組が10年以上も前からオンエアされているのだから驚きだ。日本でゲストに玉置浩二を呼び、最近流行り(で歌唱力も抜群)のアーティストが本人の前で本人の歌を歌う歌番組なんて作れないだろう■

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