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誰かの「普通」と「不満足」

「足りないモノは 沢山あるの カワイクたって あるのよ」

「足りないモノは 手をつないだり/一般的な 恋したい/世間並みの 幸せなんぞ/夢見ちゃう」

「足りないモノは 沢山あるの/カワイクたって あるのよ/明日の朝は お昼ごろまで/寝ていたい」

モーニング娘。の13枚目のアルバム『13カラフルキャラクター』に収録されている、道重さゆみのソロ曲「ラララのピピピ」の歌詞の一部だ。

一般的に「持っている」とされる人が持つ、彼らなりの「普通の感覚」や「不満足」を歌っているという風にも読める歌詞だと思う。

「世間並みの 幸せなんぞ 夢見ちゃう」

誰かが彼/彼女自身の持つ能力を遺憾なく発揮している時、彼/彼女を羨む人は当然いる。人間のそういう心の動き自体は自然なものだ。それを本人に悪意のある形でぶつけることさえなければいい。そこに生まれた感情は、自分が頑張る原動力にもなりうる。

では、「持っている」とされる人が自身に対して何らかの「不満足」を表明した時。彼/彼女に文句を言う人がいる。「そんなに持っているのに、何が不満なの」とか、「贅沢な悩みだ」とかなんとか。でもそれは、彼らの「普通」を尊重しない行為でしかない。

「持っている」とされる人が彼らの「普通」を表明し続けることは、簡単なことではない。上述のように人間関係の摩擦が起きてしまう可能性が高いからだ。でも、完璧に見えるあの人(でもそれはその人のほんの一面に過ぎないのだろう)にも、自分への不満足や他人への羨望はきっとある。それを他人が理解することは難しいし、ましてやそれは他人に贅沢だの何だのとやかく言われていいものではない。また、視点を変えてみれば、誰かは私(の一面)を見て私があの人に対して思っていることと全く同じことを思っているかもしれない。

基準は人それぞれなのだ。という単純なことを、我々はお互いに忘れがちだ。自分の普通を相手に押し付けない、そして相手の普通を尊重する。自戒を込めて。


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