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音楽:雨の歌

先週は雨がよく降りました。ブラームスの室内楽曲に「雨の歌」と呼ばれるヴァイオリンとピアノの美しい曲があります。

かつてブラームスが1865-74年の間、夏の保養のための別荘として利用したドイツのバーデン・バーデンの家は、現在はミュージアム「ブラームスハウス」になっており、僕も一度訪れたことがありますが。時期は8〜9月頃でした。ちょうど雨がよく降っていました。湿度も高くなく、朝晩は肌寒いくらいでした。森に抱かれた温泉保養地のバーデン・バーデン。未亡人となったクララ・シューマンと残された子どもたちを精神的に支えるため、クララの家の近くにブラームスは夏の住居を構えました。

この「雨の歌」というのは、もともとクララ・シューマンの誕生日にプレゼントした歌曲でした。しかし、その6年後、悲しい出来事が起こりました。ブラームスが名付け親になっていたシューマンの末子、フェリックスが24歳の若さで結核で亡くなってしまったのです。ブラームスは失意のなか、クララのお気に入りだった歌曲「雨の歌」をモチーフに取り入れた「ヴァイオリンソナタ第1番」を1878年と1879年の夏に、オーストリア南部のヴェルター湖畔の避暑地ペルチャハで作曲・完成させました。

自分の息子のように愛情を注いだフェリックスの病状の回復を祈り書いた第2楽章には、フェリックスの病状を心配したブラームスがクララに宛てた手紙の裏にメモ書きしていた、思い出のメロディーも使われています。

失意の中書いた第3楽章には、歌曲「雨の歌」のメロディを盛り込みました。

クララはその後このソナタについて「あの世に持っていきたい曲です」と述べるほどの愛着を見せている[2]。


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