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深読み:他者の人生を生きる

どこかの本に書かれていてことですが、
ギリシアの哲学者ピュタゴラスは、心がつらいときには、「悲しみを打ち消すような明るい曲を聴くほうがいい」と言いました。
一方、ギリシアの哲学者アリストテレスは、「そのときの気分と同じ音楽を聴くことが心を癒す」と主張しました。

前者は、「ピュタゴラスの逆療法」、後者は、「アリストテレスの同質効果」と呼ばれています。両者は、真っ向から対立しています。

どちらにも一理あるようです。
例えば、悲しいことがあった時は、悲しい音楽を聴いて、同調したり、共感したりして、癒される。そして、気分が晴れてきたら、明るい音楽を聴いて、背中を押してもらいまた一歩進むというのもいいかもしれません。

しかし、音楽というのは、ただ明るいだけでもなく、ただ暗いだけでもない場合もあります。ストーリー性のようなものがある場合があります。

キュブラー・ロスの“死”の受容への5段階ではないですが、
→不本意な出来事が身に降りかかり、被害妄想のような気持ちになる。
→喜怒哀(楽)の感情が沸き起こり、出来事と自分の感情を認識する。
→取引(それが避けられるかどうか、その状況や人間関係から抜け出せないかと模索する。神頼みをしたりする)
→抑うつ(どうしようもないものであるとわかり、塞ぎ込む)
→受容する(自然なものとして受け入れる。同じ様な思いをした人の意見や考えを知ったり、これまでとは違う次元や視野をがあることを理解する)

音楽や小説、映画の中には、「抑うつ」と「受容」の段階で手助けしてくれるものがあるように思います。一時的に、他者の人生を生きるかの様な時間を過ごさせてくれるものがあります。

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