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子犬の思い出

子どもの頃、僕は犬が怖かった。
必要以上に怖がるからかもしれないけれど、
犬のそばを通ると必ずと言っていいほど吠えられまくった。
僕のことが嫌いなんだ。
だから僕も犬のことが好きじゃなかった。

祖父母の家に遊びに行った時のことだ。
生まれたばかりの小さな子犬がいた。
子犬は愛くるしい様子で、僕は初めて吠えられなかった。
僕の手にからみつては、無邪気に笑っているみたいだった。
その子犬を連れて、散歩してみたくなった。

庭の物置小屋で見つけたペンキの空き缶に
子犬をそっと入れて散歩に出ることにした。
動いて地面に落ちるといけないから、フタをしめて。

散歩から戻って空き缶のフタを開けると
缶の底の方にペンキが少し残っていたのか
子犬はペンキまみれになっていた。
そして死んでいた。

不思議なことにそれからというもの
僕は犬に吠えられることがなくなった。

子犬が僕を守ってくれているのか
または
「あいつのそばに行くとやばい、殺される」
と警戒されているのか、理由はわからないけれど。


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