薔薇王の葬列1〜15 菅野文

シェイクスピアの「ヘンリー六世」と「リチャード三世」をベースに描かれた作品。
きっかけは、1〜3巻が無料になってたから。
読み始めたら引き返せなくなってた。
あと2〜3歳若ければ、徹夜して読んでた自信ある。
最近は頑張っても2時が限界だから、二日に分けて読んだ。
最初は王位の行方が面白くて。
お兄ちゃんのエドワードが即位してからは、リチャードの孤独が…
愛を渇望しているのに、すれ違ってばかり。
リチャードを決して幸せにしてたまるかという生母の怨念なのか。
権力にしがみついている亡者達の怨念なのか。
それぞれのトラウマや妄執によってピースが少しずつ歪み、手が届きそうになってもすり抜けていく。
そして最も愛した者をも手にかけてしまったリチャード…。(記憶を失った状態で生きてるんですけど、殺したと思ってる)
「いちばん欲しいものは王位」と願うリチャードとキングメーカーになりたいバッキンガムの間で交わされた「誓約」
バッキンガムやケイツビーらの尽力によって王に即位しても、常に不穏な動きがある宮廷。
王妃アンとリチャードが真の夫婦になろうとしたが、お互いの想いに気付き心を通わせ合うリチャードとバッキンガム。
これで二人の関係はようやく落ち着くのかと思えば、ボタンを掛け違ったようにすれ違ってしまい、周囲の状況に押し流されていってしまう。
お互いがお互いを求め合っているのに。
生い立ちからこれまでの絶望が深すぎるリチャードの心を理解しきれないバッキンガム。
王としての立場があるから、バッキンガムだけを受け入れたくてもできないリチャード。
史実から二人がどうなるか予想できるから、一層哀しい…。

その他の登場人物の描き方も凄くいい。
ランカスターのマーガレット王妃最高。
7巻の彼女のセリフ
「男の肋骨から作られた女が
人を宿し生む事ができるのは何故だと思う?
男から自分の運命を取り戻す為よ」
痺れますね。
リチャードの妻アンが王妃としての覚悟を決めた姿。
自分の欲望に忠実な「魔女」ジェーン。
亡夫の復讐でヨーク王家を滅ぼす為、エドワード兄ちゃんを籠絡し王妃と成り上がったエリザベス。あまり好きではないけれど、むっちゃ遣り手だから見習わないと…。
この作品に出てくる女性達は、運命に抗ってやるって気合いが入ってて好感度高い。
ヨーク公リチャードの王者の風格。
ウォリックの腹黒さ。
(4巻でジョージ兄ちゃんに「婚姻前の交渉は困りますな」って言うシーンはめっちゃ面白かった)
エドワード兄ちゃんの女ったらしっぷり。
ジョージ兄ちゃんの男前だけどダメ男全開。
菅野先生の画力がそれぞれのキャラクターを表現してて、見事としか言いようがない。
リチャードの子供時代〜少年期は思春期の狂気をはらんだ不安定さから「誓約」をして美しくなっていく過程は、読んでて魅入られてしまう。

私がここまでこの作品にのめり込んだのは、この二人の存在が大きい。
バッキンガムとケイツビー!!
この二人が男前過ぎて…!!!
リチャードへの想いを秘めた忠誠が表現されたケイツビー。
対になるかのような、腹黒で尊大、俺様感が滲み出ているバッキンガム。
リチャードの背後をこの二人が固めた画を見てるだけで、息切れしそうになる。
(興味のある方はこのイラストどうぞ
https://nikkangecchan.jp/comics/yankee/40
めっちゃ気に入ってます)
もう、眼福以外の言葉が出てこない。
この二人を生み出してくださった菅野先生には感謝しかない。
それぐらい、この二人が本当に好き。

勢いに任せて書いてしまった感想文。
まだ書き足りないけれど、一旦はここらへんで落ち着きたいと思います。
とりあえず1〜15巻まで、貪るように読み込みもう...
もう3周ぐらい読んでるけど。

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