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白樺湖の歴史と成り立ち

長野県蓼科高原に位置する白樺湖。その歴史や成り立ちは、意外と知られていないかもしれません。

今から80年ほど前、このあたりにはホテルやテーマパークは一軒もなく、それどころか白樺湖すらありませんでした。一面に湿原が広がり、木々が生い茂る荒地だったのです。 その地に農業用のため池として、人工の白樺湖が作られました。

白樺湖を中心とする白樺高原がどのように誕生したのか、その歴史と成り立ちをできるだけわかりやすく紹介します。

1940年代、農業用の人工ため池として造られる

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終戦後のまだ混乱するさなか、高原野菜や牧畜を目的に、この草原エリア・大門峠池の平の開拓計画が持ち上がりました。

着工したのは1940年。まだ馬に乗って移動していたような時代です。資材や土砂はトロッコで運搬し、穴を掘ったり土を盛ったりという作業はほぼ人力。どれだけ作業員を集めても足りず、さらに第二次世界対戦による急激な物価高騰や人員不足により、一時は工事を中止する話が上がったこともありました。

しかしなんとか持ちこたえ、1946年に温水ため池が竣工します。温水ため池とは、太陽熱で用水を温めて農業目的で確保するために造られる人工の池で、水温が低い長野県などに多くあります。

ため池が完成すると農業も栄え、馬やボートの貸し出しなど観光産業も盛んになっていきました。池の平ホテルの創業者・矢島三人が貸しボートを始めたのも1950年。50年代に入ってからは池の平に電気が開通し、バスなどの交通手段も入るようになってきます。

そうは言っても、当時はまだまだ観光地といえるほどの土地ではありません。登山客が「家に泊めてくれませんか」とやって来るような感覚で、徐々に人が訪れる場所になってきました。

1950〜60年代、観光の白樺湖へ

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1950年代から、白樺湖は観光地として知られるようになっていきます。「インフラを作りながらサービスも作っていく」というのが白樺湖のやり方でした。

最初に入ってきたのはアイススケート。1956〜58年頃、全国の高校や大学、世界選手権やオリンピックの強化選手の合宿リンクとして使われるようになっていきます。経済白書による「もはや戦後ではない」という宣言があったのが1956年。この頃から、スポーツや観光旅行といった新しい消費が盛り上がるようになってきました。

60年代は拍車をかけるようにアイススケートブームが起こり、白樺湖にも「白樺湖スケートセンター」が創業します。 一般のスケート客も続々と白樺湖を訪れるようになり、スケートリンクは人で氷が見えないほどの大賑わい。別荘やホテルもでき始め、すっかりスケートのメッカとして名を馳せるようになりました。

同じく60年代後半にはスキーの人気も高まります。1964年、白樺湖周辺では最初となるスキー場「東白樺湖スキー場」ができました。その後、池の平スノーパークに名前を変え、現在も運営しています。

レイクランド(現ファミリーランド)が創業したのもこの頃です。マイカーが普及した時代でもあり、家族旅行の目的地として栄えるようになりました。

1970年代以降、アウトドアを楽しむ通年リゾートとして定着へ

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スキーやスケートなどから人気が高まった白樺湖ですが、爆発的なウィンタースポーツブームは長くは続きませんでした。1970年代になると、全国的なニーズも移り変わり、旅行目的でのアウトドア志向が高まっていきました。

スケートのメッカだった白樺湖でも、通年リゾートにする計画が進みます。過ごしやすいシーズンである春や秋の観光にも目をつけ、修学旅行などのPRにも力を入れるようになりました。

1964年に地域初の舗装道路として開通していた「ビーナスライン」が、長年の工事を経て1981年に全線開通し、これを皮切りに白樺湖の知名度はどんどん上がっていきました。

課題だったアクセスの問題もクリアになり、アウトドアを手軽に楽しめる長野県の観光の拠点として、すっかり人々に定着したのです。

レジャーの時代を終え、新しいリゾートへ。これからの白樺湖

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90年代以降もスキー客やファミリー観光客で賑わっていましたが、旧来のリゾートバブルは終わり、白樺湖周辺も今までと同じリゾート経営では立ち行かなくなってきました。

白樺湖には、人が足を踏み入れることすらないような未開の地から、半世紀かけてリゾート地として開拓してきた歴史があります。その根を絶やさないためには、時代にあった「新しいリゾート」として生まれ変わっていかなければならないと考えています。

先人たちが築き上げてきたレジャーの文化も素晴らしいものでしたが、現代人が求めている「自然そのものを楽しめるリゾート」を目指し、新しいことにどんどんチャレンジしていくつもりです。

これから創られていく新しい白樺湖の歴史も、ぜひ楽しみにしていてください!

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