【読むゲーム実況】ハートを射止めるゲーム

※この記事は、ゲーム「ハートを射止めるゲーム」のネタバレを主な内容としています。ゲームのスクリーンショット等も多用しています。あらかじめご了承ください。

IEOIさんの新作! ポップで毒々しい色遣いが可愛らしいこの画面からゲームスタートです。

遡ること10カ月ほど前。美容師である主人公・チコラちゃんは、如月くんと運命の出会いを果たす。「ヤンデレがストーカーするゲーム」という情報を事前に得ていたが、如月くんの口から発された「こんな可愛い女の子が相手だと緊張しちゃうな」というセリフに、天然たらしみを感じる。そんなセリフ誰かれ構わず言うんじゃないよ、危ないよと思ってしまう。

そしてチコラちゃんのご挨拶。

如月くんがたらしたくなるのも納得のかわいさ。ギザ歯のところが特に。とはいえ、万人受けするタイプではなさそうなので、如月くんは人畜無害そうな見た目でけっこう尖った性癖をしているかもしれない。
本名は「山本ちよこ」らしく、個性的な見た目と裏腹に古風。

「今から、あなたにはチコラになってもらいます」
「いい? 声に出してみて。リピートアフタミー!」

急に英語の先生みたいになった。

「あなたは、チコラ。あなたは、チコラ。あなたは、チコラ」
「私は、チコラ。私は、チコラ。私は、チコラ。私は、チコラ。(×2)」
「如月くんのことが、大好き(×3)」

おう。すでにきなくささがある。このいかにも踏み入れちゃいけないところに足を踏み入れていく感じ、IEOIさんのゲームの醍醐味だと思う。

ここでゲームの説明。「如月くん」に関する情報を集めて、「ラブポイント」を稼ぐものらしい。「ラブポイント」をたくさんためると、「ヤンデレマスター」という称号が手に入るのだとか。ただし、「キモポイント」がたまりすぎてもダメらしい。

うまくできるかな~。緊張しちゃうな~。

そしてゲームがはじまる。
まずは美容院で如月くんの情報を入手するところから。

ここでミッション。部屋にあるものをきっかけに、如月くんの情報をゲットすべし。

どれを選ぶか迷うところだが、とりあえずカップを選んでみる。如月くんはコーヒー派か紅茶派か、砂糖とミルクは入れるのか、その辺が聞けるかもしれないとにらんだ。

けど、話はいまいち広がらず。あれれ。

次はスマホを選んでみよう。

と思ったらこれは如月くんのスマホだったらしい。通知が来ている。のぞくかのぞかないか、選択を迫られる。

のぞいたら「キモポイント」たまりそうだけど……思い切ってのぞいてみる。

そうしたら……

わお。やっちまった。
悪手かなーと思ってはいたがそれどころじゃなかった。まさかの一発ゲームオーバーだった。

この時の「ザク、ザク、ザク」って音、同作者のサンタクロースのゲームでも聞いたきがする。

気を取り直して二回戦。
今度は雑誌を選んでみよう。

「何の雑誌ですか?」と聞いてみる。
如月くん曰く、「オシャレな人が今聴く音楽特集」らしい。
お、これで好きな音楽とか聞けるんじゃない? と思ったら、チコラちゃんが予想通りの質問をする。
如月くんはバンド音楽を聞くらしい。それからうまいこと話が広がっていく。いいぞいいぞ。

そんなこんなで情報ゲット。如月くんは感動系映画のエモい系歌詞の邦ロックを聞くっぽい。Vaundyとかミセスとかも好きそう(偏見)
「繊細で優しい人ってことじゃん……ますます好き」とさらに惚れ込むチコラちゃん。この人はたぶん相手が何を言っても「好き」に変換する気がする。たぶん如月くんがヘビメタ愛好家でも「案外ワイルドなんだ……ますます好き」ってなる。
ラブポイント10加算。

次に、壁に貼ってある絵をクリックしてみる。
選択肢は「ホラーって好きですか?」を選ぶ。自分語りより相手に語らせる方針でいく。
如月くんはホラーが苦手らしい。「かわい~~!」と内心メロメロなチコラちゃん。
ラブポイント10加算。

次はクリップボード的なやつをクリック。カルテらしい。
如月くん、フルネームは如月透次(とおし)。
名前から次男らしいと推測するチコラちゃん。
年齢は21歳、学生。思ったより若い。
誕生日は2月14日。
個人情報が次々手に入る。
ラブポイント30点加算。

次はカップリベンジ。「飲み物いれてきましょうか?」と聞いてみる。そこから自然と好きな飲み物の話になる。いいぞ~!
如月くんはコーヒー派らしい。だけど今日は紅茶の気分だった様子。
コーヒー派→一人の時間が好きそう→隠れてタバコ吸ってそう→かっこいい! と想像をたくましくするチコラちゃん。

鏡を触ると、「そろそろ担当美容師が戻ってきそう」との情報。ひととおりモノに触ったし、引き際も大事な気がするので、「離れる」を選ぶ。

暗転し、カットが終わる。心なしか如月くんの髪が短くなった気がする。案の定チコラちゃんはメロメロ。

「かっこよくなりましたね!」と声をかけると、担当美容師・ヤマさんからまさかの情報。

「如月くん、今からデートらしくてさ!」

そしてこの表情である。

ああ~~~~(変なとこに刺さる)

こういう、表情がガラッと変わる瞬間好き。

如月くんのお相手は幼馴染の女の子らしい。

あまりのショックに早退するチコラちゃん。いい男って、いい男がゆえにいい人がいたりするよね~。切ないね。

そして回想が入る。

チコラちゃんの過去が明かされる。昔はコンプレックスの塊だったらしい。美容室に行って印象が変わったことで、自分に自信を持てたのだという。それをきっかけに美容師にあこがれを持つようになったと。そのことを話すと、如月くんはこの反応。

ちゃらい!!!!!!!

言いなれてる感がある。絶対だれにでも言ってる。

チコラちゃんのちょろさに心配になるけれど、過去にコンプレックスがあった子なんだったら、こういう甘い言葉にぐらっときちゃうのも無理ないのかも……。

如月くんの思わせぶりな「可愛い」を思い出し憤るチコラちゃん。

そしてチコラちゃんにスイッチが入る。

いよいよここからが本番か。ぐっと肩に力が入る。

まずは如月くんのSNSアカウントを特定。ラブポイントをゲット。

如月くんが鍵アカなのを見てご傷心になってしまったチコラちゃん、他のSNSでの特定を試みる。

「?」のアイコンをクリックしたら、鍵付きの日記が出てきた。如月くんへの思いが綴られている。チコラちゃんは独占欲強めな様子。

上から2段目、一番右のアイコンは、「ポスポス」というSNSらしい。今度はそちらの特定を試みる。「フォトグラ」と同じIDで検索してみると、如月くんらしきアカウントが見つかった。
猫が好きと踏んで、動物好きのアカウントを使って接触を試みる。
ラブポイントゲット。

「ポスポス」の投稿を見ていると、相手の女らしきアカウントも見つける。目が曇るチコラちゃん。不穏。

敵とみなした相手には口が悪い。「ヤンデレ」と称されるタイプは、敵か味方か、白か黒かという判断が多い気がする。と同時に、犯罪者は女を「聖母」か「売春婦」かでしか分類しないというフロイトの言及を思い出す。

如月くんの女のアカウントに飛ぶ。顔出し鍵なしアイコンの女に対し、チコラちゃんはかなり辛辣。

そして、女のアカウントのやりとりから、二人がデートした店を特定。チコラちゃん、最寄り駅まで足を運ぶことにする。

一瞬見えたお靴がとってもラブリー。

そして駅につく。ここでまたアプリ選択画面。「ポスポス」のものを選ぶと、「どっちのアカウントを見ようかな」と選択肢が出てくる。

さて、どうしようかな。如月くんはガードが堅い印象だけど、女のアカウントを見るとチコラちゃんの心的ダメージが心配。

けど、個人情報を得るなら、情報管理がザルな感じの女の方かなあ。

とりあえず一番上をクリックしたら、キモポイントが加算されてしまった。
続いて二番目をクリックすると、如月くんと女とのツーショット写真が……。

うお、不穏……! と思っていたらさらにぐちゃぐちゃになるチコラちゃん。

ひえ!
今回はビジュアル的なホラー要素がないと思っていたので、不意打ちにびびる。

そしてチコラちゃんは、「彼女がいて自分に思わせぶりな態度をとるわけがない」という思い込みから、「誰かのものになる前に殺して永遠にしたい」という結論にたどり着く。

チコラちゃん、どんどんおどろおどろしくなる。反面、BGMは穏やかなオルゴールなのが逆に不穏。

そしてチコラちゃんは、如月くんを殺すため、居場所を特定しにかかる。

再びアプリ選択画面。検索アプリに本名を入れて調べてみる。「出た。」とチコラちゃん。淡々としているのがキマッっている感じがして怖い。

最寄り駅を特定し、どこに行くか選択を迫られる。

如月くん、確かバンド好きだったよね?
ライブハウスとかにいるかもしれない。と思ったけどハズレだ。

公園を選ぶと、いた。

背景の雰囲気がすごくホラーノベルゲーっぽい(そうなんだけど)
そして泣いてるチコラちゃんがかわいい。

如月くんを見つけたチコラちゃんは、「誰のものにもならないで」と言いい放ち……。

そして回想。
お母さんは自殺。お父さんは蒸発。お兄ちゃんは……。
チコラちゃんは家族に愛されず、味方もいなかった。

「汚いお金で、専門学校に行った」

この表現とっても好き。短い言葉で端的に想像させる。

そして、「ハートを与えてくれた」如月くんに、チコラちゃんは依存するようになる……。
愛されなかった人が愛し方を知らないまま暴走してしまう、悲しい話だ。

こんなん心臓一択でしょう。
「ハート」がキーになっているゲームだもの。
ということで「心臓」を選択。

泣きながらザクザク刺すチコラちゃん。
自らも殺し、エンディングを迎える。

わわ、頭に輪っかあるのめちゃかわいい。

して、最終スコアは……

むむ。惜しくもヤンデレマスターの称号は得られず。
「普通よりは頑張ったけど、ちょっと中途半端かも~。もっと好きな人には大胆になって良いんだよ? だって、好きなんだもん!」とのこと。確かに、最初の美容室でちょっと日和ったもんな……。

裏で「ヤンデレマスター」になれるようにがんばってみようかな。

というわけで、ゲーム終了です。短いながらにゲーム性が豊富で、ぎゅっと濃密なチョコブラウニーのような作品でした。ただの狂気じゃなく、背景をちゃんと作るところもIEOIさんらしくてよき。全体的にポップでラブリーなテイストなのも、甘いお菓子のようで素敵でした。

いや~楽しかった!




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